不動産投資セミナーの活用方法と参加の注意点を投資のプロが解説します!

近年、不動産投資人気の活況にともない、不動産投資に関するセミナーが多く開催されています。しかし、不動産投資セミナーの中には、本当に優良なものばかりではなく、中には参加者を騙そうとするものや、無理やり物件の購入をさせようというものも残念ながら少なくありません。そこで本当に役立つ不動産投資セミナーから不動産投資セミナー活用のポイントまで、これまで豊富な不動産投資運用経験を持つファンドマネージャーが解説します。

不動産投資セミナーとは

そもそも不動産投資のセミナーとはいったいどういったものなのでしょうか。不動産投資自体に様々な種類があるため、ひとくちにセミナーと言っても沢山の種類があります。

セミナーの種類について

セミナーといっても、内容がいろいろとあります。テーマごとに大きく分けると以下の通りです。

  • 不動産投資に関するセミナー
  • 相続対策、節税など税務を中心としたセミナー
  • 投資運用に関するセミナー
  • 金融機関のローン勧誘、保険勧誘のセミナー

それぞ主催者側の趣旨に違いがあり、参加する人の層も変わってきます。講師も著名人から、その会社の社員の方まで幅広く、参加費が有料であったり無料であったり、更に、参加すればクオカードやカードポイントプレゼントなどの特典があるものもあります。

不動産投資に関するセミナー

以前であれば、不動産の営業手法は名簿業者から購入した名簿に基づき、DMを出したり、直接電話をかけたりすることが主流でしたが、最近は、個人情報保護法などにより、そのような営業手法に制約が出てため、セミナーを利用して販売活動を行う会社が多くなってきています。
同じ投資用の不動産でも、ワンルームマンション、一棟アパート、区分所有マンション、一棟マンションなど個人が投資する不動産も様々で、それぞれ投資のメリット、デメリットがあり、購入検討する顧客層も様々です。

ワンルームマンション販売セミナー

ワンルームマンションへの投資は、都心部の新築ワンルームマンションであれば2000~4000万円、中古ワンルームマンションであれば1000~3000万円ぐらいが中心価格帯であり、投資経験のない方やサラリーマンの副業的な投資で手の届く範囲であることから、そういった方向けに、多くのワンルーム販売会社がセミナーを開催しています。
セミナーのほとんどは、自社が取り扱う物件を販売するためのセミナーであり、集客をかけるため、セミナー参加者にクオカードやカードポイントプレゼントなどを付与する場合もあります。

セミナーの内容は、不動産投資のメリット・デメリットから始まり、その会社が販売している物件の紹介や、物件の利回りと所有にかかる諸費用、所有期間の管理費や修繕積立金、固定資産税などの費用、減価償却費を勘案した所得税の減額効果、提携ローンの紹介などが中心的な内容になります。また自社の販売実績や会社の内容、物件購入後の管理会社の紹介なども行われます。

紹介物件はその不動産業者が売主となっている、または仲介している不動産が中心なので、自分が欲しいと思う地域や欲しい種類の物件を扱うセミナーを受けるのがよいでしょう。

購入対象物件の説明をわかりやすく受けられる良い機会ではありますが、販売価格が市場価格と乖離していないか、賃貸需要がある地域か、市場競争力のある物件か、さらには将来の資産性があるかなどもよく検討しなければなりませんし、また、中古物件の場合であれば、築年数、建築業者、管理会社と管理状態なども確認することが必要ですので、購入に関してやや強い勧誘を受ける場合もありますが、その場では決めずに、必ず、冷静に判断できる時間をおきました。また、自分の目線の合わない物件を紹介されたらしっかりと断る勇気を持っていることが大切です。

一棟アパート販売セミナー

ワンルームマンションに比べると、やや郊外で、新築アパートを建築して利回り商品として販売している不動産業者が開いているセミナーが多く、価格帯はワンルームマンションよりはやや高額、5,000万円~1億円ぐらいが中心価格帯となっています。やや高額なことから、セミナーの対象は年収では1,000万円超の大手企業サラリーマン、医師や弁護士などの士業などが中心となっています。

アパートは郊外に立地しているため、土地代は比較的安価でで建物は木造、鉄骨造りなどが多く、マンションに比べるとコストが安い分、高い利回りが期待できます。また、減価償却費が大きくなるので中古のアパートであれば、節税効果も期待できます。しかし、アパートは修繕費などもかかりますから、純収入が鉄筋コンクリート造りのマンションと変わらない場合もあります。

アパートは、減価償却費を利用した節税効果を狙った中心の物件が多いため、節税を謳うセミナーが多いようです。ワンルーム販売同様に販売を目的としたセミナーなので、その中で自社及び物件管理会社(多くは自社子会社)の販売実績・管理実績や会社の内容などが中心となります。これらのセミナーも集客をするために、セミナー参加者にクオカードやカードポイントプレゼントなどを付与するものも多く見受けられます。

ワンルーム販売と同様に紹介物件はその不動産業者ば販売または仲介している物件が中心ですので、自分が欲しい地域や物件内容を扱っている会社のセミナーを受けるのが良いでしょう。

こちらの場合も、ワンルームマンションセミナーと同様、どんなに気に入った物件があっても、または強い営業を受けても、その場では購入を決めずに、一旦検討する時間を設け、価格が市場の相場価格と乖離していないか、賃貸需要がある地域かつ物件か、さらには将来の資産性があるかなどもよく検討することが大切です。さらに、中古物件であればm築年数、建築業者、管理会社と管理状態などもよく確認しましょう。

一棟マンションなどの大型投資を扱うセミナー

1億円以上の一棟マンションなどの大型物件を中心に販売するセミナーの場合は集客数よりは、ターゲット層を高額収入の医師や弁護士、企業経営者、地主などに絞り込んで集客を図るセミナーが多いようです。

そのため、セミナー参加者に対する金券などのプレゼントよりも、税理士や弁護士などの専門家を講師に招き、節税や相続対策など、専門的な知識の提供を謳ったセミナーも多く見受けられます。
取り扱っている物件も高額であり、マンションやアパートに比べれば、手持ちの物件数も少なく、また、ローンが利用できるかの事前審査も必要な場合も多いので、セミナーの主催者も、セミナー参加時点で購入が決まることは期待していなく、セミナーは購入検討の入り口と考えているようです。そのため、具体的な販売物件の紹介はあるでしょうが、それにこだわることなく顧客に合う物件を後日探して提供してくれる流れのものが多くなっています。

この場合でも物件回り(立地、価格、管理など)の確認は必要ですが、節税や相続対策といった税務や法律といった専門分野のことが大きくかかわってきますので、ご自身の税理士や弁護士にも期待された効果が得られるのか、また、リスクは無いかを確認してもらうようにしましょう。

相続対策、節税の税務を中心にしたセミナー

大手、中堅などの税理士法人やコンサルティング会社は税制改正のポイント解説するなど、相続対策や節税に関するセミナーを開催しています。これらは無料のものがほとんどですが、講師が有名人あったり、内容が高度な場合は、有料の物もあります。主に所得税や相続税などの税務が中心ですが、その節税対策には不動産投資を活用することが多いため、具体的な物件についても取り上げられることがあります。この手のセミナーはやや専門的過ぎて難解なこともありますが、正しい税務知識を習得するにはとても有効です。また不動産会社と違い特定の販売物件を斡旋されることもなく純粋に不動産関係の知識を習得できることもあります。

具体的な物件の内容などの提示は稀で、すぐに投資をしたい人には向いてませんが、最近は不動産会社とタイアップしたセミナーも多く、前半で税務・相続対策、後半で不動産会社から物件の紹介といったものもあります。

投資運用に関するセミナー

銀行や証券会社などの金融機関は、支店において顧客向けにセミナーを開催しているところが多くあります。題材は不動産投資に限らず、具体的な金融商品の紹介を始め、企業投資・売却、事業継承、税務など多岐にわたります。最近の経済市況動向の解説や市場の見通しなどもあります。

この手のセミナーでは、具体的な販売用不動産が紹介されることは稀ですが、経済状況や不動産市況、ローンの借り方など、不動産投資に関連する事柄について有意義な情報が得られる場合があります。特に銀行が主催のセミナーでは、住宅ローンも含めた不動産ローンの相談窓口を設けている場合もあります。休日開催もありますので、具体的な相談も可能です。

また、REIT(上場不動産投資信託)の動向は不動産市況を反映していますので。REITに関するセミナーを聞けば、マンション、オフィスビル、ホテルなど、さまざまな種類の不動産について空室率や供給状況などがわかりますので、不動産投資にはとても参考になります。

金融機関のローン勧誘、保険勧誘のセミナー

セミナーというよりも、相談会といった形式のほうが多いとは思いますが、借入の方法や条件などを知るにはとても有意義なセミナーです。具体的に不動産を購入する可能性があり、また具体的な購入物件が決まっている場合などはとてもよい機会かです。

不動産投資セミナー活用のためのアドバイス

ここまでご紹介したように、不動産投資に関するセミナーといっても、このようにいろいろな種類があります。大切なことは自分がどのような目的でセミナーを受けたいのかということです。

もし投資物件を探したいのであれば、不動産会社が主催するセミナーに参加して最適な物件を探すのも良いと思います。

セミナー体験談

私も、さまざまセミナーに参加したことがありますが、まずは、自分の住所、氏名、職業、購入したい価格帯、頭金の予定額などをヒアリングシートに記入してセミナーを受けます。

セミナーでは、具体的な物件の紹介もありましたが、セミナー後も要望に合いそうな物件をメールなどで紹介してもらえました。その後もいろいろと連絡をいただきましたが、条件(価格・立地・利回りなど)をはっきり提示していたので無理な勧誘もなくいろいろな情報を収集できました。

アドバイス

ただし、セミナーで紹介された物件情報をすべて鵜呑みにしてはいけません。購入決定する前に他社の物件とも比較し収支などを試算して検討すべきです。ともすると話の中で購入意欲が沸いて、冷静な判断ができなくなる場合もありますので注意してください。

気に入った条件に合う物件が無ければしっかりと断ることも大切です。また、新築ワンルームならば新築ワンルームだけで対象物件はその分野に限られて一棟アパートや中古ワンルームと比較することはそのセミナーの中では難しいと思います。その辺も即答せずにいくつかの対象物件の違うセミナーに参加して比較してみるのも大切です。

一般的な投資の勉強をしたいという場合は金融機関などの投資運用セミナーに参加してみるものよいと思います。必ずしも不動産だけではないですが、株式や債券、為替など多くの知識を持つことで不動産投資のメリット、デメリットがわかります。また、不動産投資にはローンの知識はとても大切ですからその点でも有意義だと思います。

他にも相続対策や節税について深い知識を得たい場合は大手、中堅などの税理士法人やコンサルティング会社は税制改正などを中心としたセミナーに参加することも面白いと思います。不動産会社のセミナーと違って具体的な販売物件の提示はありませんが、専門的な知識を得ることができて不動産の相続対策や節税に関する有効性やその仕組みがよくわかるでしょう。

また、参加に対する報酬(Amazonギフトカードやポイントサイトなどのポイント)が発生するセミナーは、知識を提供する以上に顧客情報を得たり物件の販売営業をするなど、主催者側の趣旨がある場合があります。物件の条件(価格、立地、利回り、管理状況など)などが、自分で良いと判断できる物件であればよいと思いますが、それ以外の場合は検討を断ることは問題ないことです。ただし、純粋に報酬目的で参加することはお勧めしません。

このようにセミナーは使い方によってはとても良い情報源となりますので、有効に使って多くの知識を得てよい投資物件を探して投資を成功させましょう。

まとめ

1.不動産投資に関するセミナーはさまざまな種類があります。

2.自分が得たい知識、自分がしたい投資にあったセミナーを探して参加しましょう。

3.いろいろなセミナーに参加して知識を深めることはより成功に近づく近道でしょう。

4.セミナーで物件を紹介されても、その場で購入は決めてはいけません。

5.自分の希望する条件ははっきりと伝え、曖昧な返事はせずに、断るときははっきりと断りましょう。

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