不動産投資に興味があるけれど、まずは何から始めて、どうやって進めたら良いかという疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。ここでは、不動産投資の始め方、進め方のプロセスについて解説して行きます。
不動産投資のプロセス
私たちが良く耳にする「不動産投資」とは、賃貸収益を得るために不動産を取得するものです。つまり、不動産投資を始めるには、「不動産を取得する」ことと「賃貸収益を得る」ことの大まかに分けて、二つの段階があります。
中古物件では、入居者がいる状態のものが殆ど、新築でもあらかじめ入居者の募集が完了している物件も少なくありません。そうなると、不動産投資=不動産の取得といっても過言ではないでしょう。
不動産投資を始める前に確認すべきこと
①投資目標を決める
不動産投資は純粋に家賃収入を得ることを目的とする「資産運用」と、手元資金と借入金を利用して、資産としての不動産を取得することを目的とする「資産形成」の二つの側面があります。
資産形成を目的に不動産を探し始めた方が、だんだんと利回り重視になってしまい、最終的に築古物件に手を出してしまう場合があります。自分の投資目標が何であるかを最初に認識し、迷ったときにはここに戻ってくるのが良いでしょう。
もちろん、「資産運用」と「資産形成」の両方を狙うこともアリです。その場合は、どちらに重点を置くか、比率的なものを決めておくのが良いでしょう。
②投資に使える金額を確認する(初期費用)
有利な条件のローンを使えば、10万円程度の少ない頭金で不動産投資を始めることができます。自己資金に余裕があってもできるだけローンを活用し、自己資金は他の投資に回すこともできます。
ただし、ローンの条件に関しては、ご自身の勤務先・収入の状況や購入先の不動産会社が利用できる提携ローンの種類、購入する物件の金融機関による担保評価などによって異なってきますので、誰もが最良な条件でローンを活用できるということではありません。
逆に、ある程度の自己資金を使ってローン金額を抑えれば、月々の返済金額も減るので、後々のキャッシュフローに余裕ができます。また、ローンの期間も短縮することができますので、リスクを抑えたい方は多めの自己資金を準備する方が良いでしょう。
③投資に使える金額を確認する(ランニングコスト)
ローンを利用して不動産を購入する場合、ローンの利息と借入金の返済を月々の家賃収入から支払っていく必要があります。
よく「収支プラス」といった言葉を聞きますが、これは、家賃収入から管理費・修繕積立金と管理手数料を差し引いた純収入から、利息と返済金額を差し引いても手元に資金が残ることを一般的に「収支プラス」といいます。
収支プラスであれば、ランニングコストの心配をする必要が無いわけではありません。入居者の退去により一時的に家賃収入が入らなくなったり、設備(エアコン・給湯器など)の修理・更新で費用が必要になったりします。
また、収支プラスの計算には、毎年の固定資産税・都市計画税が考慮されていない場合もほとんどです。さらに、管理費・修繕積立金が値上げになることもよくあります。ギリギリの資金計画では手元資金が無くなってしまうリスクもあります。
当然、収支がマイナスの物件もありますので、自分がだいたい毎月どのくらいの資金をランニングコストに充てられるか事前に確認しておく必要があります。投資物件を購入する際には、あらゆるリスクを見込んでシミュレーションを立てることが求められます。
④ゴールを決める
最終的にどの程度(戸数)の物件を保有したいのか、その場合の毎月の家賃収入、何歳くらいでローンの返済を終えて、家賃収入を得たいのかなど、ざっくりとしたゴールをイメージしましょう。もちろん、投資を進めて行く中で、自身の収入や金利などの外部環境の変化によってゴールを再設定する必要も出てくるでしょうが、あらかじめてゴールのイメージを作っておくことは大切です。
⑤他の投資商品も確認しよう
投資対象は不動産以外にも、株式、外貨(FX)、定期預金、債券などさまざまです。
不動産であれば、REITと呼ばれる不動産投資信託などもあります。株式なら、一年で10倍以上になるような銘柄もありますので、一獲千金を狙うこともできます。
しかし、それぞれ、リスクとリターンもありますし、株式や外貨などは手間や時間を取られてしまいます。自身の資金の状況やゴールを達成るするために、どの組み合わせで投資をするのがベストかあらかじめ確認しましょう。
不動産投資を始める
①不動産を探すか不動産会社を探すか
まずは、イメージをつかむために、インターネットで物件を探してみましょう。投資用不動産を紹介するポータルサイトはいくつかありますので、そこに自身が気になる条件を入力すれば、いくつか物件が出てくるでしょう。そこでまずは、だいたいのイメージをかためてください。
投資用の不動産を購入する方法は、大きく分けて二つあります。仲介会社を通じて購入する方法と不動産会社から直接購入する方法です。それぞれのメリット・デメリットは他の記事で紹介していきますが、ご自身で資金やローンを準備できるのであれば仲介をそうでなければ不動産会社から直接購入することを選択するのが一般的です。
②インターネットで物件、不動産会社を探す
仲介会社を通じて不動産を購入するのであれば、そのまま、インターネットで物件を探していきましょう。不動産会社を探すのであっても、インターネットを活用しますが、このような不動産投資に関する記事が紹介する不動産会社に問い合わせてみたり、ポイントサイトを活用したり、いろいろ方法があります。
③不動産会社に問い合わせをしてみる
実際に気に入った物件があれば、その物件を取り扱っている不動産会社に問合せをしてみましょう。もし、最終的にその物件が気に入らなくても、同じような条件の物件を探してくれるでしょう。不動産会社とのお付き合いが始まります。
もちろん、複数の物件を検討するために、複数の不動産会社とお付き合いすることも可能です。自分に合わないと思ったら、他の会社に問い合わせしましょう。
物件が決まっていなく、不動産会社から直接購入する場合は、まずは、不動産会社とどのように接点を持つのが良いでしょうか。もちろん、直接に問い合わせをすることもできますが、とりあえず資料請求をしてみたり、不動産会社が開催しているセミナーに参加してみて会社の雰囲気や特徴を確かめるといった方法もあります。
④物件の確認
購入しても良いと思った物件が出てきたら、その物件をよく確認しましょう。中古物件であれば賃貸中のものがほとんどなので、室内を見ることはできません。それでも、現地に行って立地や外観、更には管理状況を確認することは必要です。
自分が住んでも良いと思える物件であることは、必要最低条件です。その他、不動産会社が準備する資料から、間取り、方位、設備、入居者の属性などもチェックしましょう。宅配ロッカー、洗面所独立など、ご自身のこだわりをもって物件を探すのも良いと思います。今は自然災害が多い時代ですので、ハザードマップも確認しましょう。
⑤収益シミュレーションは重要
物件購入後の収益シミュレーションは非常に重要です。あくまでシミュレーションですので、この通りに行くとは限りませんが、収入と支出の状況を把握し、最大限のキャッシュフローリスク額を確認しておけば、後々慌てることもありません。最悪のケースも想定したシミュレーションも立てておきましょう。
不動産購入時の手続きの流れ
とうとう気に入った物件が決まりました。物件も確認し、収益シミュレーションなども済ませたので、いよいよ購入手続に入ります。
①事前審査
購入希望者がローンを利用する場合、不動産会社が提携金融機関にあらかじめローン利用が可能かを打診する場合があります(事前打診)。収入・勤務先・勤続年数などが明らかに提携金融機関が提示している条件を上回っている場合は事前打診は必要ありませんが、条件がぎりぎりの場合は事前打診によって、利用できる金融機関やその条件をあらかじめ確認することが必要になります。もし、どの金融機関も利用できないのであれば、この段階で不動産投資は諦めることになります。
②購入申込
不動産購入の意思がかたまれば、まずは、不動産会社に購入申込書を提出し、正式に意思表明を行います。購入申し込み時点では、購入申込金も少額ですが支払うことになります。
この購入申込金は契約時の手付金に充当されますし、購入申し込み自体を取り止めれば、返金されることになります。また、購入申込書は一般的には法的な拘束力はなく、無条件での取り消しは可能なものとされています。
購入申し込みと同時に、ローンの事前審査を申し込みます。この際には、本人確認書類(免許証など)や健康保険証、源泉徴収票(3年分の場合もあります)などのコピーが必要となります。
③要事項説明と契約の締結
不動産会社の方で重要事項説明書と契約書の準備ができれば、契約の手続となります。不動産会社によっては、購入申し込みから契約締結まで数日しか取らないこともありますので、撤回可能とは言え、むやみにまた中途半端な意思で購入申し込みをしないようにしましょう。
重要事項説明とは、宅建業法に定められた規則に則り、購入する物件と契約の条件に関して、事前に宅地建物取引士が購入者に対して書面を提示しながら説明するものです。
重要事項説明後、契約の締結となります。契約時の手付金が必要であれば、事前の購入申込金との差額をこの時に支払います。
④ローン契約締結と引渡し日の確定
金融機関からローン利用が承認された後、ローン契約(金銭消費貸借契約書)の締結を行うとともに、物件の引渡しと残金清算の日程を確定します。また、手続を担当する司法書士に登記に必要な書類をあらかじめ捺印して提出する場合もあります。
⑤引渡しと残金精算
不動産の引渡し(名義変更)時には、残金精算を済ませる必要があります。残金は売買代金から契約時の手付金を差し引いた金額ですが、その他、司法書士の登記手数料、火災保険、契約書への印紙代などの諸費用、更には、家賃・敷金・固都税などの精算も必要となります。大部分は金融機関から振り込まれたローンを充当することになります。
⑥その後の諸手続き
マンションであれば管理組合に毎月の管理費・修繕積立金を支払う必要があります。通常は口座振替で、引渡し時に口座振替の依頼書を提出しますが、口座振替が開始となるまでに時間がかかる場合があるので、それまでは、管理組合からの請求をもとに自分で振り込む必要があります。
また、引渡し後、国土交通省からアンケートが来ますし(回答は義務ではありませんが、回答する方が良いでしょう)、不動産取得税の支払いもあります。
物件を管理する
購入した不動産は管理する必要があります。賃貸物件であれば、入居者の管理と物件の管理です。具体的には、入居者からのクレーム対応(修繕、周囲の騒音など)、空室・滞納が発生すればその解消など幅広くあります。
もちろん、ご自身で管理することもできますが、修繕対応が遅れれば、入居者への補償金が発生する場合もリスクもあるので、ある程度の費用払っても賃貸管理会社に委託するケースがほとんどです。賃貸管理会社の選定基準は他の記事で解説しますが、引渡し時までには、管理会社をどこにするか決めておきましょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
不動産自体を購入する現物不動産投資には、手軽さはありません。株式投資であれば、口座を開設して、入金し、ネットですぐに注文を出すことができますので、投資を始めようとしてから数日で資産運用を開始することができます。
しかし、不動産は最低でも1ヶ月は、かかります。この1ヶ月でも早い方で、できれば、3ヶ月くらいはかける方が良いでしょう。
不動産投資を成功させるには、ある程度の時間と手間をかけることが必要です。なかなか慣れないとは思いますが、準備は大切ですので、ネットや本などで知識を得るようにしてください。
まとめ
以上、不動産投資の始め方と始めた後のことを解説していきましたが、結構面倒に感じる方も多いでしょう。しかし、ご自身の将来のお金の問題であり、さらに不動産投資となれば、2,000万円を超える投資となりますので、不動産投資の準備はしっかりと進めておきたいですね。
もちろん、準備の段階から、不動産会社と一緒に考えることもできます。気軽に相談できる、信頼できる不動産会社については、他の記事で紹介させていただきますので、そちらをご参照ください。