不動産投資の広告で、「不動産投資で年収200万円アップ」「手取り収入を大幅アップ」のようなものをよく見かけますが、不動産投資はそんなに儲かる投資なのでしょうか?
一方、不動産投資は割に合わないといったような意見もよく聞きます。ここでは、不動産投資の実際の収入と手間について解説して行きます。
不動産投資は割に合わないからやめとけといわれる理由
不動産投資は手間ばかりかかって割に合わない。そう言われる理由はなぜなのか。これまで数々の不動産投資を手掛けた当サイト編集部が総力をあげて調査しました。
①収入がそのまま残るわけではない
不動産投資の収入は家賃収入ですが、比較的利回りが高いアパート経営であれば、表面利回り10%のものもあります。
つまり、5,000万円投資して、年間500万円の家賃収入が入るということです。
年収600万円のサラリーマンの方であれば、給与収入600万円+家賃収入500万円で年収1,100万円と1,000万円プレーヤーの仲間入りです。不動産投資収入は副業で不労所得となるイメージもありますので、簡単に収入を増やせるように感じる方も多いでしょう。
しかし、実際には不動産投資では、家賃収入が全て手元に残ることはありません。まずは、不動産周りの経費がかかります。具体的には以下の通りです。
◆管理費
◆固定資産税・都市計画税
◆仲介手数料・募集広告費
◆修繕費
◆火災・地震保険料
これらの経費は、毎月支払うものもあれば、年1回の支払いのものもあります。
アパート経営であれば、一般的には上記の経費率は20~40%と言われております。つまり、500万円の収入であっても、100~200万円は運営経費として出て行ってしまいます。
更に、投資物件を購入の際にローンを利用している場合、元金の返済と利息の支払いが生じます。
<元利均等返済例>
ローン金額4,000万円
期間25年、金利2.5%だと、年間の支払い合計額は約200万円。
期間15年、金利2.0%だと、年間の支払い合計額は約300万円。
ローン金額5,000万円
期間25年、金利2.5%だと、年間の支払い合計額は約267万円。
期間15年、金利2.0%だと、年間の支払い合計額は約385万円。
つまり、5,000万円でグロス利回り10%のアパートを購入する際、大部分の資金をローンで賄うと、経費・利息・元本返済をすると、ほとんど手元に残る資金はありません。
つまり、500万円の収入アップに見えて、実は、手元に残る資金はほとんど変わらないというのが不動産投資の実態なのかもしれません。空室が続けば、毎月赤字になってしまい、資金を自分で持ち出して、ローンの補填をしなくてはいけない、という可能性もあります。
②不動産投資には労力がかかる
更に、不動産投資は、投資に関するさまざまな手間や労力がかかります。
投資前
不動産投資を何の事前知識もないまま始めるのはとても危険です。不動産業者には良心的な会社もありますが、情報弱者を食い物にしているような悪徳業者も後を絶ちません。
このような会社の甘い言葉に引っかからないように、投資前には、以下のような手間・労力をかける必要があります。
◆ネットや書籍で不動産投資に関する知識を得る
◆ネットなどで物件情報を探す
◆不動産会社が開催するセミナーに参加する、実際に不動産会社の担当者に会ってみる
◆購入候補となる物件を見に行き、管理状況、周辺の住環境を確認する、また、ネットなどで家賃相場を調べる
◆金融機関とローンの条件を確認・交渉する
◆売主・仲介会社と購入条件を交渉する
◆管理会社を探す
良い物件を購入する、また、良い条件でローンを調達するのは、不動産投資を成功させる鍵です。そのために、事前知識の取得・実際の交渉に費やす時間は必要経費と言えましょう。
投資後
投資をしてしまえば、後はお任せということではありません。投資後も、手間や労力はかかります。
◆確定申告手続き
◆家賃入金の確認、督促作業
◆管理費、税金の支払い
◆管理状況の確認のため、年に数回は現地に行く
◆ネットで周辺の家賃相場、売買相場を確認しておく
◆引き続き、ネット・書籍・セミナーで最新の不動産投資環境に関して知識をアップデートする
一部は、専門家・専門業者に手数料を支払って、委託することはできますが、それ以外のものは自分の手で行う必要があり、それなりの時間と労力がかかります。
ではなぜ不動産投資をするのか?
不動産投資には思いの他、手間や労力がかかります。終業後や休日を利用することになりますが、もし、この分の時間の残業代が出るとしたら、どれだけの金額になるでしょうか?それにもかかわらず、不動産投資は、収入が増えるように見えますが、経費やローン関連の支払いをすれば、手元に残る資金も多くありません。
逆に、資金が出ていく方もいらっしゃるでしょう。不動産投資は「割に合わない」投資です。では、なぜ不動産投資をする人はいるのでしょうか?
①ローンのメリット(レバレッジ効果)
今の低金利の状況を利用して、不動産投資資金でローンを利用すれば、少ない資金で多額の不動産投資を行うことができます。
時間はかかりますが、物件購入後は、家賃収入といくらかの持ち出しで、ローンが完済となれば、借金の無い不動産が手元に残ることになります。
②ローンメリット(団体信用生命保険)
ローン契約時に団体信用生命保険に加入すれば、契約者に死亡や高度障害などの万一の事態が発生しても、保険がローンの残債を返済してくれます。ご家族には借金の無い不動産を残すことができます。
③インフレヘッジ
物価や地価の上昇が起これば、保有している不動産も値段の上昇が期待できます。毎年の収入増にはつながらなくても、その場合は、資産価値の増加や売却益を期待することができます。
④節税効果
給与所得が高い方は、投資した不動産の減価償却を活用し、不動産投資を赤字とすることで、節税効果を得られる場合があります。
⑤絶対利回り
都心の不動産が値上がりしたといっても、預貯金や債券投資に比べると、利回りは比較にならないほど高いです。世界の投資家や金融機関が、資金運用のため、東京などの不動産に積極的に投資しています。
手間をかけずに収益をあげる方法は?
割に合わない不動産投資、メリットは理解できたけど、それでも手間はなるべく省きたいですね。手間を省くには、「優秀な不動産営業マン」と「優秀な管理会社」をあなたのブレーンとして見つけることです。この二つを見つけるのには手間を惜しまないでください。
優秀な不動産営業マンであれば、物件の悩みや融資の悩みをあなたに代わって解決してくれますし、優秀な管理会社であれば、管理に関わる面倒な手間を代行してくれます。
不動産投資の相談先と不動産営業マンとの付き合い方について解説しています。
管理会社の選定方法について解説しています。
手間をかけたくない方へのお勧めの投資
不動産投資のメリットは理解していても、そんなに手間も労力をかけたくないというのであれば、他の人に運用を任せる「投資信託」や積立型の「株式投資」がお勧めです。
投資商品は、それぞれ固有のリスクがありますので、リスクの理解と商品を選択するくらいの手間と労力は必要になります。こちらも、「優秀なファンドマネージャー」に出会えることができれば、運用成績も良くなるでしょう!
投資信託には、不動産投信や不動産会社の株式を組み込んだようなものもありますので、間接的に不動産に投資することもできます。ただし、現物不動産以外の投資では、ローンによるレバレッジ効果や団体信用生命保険による生命保険効果などのメリットは享受できません。
不動産投資と株式投資を比較解説しています。
まとめ
不動産投資は、事前の知識が必要であったり、自分の目で確かめたりすることが必要なので、思いのほか手間と労力がかかります。
それにもかかわらず、手元に残るキャッシュフローはそれほど期待できません。
本当に割の合わない投資と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、不動産投資には、手元に残るキャッシュフロー以外にもさまざまなメリットがあります。手間や労力を節約するには、あなたの優秀なブレーンを見つけるしかありません。
優秀な不動産営業マンと管理会社を探す労力や手間は惜しまないようにしましょう。