不動産投資に関する知識はあっても、いざ、物件を購入するとなると、やはり他の人の意見も聞いてみたくなります。また、不動産投資は、資産形成や税金などのお金の話しも絡んできますし、不動産取引においては、契約や登記など、不動産に関わる専門的な話も出ます。どれも、一人で知識を習得することは無理なので、いざという時に相談できる窓口があるといいですよね。
ここでは、事例別の相談窓口を説明するとともに、皆様が最も悩む不動産営業マンとの付き合い方を解説して行きます。
不動産投資の代表的な相談相手は?
不動産投資全般に関しては、不動産投資経験者であったり、不動産会社に相談するのが一般的です。それぞれの特徴を解説して行きます。
相談相手1:不動産投資経験者
不動産投資経験者は一番の相談相手になるでしょう。不動産会社の営業マンだとどうしても利害関係がありますが、不動産投資経験者は同じ、投資家・購入者の立場・目線から話を聞くことができます。
不動産会社との付き合い方であったり、不動産会社の評判、値引き交渉の方法など、具体的な手法であったり、不動産投資を始めようとした動機やその物件に投資した一番の決め手など、投資したからこそわかるアドバイスを得ることができます。
ただし、職業や年齢、更には収入などが異なると、あまり参考にならない場合もあることを注意しなければなりません。現金で購入した人に、ローンの相談をしても分からないでしょうし、また、節税目的でアパートを購入した人に、資産形成目的の区分マンション投資を相談しても、期待した答えは返ってこないでしょう。
できれば、職場の同僚や先輩に不動産投資経験者がいると心強いです。いずれにせよ、不動産投資経験者の話しは、一番参考になりますので、周りに不動産投資経験者がいれば話を聞いてみるのも良いですし、ネットでも体験談が出ていますので見てみましょう。
不動産会社のホームページにも、投資経験者のアンケート調査などが出ていますが、いろいろな方の話しを見てみましたが、多少割り引いて見る方が良いと思います。失敗談も探してみましょう。
相談相手2:不動産会社(不動産投資会社)
周りに不動産投資経験者がいない場合、次に思いあたるのは不動産会社でしょう。不動産会社との付き合い無くして、不動産投資を行うことは、ほぼ不可能です。
取引相手としてではなく、まず、相談相手として不動産会社と付き合い始めるのが良いでしょう。不動産投資会社に頼めば、喜んで無料相談にのってくれるはずです。投資用の不動産を取り扱う会社には、以下の通り、いくつかのタイプがあります。それぞれ特徴を解説して行きます。
新築不動産会社
新築ワンルームマンションを販売する会社は、主に新築を販売していますが、自社が過去に販売した中古物件も取り扱っています。また、最近では、他社が分譲した中古ワンルームマンションも取り扱い始めている会社もあります。
新築不動産会社の営業マンは、新卒で入社している場合が多く、若い営業マンは、まだ知識不足の場合もあります。しかし、新築不動産会社は、上場会社であったり業歴が長い会社もあり、比較的、コンプライアンス意識が高く、あまり無理な営業はしてきません(あくまでも不動産業界の中での比較としての話ですが)。大手上場企業であったり、業歴が長い会社(中には50年くらいの業歴の会社もあります)は比較的安心です。
取り扱っている物件の種類は少ないですが、中堅社員になれば不動産やローンの知識も豊富です。ファイナンシャルプランナーの資格を取得している方も多くいらっしゃいます。じっくりと話しを聞いてみたい方にはお勧めです。
中古不動産会社
中古不動産会社は、不動産投資ブームにより新しい会社もどんどん出てきており、営業マンも、他業種からの転職組も多く、バックグラウンドが豊富な人材が集まっています。ですので、不動産以外にも保険や証券の話しができる営業マンも多くいます。
しかし、不動産業界の経験が浅く、不動産相場が良い時期しか知らないことから、ちょっと危ないところもあります。また、更に、すぐに転職してしまうことも多く、少ししたら会社が変わっていたなんてこともよくあります。
取り扱っている物件も豊富ですし、勢いもありますので、まずは軽い気持ちで相談したい方にはお勧めです。
仲介会社
仲介会社は、一番取り扱っている不動産の種類が豊富です。三井、住友や東急など大手不動産系の仲介会社は会社としての安心感があります。物件も多く見ているので、相場観などは良くわかっています。
ただし、仲介会社は取り扱っている顧客も物件も多いので、細かいことにあまり時間を取ってもらえない場合もあります。また、投資用ローンを調達する金融機関は自分で探さないといけないので、ローンに関する相談はあまりできません。
自己資金豊富で、自分でローンが調達でき、物件面での相談事が多い方にお勧めです。
相談相手3:不動産会社(賃貸管理会社)
不動産会社での賃貸管理をメインにしている会社は、賃貸や管理に関する相談に乗ってくれます。駅前にある、ピタットハウスやアパマンであったり、地元の不動産会社が賃貸管理を行っています。
通常は、このような店舗を訪れるのは、主に部屋を借りたい方ですが、店舗のガラス壁面に、賃貸用だけでなく、投資用の物件も出しているようなところは、相談に乗ってもらいやすいです。
予約なしに、ふらっと言っても対応してくれる場合もあります。ただし、実際に資金計画を立てたりなどは期待でいないので、とりあえず話を聞いてみたいという方にはお勧めです。
専門家
不動産会社以外にも不動産投資関連の専門家に相談することもできます。ただし、それぞれ自分の専門分野に絞った回答になりますので、具体的な相談事項がある場合に限られます。
専門家1:ファイナンシャルプランナー(FP)
FPとはくらしとお金に関わる幅広い知識を持った「家計のホームドクター」と言われています。従って、家計に関する相談から、税金、投資、保険、老後の資金など、お金に関するあらゆる相談に乗ってくれます。
FPは、中立的な立場から、適したライフプランを提案してくれます。場合によっては、不動産投資を思い直すようにアドバイスしてくれるかも知れません。
FPは、日本FP協会のホームページから探すことができます。
ただし、こちらは有料相談となります。不動産会社の営業マンには、FP資格を保有している方もいますので、そのような方に不動産とお金の相談をすることも可能です。
FPによる無料の相談会もありますが、不動産会社や生命保険会社とタイアップしていて、中立性に欠ける場合もありますので、注意が必要です。
専門家2:司法書士・弁護士
不動産の取引実務など、専門的なことを相談したり、登記の手数料などに関して問い合わせをするのであれば、司法書や弁護士が最適です。
通常は、不動産会社や金融機関から紹介された司法書士を利用することになりますが、自分で探すこともできます。
東京の司法書士であれば、以下の東京司法書士会からのページから検索できます。
専門家3:税理士
不動産投資は副業として収入が入れば確定申告が必要ですし、減価償却などにより収益が赤字になれば、節税の効果を得ることもできます。このように、不動産投資と税務は、切っても切れない関係にあります。
投資によって自分の税金がどのように変化するのか(増えるのか、減るのか)、また、投資後の確定申告の手続きなどがどうなるかなどについて、正確で詳しい情報を得るのであれば、税理士に相談しましょう。
不動産会社の営業マンもそれなりに知識を持っていますが、専門家には及びません。また、サラリーマンや公務員の方が副業として不動投資をすれば、確定申告手続きは必ず必要になります。自分で手続きをすることもできますが、専門家に任せる方が安心です。
税理士は不動産会社から紹介してもらえますが、インターネットで税理士を紹介しているサイトは、いくつかあります。初回相談は無料の税理士もいますので、費用や地域などを比較して頼れる税理士を探してみましょう。
専門家:法律事務所
不動産投資の相談にのる法律事務所が最近増えています。例えば、不動産投資ダイヤルの上野法律事務所などが有名でしょうか。不動産投資においては、投資資金だけでなく、様々な法律の知識も必要となります。そのため、親しい法律事務所があれば、一度話を聞きにいってみることも面白いでしょう。
また、特にトラブルが起きた時なども選択肢の一つになると思います。
よくある相談事項
不動産投資初心から寄せられる、よくある相談事項を紹介していきます。
相談1:不動産投資には自己資金はいくら必要するべきか?
一般的には2,000万円~3,000万円を投資する不動産投資ですが、ほとんどの方が大部分の資金を金融機関からのローンで賄います。では、ローンで賄えない部分の資金は、自己資金としてどれくらい準備するべきでしょうか。
結論からいえば、自己資金の額は、ご自身の年収と購入する物件によって変わって来ます。
まずは、ローンがいくら利用できるかは、借入人の属性(年齢、年収、勤務先、勤続年数など)と担保物件の評価によって決まります。
年収が1,000万円以上で企業に勤めていたり、もう少し年収が低くても(500万円以上が目途)、公務員や大企業など収入が安定している方の場合、良い条件でローンを借りることができます。
また、立地が良く、それほど築年数が古くないマンション(築25年以内が目途)であれば、担保評価額は高くなります。
借入人の属性と担保評価が揃っていれば、手付金10万円で残りはローンで賄えることもあります。逆に、属性が足りなかったり、担保評価額が出ない物件を購入する場合は、自己資金を10~20%程度準備する必要があります。
購入に必要となる諸経費(ローン手数料、登記費用など)も必要になりますが、売主が諸経費を負担してくれる場合もありますので、こちらもまちまちです。
更に、空室リスクなどにも備え、ある程度の自己資金を手元に残しておくべきですので、フルローンが利用できたとしても、最低でも物件購入価格の10%程度の自己資金を確保してから不動産投資を始めるのが安心と考えられます。
相談2:年収が少ない場合は、不動産投資は難しい?
年収が少なく(500万円未満が目途)、不動産投資の実績もない場合、金融機関から良い条件でローンを借りるのは、なかなか難しいと思います。
年収が少なくても、多少金利が高いローンを利用したり、投資金額が500万円にも満たない地方の築古物件や戸建てをほぼ現金で購入することで、不動産投資を始めることもできますが、あまり無理して不動産投資を始めることはお勧めしません。
副業としての不動産投資は長期投資で基本ですので、中途半端な物件で始めるよりも、ご自身の条件が整ったところで、長期に安心して保有できる物件を購入すべきです。
年収が少ないうちは、REITや不動産特定共同事業法に基づく投資商品など、少額で始められる投資で不動産投資の経験を積むべきでしょう。
相談3:不動産購入時に必要となる諸費用にはどのようなものがあるのか?
不動産の購入時に必要となる諸費用には、以下のような費用があります。
- 手付金や頭金
- 収入印紙代金
- 固定資産税
- ローン事務手数料
- 金融機関への融資手数料
- 火災保険料、地震保険料
- 不動産登記費用(大部分は登録免許税)
- 不動産会社への仲介手数料(売主から直接購入する場合は不要)
- 司法書士手数料(相場は10〜15万円程度。司法書士によって異なる)
- 不動産取得税(固定資産税評価額×3%で計算する。購入後、3~9ヶ月後くらいに支払う)
- その他の振込手数料など
仲介会社を介して不動産を購入するために必要となる諸費用の目安は、物件価格の7%程度と言われています。売主から直接購入すれば仲介手数料は不要なので、約4%程度と見込んでおけば大丈夫でしょう。
相談4:物件の管理は大変なのか?どうしたら良いか?
購入した物件の管理とは二つの業務があります。一つは建物管理で、掃除に始まり、消防設備などの点検、共用部分の修繕です。もう一つは、賃貸管理で、入居者の募集、退去時のクリーニング、入居者からのクレームの処理、家賃の入金が滞った時の督促業務などです。
これらの管理業務物件は大変そうなイメージがあるかもしれません。また、実際に全てを自分で手掛けるのは確かに大変です。しかし、これらの管理業務は、管理会社に任せることができます。
区分所有のマンションであれば、管理組合を通じて外部の業者に建物管理は委託されます(その代わり、所有者は管理費を支払います)。賃貸管理は、専門の業者があり、賃料の3~5%程度で、すべて請け負ってもらうことができます。
もちろん、管理できる時間やノウハウががあるのであれば、自分ですべて行うこともできます。そうなれば、収益面でも有利になります。しかし、副業として行う不動産投資であれば、、基本的には管理会社に任せる方が大多数です。
相談5:家賃収入でローンは返済可能か?
不動産投資では、多くの方が、金融機関からお金を借り入れて物件を購入し、家賃収入で利息を支払い、元金を返済します。ローン金額は2~3千万円と多額で、更に、返済期間も25~35年間と長期にわたることから、不動産投資を始める方がローン返済について不安を抱えるのは当然と言えます。
家賃収入が毎月のローン返済が上回っていれば、ローンに関する問題が起こることは、ほぼ無いと考えてよいでしょう。そのような状態を維持するためのポイントは以下の通りです。
- 金利が低いローンを借りる
- 安定して賃料収入が入る、賃貸人気の高い物件を購入する
- 自己資金を入れて、ローン比率を下げる
- 資金に余裕が出れば、ローンの繰り上げ返済を行う
- 借入期間を長く取り、毎月の支払金額を少なくする
ここでは、敢えて「利回りが高い物件を購入する」ことはポイントに入れませんでした。確かに利回りが高いに越したことはないですが、今のマーケットでは、利回りが高い物件は、空室が高かったり、築年数が古いなどの潜在的な問題を抱えているものも少なくありません。
まずは、調達金利が低いことが重要です。今は、オリックス、ソニー銀行、イオン銀行、東京スター銀行などが、スタート時に2%を切る金利が提示可能です。このような金融機関が担保物件として評価できる物件で、また、このような金融機関と提携している不動産会社が紹介する物件であれば、ローン返済に関するリスクは低くなるといえます。
家賃収入でローンが返済できるかどうかは、リスクの大きさにかかっています。
不動産営業マンとの付き合い方
不動産営業マンと付き合うのは何となく怖いと感じられる方もいらっしゃると思いますが、付き合い方のポイントを抑えておけば、良き相談相手になってくれるはずです。気を付けるべき2点は以下の通りです。
付き合い方1:返事は、はっきりと早めに返す
物件を紹介された場合、気に入らなければ、早めに気に入らないと返事をしましょう。曖昧な返事のままはよくありません。今はまだ勉強中ということであれば、はっきりとその旨を伝えましょう。
物件の条件が気に入らなければ、気に入らない点(価格、立地、築年数)などもはっきりと伝えましょう。曖昧な態度に付け込んでくる営業マンもいます。
不動産営業マンも多くの顧客を抱えていますので、レスポンスが良い顧客を優先しがちです。
付き合い方2:連絡を止めてもらうことも可能
相談先の不動産会社のホームページにプライバシーポリシーが掲載されているか、まず確認しましょう。プライバシーポリシーが定められていない会社に相談するのは避けるべきです。
営業マンの連絡があまりにもしつこい場合は、その会社のプライバシーポリシーに則って、以降の連絡をお断りし、場合によっては、個人情報を削除してもらうようお願いすることもできます。
大手不動産会社であれば、お客様窓口を設置しているところもあります。企業として誠実に対応してもらえますので、怖がらずに、嫌なものは嫌と言いましょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
不動産投資は金額の多い投資です。多額の借入金を抱えることになりますので、決して一人で判断すべきことではありません。投資の判断に限らず、「この場所どう思う?」、「この値段は安いのかな?」など、第三者に聞いてみることは大切です。
身近に投資経験者がいれば、その人を頼りにすべきですし、いない場合は、不動産会社の営業マン数人とお付き合いしておくのが良いでしょう。ざっくばらんに、他からの提案などを聞いてみるのは全く問題ありません。
筆者もこれまで多くの不動産会社の営業マンとお付き合いしてきましたが、一番感じるのは、最近の不動産営業マンは下げ相場を知らないということです。リーマンショックで不動産相場は大きく落ち込みましたが、それも2008年、約13年前のことです。そこから一貫して東京都の不動産は値上がりしており、不動産は値下がりしないと信じてしまっていることです。
確かに、最近のコロナ禍の経済対策で、資産バブルが始まっていますが、相場は下がることもありますので、リスクに備えた投資の判断は必要です。
そこで、ファンドマネージャーが考える理想的な不動産営業マンの三カ条は以下の通りです。
①不動産に関する知識・経験・相場感を持っている(不動産経験が長い)。
②売れている営業マンで、自分でも物件を保有している。
③人間的な魅力があり、礼儀正しい。レスポンスが早い。
なかなかこのような営業マンを見つけることは難しいと思いますし、このような営業マンは売れっ子なので、時間をとってもらいにくいところがあります。
しかし、良い相談相手を見つけるのは、不動産投資を成功に導く重要な鍵となりますので、いろいろな不動産営業マンに合ってみましょう。
まとめ
1.不動産投資を進める上で、相談すること、相談できる人がいるというのは大切なことです。
2.代表的な相談相手としては、不動産投資経験者、不動産会社、専門家(ファイナンシャルプランナー、司法書士、税理士)などがいます。
3.不動産会社も業態によって、相談できる内容が変わってきます。
4.不動産営業マンとは、レスポンス早く、断るときははっきり断るようにしましょう。
5.良き相談相手となる不動産営業マンを捉まえましょう。
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