2024年1月から米国でビットコインETFの取引が開始されましたが、このETFは他の米国ETF同様、日本でも投資することはできるのでしょうか?
残念ながら、現時点において、日本でビットコインETFを購入することはできません。しかし、将来的に日本でも取引が開始できるような取り組みも始まっています。
この記事では、ビットコインETFやその他仮想通貨ETFについて解説して行きます。
そもそもETFとはどのようなものか
ETFとはExchange Traded Fund の頭文字を取ったもので、文字通り取引所(Exchange)で、取引される(Traded)、投資信託(Fund)、のことです。(野村アセットマネジメント、ホームページより)
日本語では「上場投資信託」といいますが、株価指数などの特定の指標に連動することを目指した投資信託で、株式と同様に証券取引所に上場している金融商品です。
ビットコインETFのメリット・デメリット
ビットコインETFは、ビットコインの価格に連動することをめざした金融商品の一つです。
これまでは、販売所や取引所を介して売買されていたビットコインが、ETFとして証券会社を通じて市場で売買することができるようになりますが、メリットやデメリットはどこにあるのでしょうか。
メリット1:税制
ビットコインETFは、他のETFと同様に上場有価証券として、売却時の値上がり益や分配金が支払われた際にその収益に対して20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の課税がなされます。
もし、特定口座を使えることができれば、他の取引との損益通算もでき、納税に関する計算や手続きを証券会社に任せることが可能です。
ビットコインを現物で売買した場合、その収益は雑所得扱いとなるため、最大で約55%の税率が課せられます。
また、20万円を超える利益が出た場合や、そのほかの所得との合計額が20万円を超えたら確定申告をする必要が出てきます。
メリット2:保管リスク
ハッカーによって、CoincheckやDMMから巨額の仮想通貨が流失しましたが、ビットコインETFであれば、取引所における保管リスクを回避することができます。
デメリット1:取引時間
ビットコインの取引は、24時間365日可能です。しかし、ビットコインETFは、市場の買付可能時間しか取引することができません。
デメリット2:ETFとしてのコスト
ビットコインETFには大きく分けて、ビットコインの先物価格に連動する「先物型」と現物価格に連動する「現物型」があります。
先物型は商品設計によって、ロールオーバー時にコストがかかりますし、「現物型」であってもETFとして運営されるための信託報酬がかかります。
ビットコインであれば、そのようなコストは必要ありません。
ビットコインETFと他の仮想通貨ETFの取引状況
米国は11本のビットコインETFが上場
これまではビットコインの先物ETFのみが承認されていましたが、ついに2024年1月10日にNYSE(ニューヨーク証券取引所)アーカなど3証券取引所からのビットコイン現物ETF11件の上場申請が一括承認され、翌日から市場で売買されるようになり、取引開始からおよそ3カ月で約560億ドル(8兆円以上)の資産を集め、ウォール街に旋風を巻き起こしています。
更に、5月23日にはイーサリアムのETF8本を承認して、市場は更に拡大していく見込みです。
香港はアジア初めての仮想通貨ETF市場をスタート
2024年4月30日からは、香港の取引所で、アジアで初めてのビットコインETFの取引がスタートし大きな話題となっています。
中国自体は仮想通貨の取引を禁止していますが、金融センターとしてシンガポールやドバイなどと競合する香港は、1年余り前から、仮想通貨取引の中心地となるため規制の整備などを進めてきたようです。
香港は金融トレーディング拠点としての評判を回復させたいと考えているようで、今回、承認された6本のETFのうち3本が、当時は米国でも承認されていなかったイーサリアムのETFであったことも注目を集めています。
資金規模は米国には及ばないものも、今後もユニークな市場となることが期待されます。
実はビットコインETFはカナダで初めて承認
米国でビットコインETFがスタートしたことが注目されていますが、実は、ビットコインETFはカナダで2021年2月11日に承認されています。
その他、バミューダ、ブラジル、ドバイでもビットコインETFは売買されていますが、市場規模としては、やはり米国が今後主流となって、仮想通貨市場に大きな影響力を及ぼしていくことになるでしょう。
日本の現状
前述した通り、日本においては米国や香港で承認されたビットコインETFを含む仮想通貨ETFを購入することはできません。
通常、海外のETFを日本の証券会社で購入できるようにするには、金融庁に「外国投資信託に関する届出」がなされたETFであることが法令により定められていますが、現時点において、届け出はされていません。
しかし、将来的に米国の運用会社がビットコインETFの届出をする可能性はあるでしょう。
また、2024年7月には、SBIホールディングスが、米運用会社大手フランクリン・テンプルトンと年内を目処に主にデジタル資産を取り扱う運用会社を設立すると、日本経済新聞が報じました。
米国はビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を運用対象に組み込んだ上場投資信託(ETF)を解禁しており、日本でも規制緩和を見据えて準備を進める動きとされています。新会社の出資比率はSBIHDが51%、フランクリン・テンプルトンが49%を予定しています。
まとめ
ビットコインETFの取引は、米国で2024年1月から始まりましたが、既に多くの資金を投資家から集めています。
日本では、購入することはできないものの、これだけ大きな市場になれば、いずれ日本の市場にも開放されることが期待できます。
もし、今すぐにでも投資したいとなれば、現状、ビットコイン現物に投資するか、米国市場でビットコインに関連する企業の株に投資する方法があります。
ちなみに、ビットコイン関連銘柄としては、コインベース(COIN・取引所)、クリーンスパーク(CLSK・マイニング)、テスラ(TSLA・ビットコインを大量保有)などが有名です。