20代で不動産投資は早過ぎる?成功させるためのポイントを解説します

20代と言えば、就職してからまだ数年。30代からバリバリ働くための準備期間と捉え、まだまだ老後に備えた資産形成なんて早過ぎると考える方も多いでしょう。

一方、20代から不動産投資を始めている方もいらっしゃいます。ここでは、20代のお金の現在地を確認しながら、20代から不動産投資を始めるメリットや成功するためのポイントを解説していきます。

20代の収入と貯金

厚生労働省の令和2年賃金構造基本統計調査によると、年齢別の賃金は以下の通りとなっています。

年齢階級 男女計
賃金
(千円)
対前年
増減率
(%)
年齢階級間賃金格差
(20~24歳=100)
年齢計 307.7 0.6 145.1
  ~19歳 179.6 0.1 84.7
20~24 212.1 0.4 100.0
25~29 244.6 0.4 115.3
30~34 274.4 -0.3 129.4
35~39 305.2 0.2 143.9
40~44 329.8 0.4 155.5
45~49 347.4 -0.3 163.8
50~54 368.0 -0.4 173.5
55~59 368.6 1.3 173.8
60~64 289.3 2.8 136.4
65~69 257.4 4.0 121.4
70~ 247.9 5.8 116.9

働き盛りの50代に比べると、約6割程度、やはり20代の所得は低いということがわかります。では、年代別の貯蓄金額はどうなっているでしょうか。金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査」(令和2年)の結果を見てみましょう。

2人以上世帯 単身世帯
平均 中央値 平均 中央値
全世代 1,721 900 1,044 300
20歳代 350 235 203 81
30歳代 644 423 484 206
40歳代 1,177 686 1,066 400
50歳代 1,955 1,000 1,601 622
60歳代 2,154 1,465 1,872 860
70歳代以上 2,208 1,394

こちらは、年代別金融資産保有額です(単位は万円)。平均と中央値がありますが、中央値の方がより現実的な数値となります。20代であっても、2人以上世帯であれば235万円、単身世帯でも81万円の金融資産があるようです。そこから少しづつ金融資産は増えていきますが、引き続き中央値で見ると、「老後2,000万円問題」の2,000万円には達していません。

確かに、20代は収入・貯蓄もまだまだ少ないので、資産形成や投資を考えるのは難しいと考える方も多いでしょうが、先輩方の資産運用状況を見ると、老後のお金は不安になりますね。今の70歳代は、若い頃は預金金利も高かったにもかかわらず、金融資産は2,000万円に達していません。とはいえ、その世代は年金制度に守られているので、そこまでの金融資産は必要ありませんが、今の20代はそうなる保証はありません。やはり、今までのように給与収入と貯金だけで老後に備えるのは不安が残ります。

20代から不動産投資を始めるメリット

年金や退職金制度に不安がある状況で、政府も「貯蓄」から「投資」へと行動変化を促しており、税制改正など、投資を後押しする環境作りもしていますが、まだまだ、個人が投資の主体となるには時間がかかりそうな状況です。

ただ、数十年後のことではありますが、老後のお金は何とかしなければなりません。「貯蓄」に頼れない低金利の状況下、20代から不動産投資などを始め、行動を始めている方もいらっしゃいます。もうちょっとしてからと、後回しにしたい気持ちもありますが、いつかは始めないといけません。

では、収入と貯蓄がまだ十分でない20代から不動産投資を始めるメリットはどこにあるのでしょうか。

メリット1:そもそも、スタートが早いというメリット

不動産投資ローンは、一般的には最長で35年間借りることができます。借入期間が短くなると、毎月の返済金額は多くなるので、20代で不動産投資を始めるのであれば、ローン期間は長い方がよいでしょう。35年と長期のローンですが、20代で借りれば、退職前に全額返済も可能です

収入が順調に増えれば、複数の物件を取得したり、繰り上げ返済により早期にローンを完済させるなど、選択肢も増えてきます。早く始めれば、投資経験も自ずと長くなります。不動産市況の流れは、実際に投資をしているとより分かります。

メリット2:20代でも不動産投資ローンが利用できる

20代であっても、不動産投資ローンは利用できます。もちろん、新入社員では難しいですが、勤続が3年を過ぎてくると、金融機関によっては、30代と遜色ない融資条件でローンが借りられます。もちろん、勤務先、年収、自己資金、購入する物件の担保価値など、審査をクリアーしなければならないこともあります。

不動産投資ローンは物件の収益力を重視しますが、いざという時に借入人の収入からの支出も必要になるので、収入状況もチェックします。そのため、定年退職が見えてくる50代では長期間のローンを組みにくいですが、逆に20代は長期間のローンを組みやすいといったメリットもあります

ローンに関しては、以下に補足説明をしているので、そちらも参考にしてください。

メリット3:時間に余裕がある内に始めることができる

不動産投資を始めるにあたっては、不動産投資に関する勉強をしたり、実際に不動産会社が主催しているセミナーに参加したり、物件を見に行ったりなど、結構、時間と手間がかかります。30代で結婚して子供が生まれたばかりだったりすると、そのような時間を取ることは、なかなか難しいでしょう。

20代は30代や40代に比べて、公私ともに自分の時間が取りやすいので、不動産投資の準備にはよい時期と思われます。30代になって、あまり時間をかけずに物件を購入して後で後悔するといったケースもありますし、30代になれば投資物件よりもマイホームの購入の方が優先順位が高くなって収益物件探しどころではなくなるかも知れません。

成功させるためのポイント

ポイント1:不動産投資に関する知識を学ぶ

不動産投資に関して学ぶことに年齢制限はありません。ネットで情報を探したり、セミナーに参加したり、実際に物件を見に行くなど、不動産投資に関する知識を得るための時間作りをしてください。不動産投資をするかしないかは、不動産営業マンに勧められるのでなく、自分で判断できるようにしましょう。

ポイント2:自己資金を準備しておく

20代から不動産投資ローンが利用可能といっても、自己資金もある程度は必要です。また、年収や勤続年数などの条件もありますので、まだ条件に達していない場合は、不動産投資ができる条件に達するまで、計画的に月々の収入からいくらかを自己資金として貯めておきましょう。自己資金が少なくても、フルローンでの投資を勧めてくる不動産営業マンもいるでしょうが、空室や修繕リスクに備えて自己資金を確保しておくべきです。ギリギリの資金計画で投資を始めるのはやめましょう

ポイント3:自分の身の丈にあった投資から始める

不動産投資の情報を収集していると、いろいろな儲かりそうな情報が出てきます。しかし、儲け話には必ず裏があります。そんなに儲かるのであれば、人に教えずに自分で独り占めする方が儲かるに決まっています。

自分の収入、自己資金、また、不動産投資に割くことができる時間をもとに、自分に合う投資かどうか判断しましょう。不動産投資は資産形成や資産運用であって、過度のリスクを取りに行くものでもありません。

あくまでも、本業の収入を増やしていくことが人生の目的ですので、不動産投資にのめりこみ過ぎないように気を付けてください。

20代からの不動産投資モデルケース

20代で現物不動産投資を始めるのであれば、年収500万円で自己資金200~300万円は欲しいところです。もちろん、フルローンが利用可能で諸費用サービスともなれば、頭金10万円でも現物不動産投資を始めることは可能な場合もあります。しかし、空室リスクなどを考えれば、投資金額の1割程度の自己資金は準備しておく方が安心です。

20代で最初の投資は、立地の良い区分マンション投資がお勧めです。立地の良い区分マンション投資は、アパートなどに比べると利回りは低いですが、管理に関する手間はあまりかからず、安定した運営が可能です。長期間保有していれば、途中で売却する際こともあり得ますので、多少値段が高くても立地の良い場所である方が安心です。

その後、収入が上がり、自己資金も増えてきたのであれば、資産形成として同じような物件を購入しても良いですし、節税目的で築古の木造アパートを購入しても良いでしょう。自分のライフプランに合わせて、どのような不動産に投資していくか長期で計画を立てましょう。

もし、年収が300~400万円の場合は、現物不動産投資でなく、不動産投資信託(REIT)や不動産投資小口化商品、または、不動産会社の株式など、不動産投資に関連する金融商品を購入して、不動産投資に関する知識レベルを高めるとともに、自己資金を貯めておきましょう。

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20代で不動産投資ローンを借りるための基礎知識

20代で不動産投資を始めるのであれば、自己資金に合わせて、不動産投資ローンを借りて投資する方がほとんどでしょう。

30代であれば、自宅購入のために住宅ローンを借りた経験がある方もいらっしゃる方思いますが、20代となれば、初めてのローンでいろいろと不安に思う方もいらっしゃると思いますので、ここでは、不動産ローンに関する基礎知識を紹介していきます。

基礎知識:1 不動産投資ローンは家賃収入で返済する

不動産投資ローンは2,000万円~3,000万円と大きな借金となりますが、基本的には投資した不動産の家賃収入で、長い時間(最長35年)をかけて、利息を支払い、元金を返済して行きます。

しかし、投資した物件の家賃収入の金額によっては、毎月のローン支払い金額に足りない場合もありますので、そのような物件は、毎月、数千円から数万円を手元資金から支払う必要があります。

毎月のローン返済が家賃収入の範囲で賄える状況を「収支プラス」、その反対を「収支マイナス」と呼んでいます。

基礎知識:2 不動産投資ローンの審査は住宅ローンより厳しい

不動産投資ローンは、都市銀行よりも、ノンバンク系の銀行(オリックス銀行、イオン銀行、ソニー銀行など)や地方銀行(東京スター銀行など)が積極的に融資しています。また、これらの金融機関は、多くの不動産業者と提携し、その顧客には、より良い条件のローンを提供しています。

もちろん、メガバンクでも、不動産投資ローンは取り扱っています。しかし、不動産投資ローンは住宅ローンよりも審査は厳しく、20代だからと言って簡単には借りられません。

不動産会社と提携している金融機関のローンは比較的に借りやすいですが、それでも、勤務先・勤続年数・年収・預貯金額など、いろいろな審査項目があります。

自分が提携金融機関のローンを借りられるかどうかは、不動産会社を通じて事前に確認することもできます。

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ファンドマネージャーからのアドバイス

振り返って自分が20代であった頃思い出すと、当時は、貯金しかしていませんでした。その時代は利息も高く(社内預金の金利は6%でした)、終身雇用と年功序列により、30代から40代に向けて給与は右肩上がりで、退職まで勤め上げれば、退職金と年金で、老後の生活に心配はない状態でした。

しかし、バブル崩壊、金融危機、グローバル化などにより、終身雇用制は崩壊し、更に、ゼロ金利政策と年金不安で、今の20代が置かれている状況は様変わりしました。

仕事を始めたばかりで、投資なんて考えることができない20代ですが、将来のことを考えれば、本業の年収を増やすキャリアップと資産形成についても考えなければならない時代が来たということでしょう。

まとめ

老後のお金を年金に頼ることなく自分で確保するとなると、この低金利の状況下、貯蓄だけでは間にわないため、早い年齢から投資を始めることが必要になって来ています。そのような流れから、最近では、20代で不動産投資を始める方も増えてきています。不動産投資を始める適齢年齢というのは特に無く、20代という早い時期から始めるメリットも十分あります。ただし、成功させるためには、準備も必要ですので、しっかりと知識と自己資金を蓄えて取り組むようにしましょう。

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