【税理士による解説】住宅取得等資金贈与の非課税措置とは~申告に必要な書類も含めて解説

1.住宅取得等資金贈与の非課税措置とは

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家族間の贈与であっても、贈与税は発生します。

しかし、住宅を購入した際や増改築した際の資金として親や祖父母から贈与を受けた場合は、贈与税の一定額を非課税にすることができ、これを「住宅取得等資金贈与の非課税措置」といいます。

この制度は2026年12月31日までの贈与が対象となりました。

この制度は税制改正により延長され、新しく購入する住宅が「質の高い住宅」の場合は、非課税限度額が1000万円となることが含まれています。

この質の高い住宅とは、省エネ性の高い住宅や耐震性の高い住宅、バリアフリー性の高い住宅など、国が定める一定基準をクリアした住宅のことです。

質の高い住宅の条件

条件1 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上

条件2 耐震等級2以上または免震建築物 耐震等級2以上または免震建築物

条件3 高齢者等配慮対策等級3以上 高齢者等配慮対策等級3以上

※2023年末までに建築確認を受けた住宅、もしくは2024年6月30日までに建築された住宅は、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上

なお、それ以外の住宅の場合は、非課税限度額が500万円とされています。

2.住宅取得等資金贈与の非課税措置を利用するには

住宅取得等資金贈与の非課税措置を利用するには以下の要件を満たす必要があります。

要件1:贈与できるのは直系尊属のみ

贈与をする側が、父母や祖父母のような直系尊属であることがこの制度を利用する要件となります

義理の両親や、叔父、叔母からの贈与の場合は、利用することができません。なお、義理の両親からの贈与に対してこの制度を利用したい場合は、養子縁組が必要となります

要件2:翌年の3月15日までに住宅を購入(増改築)し居住すること

贈与を受けてから翌年の3月15日までに、住宅取得等資金の全額を使って住宅の購入や増改築を行って、かつその住宅に居住しなければなりません。

要件3:受贈者の合計所得金額は2000万円以下

贈与を受けた年の所得金額の合計が2000万円以下である必要があり、住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は 1000万円以下となります。

3.住宅取得等資金贈与の非課税措置を受けるために必要な書類

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住宅取得等資金贈与の非課税措置を受けるためには、3月15日までに贈与税についての申告をしなくてはなりません。

その1:贈与を受ける人についての書類

①戸籍謄本

住宅取得等資金贈与の非課税措置は、両親や祖父母など、直系尊属からの贈与が一定の額まで非課税となります。

そこで戸籍謄本では、贈与を受ける人の身元と、直系尊属からの資金援助であることを確認します。

②源泉徴収票

源泉徴収票とは、年間に会社から支払われた給与の金額や所得税として納めた金額などが記された書類です。

住宅取得等資金贈与の非課税措置を受けるには、所得額に制限があるため源泉徴収票で証明をしなければなりません。

その2:非課税措置を利用するための住宅要件についての書類

①登記事項証明書

登記事項証明書とは、住宅がどこにあって、誰が所有していて、どのような広さでといった情報が記された書類です。

非課税措置の対象住宅は、床面積や用途によって一定の要件が課されており、それらを証明するために登記事項証明書が必要となります。

②売買契約書の写しまたは新築の工事請負契約書の写し

売買契約書は、物件購入時に受け取る書類です。

また、工事請負契約書は、施工会社に工事を依頼して合意が得られた段階で取り交わす契約書です。

非課税措置を受けるためには、贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与金を充てて住宅を購入することが要件となっています。

これを証明するために、購入する住宅や土地の購入年月日が記載された書類が必要になります。

また、非課税措置は、配偶者や親族などの「特別な関係にある人」から購入する住宅の場合は適用されません。

そこで、これらの書類は特別な関係性の人から住宅を購入していない証明としても使います。

そのため、書類に取得者や工事請負業者の記載がない場合は、別途作成する必要があります。

その3:特別な場合の書類

住宅取得等資金贈与の非課税措置は、何らかの理由で取得した住宅にすぐに住むことができない場合でも要件付きで非課税措置が受けられる特例があります。

特例を受けるためには、次のような書類が別途必要です。

①期限までに取得する住宅に居住できない場合の特例

住宅取得資金贈与の非課税措置を利用するためには、贈与された翌年の3月15日までに取得した住宅に居住していなくてはなりません。

しかし、何らかの理由でこの日までに居住できない場合でも、その後遅滞なく取得した住宅に、確実に住むことができると見込まれる場合には非課税措置を受けられます。

この特例の申請には、入居できない事情を記載する書類や、遅延なく入居することを誓約する書類などが必要となります。

②期限までに取得する住宅が完成しない場合の特例

住宅取得等資金贈与の非課税措置を利用するためには、取得する住宅が贈与を受けた翌年の3月15日までに完成しなくてはなりません。

しかし、完成できない場合にでも建物の骨組みができあがり、家の最上部の屋根を支える棟木を取り付けた、棟上げの状態以降まで建築されていれば非課税措置を受けられます。

この特例の申請には、新築にかかわる請負契約書のコピーや、完成予定年月日が記載された書類などが必要となります。

その4:省エネ等住宅に該当する場合

非課税の限度枠が1000万円まで増加する質の高い住宅を取得する場合は、その住宅の状況によって、申請の際に別途以下のいずれかの書類が必要となります。

証明対象が「新築住宅」「建築後使用されたことのない住宅」「建築後使用された住宅」の必要書類

①住宅性能証明書

②建設住宅性能評価書の写し

③住宅省エネルギー性能証明書

次の④及び⑤の両方の書類

④長期優良住宅建築等計画の認定通知書等の写し

⑤住宅用家屋証明書(その写し)または、認定長期優良住宅建築証明書

次の⑥及び⑦の両方の書類

⑥低炭素建築物新築等計画認定通知書等の写し

⑦住宅用家屋証明書(その写し)または、認定低炭素住宅建築証明書

4.ほかの制度と併用する場合に必要な書類について

「相続時精算課税制度」または、「暦年課税制度」と併用できます。

ただし、暦年課税か相続時精算課税のどちらか1つしか併用できません。

相続時精算課税制度を選んだ場合、免除された贈与額は、最終的に相続財産として合算されます。

加えて、いったん相続時精算課税制度の利用を選ぶとその後、暦年課税制度を選択することはできません。

その1:相続時精算課税制度

一定金額まで贈与税を収めずに贈与を受け取ることができる制度です。

相続時精算課税制度を受けるためには、贈与税の申告書や相続時精算課税選択の届出書のほかに以下の書類を提出する必要があります。

①贈与する人と受けた人の戸籍謄本などの書類

②贈与を受けた人の戸籍の附票

③贈与する人の住民票または戸籍の附票

その2:暦年課税制度

1~12月の間に受けた贈与の額が基礎控除の110万円以下だった場合は非課税になります。

暦年課税は申告書提出時に別途書類は必要ありません。

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