不動産投資を勉強するうえで押さえておくべきポイントは何か?

不動産投資は不動産という資産を扱うことから、特殊な用語や法律、税務関係など関連するいろいろな要素が絡み合って来ます。
そのため、全く知識が無い状態で投資を始めるのは非常に危険なことで、最低限、基礎的な知識は投資前に知っておく必要があります。ここではどのような勉強をしておけばよいかを解説します。

不動産投資の特徴とその種類

投資には、不動産以外にも、株式や債券などの有価証券の投資、FX(外貨為替取引)、商品先物取引(金や石油など) など、さまざまな種類があります。

この中で不動産は、株式取引とは違って、取引所など売買する市場が介在せずに常に相対で取引されます。それですと、不動産投資とは、なかなか取引が成立しない、不安定な資産と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、経済規模が大きい地域では、居住する人や事務所で働く人が常にいますので、不動産に対する需要も常に発生していて、その需要は比較的安定しているため、売買取引も仲介業者を通してスムーズに行われます。そのため、日本では、不動産は、価格が比較的安定している資産と見られています。

また不動産にはいろいろな種類があり、マンションやアパート、一戸建て、事務所ビル、商業施設、倉庫、駐車場などがあります。その中でも、区分所有マンション、アパートなどは個人が投資するには、金額的にも適した物件で、区分所有マンションもワンルームマンション、ファミリーマンションなどの種類があります。

投資に適した不動産の種別

個人投資家が不動産投資を始める場合の鉄則はまずは無理をしないということです。

そのため、特にサラリーマンのような方は年収の数倍以内の投資で収まる、ワンルームマンションを中心とした区分所有マンション投資が向いているでしょう。その投資が成功し、不動産の含み益ができたら次の投資をしていくとよいでしょう。

ここでは個人の投資に向いている不動産の種類を挙げていきます。

(1)区分所有ワンルームマンション

ワンルームマンションは基本的には単身者向けのマンションで面積は18~30平方メートルが中心です。支払い家賃は坪単価がやや高めですが、面積が小さく家賃総額が大きくはないので単身者でも支払いができます。それゆえ、賃貸需要も高く、空室となっても新しい賃借人を探すことが、比較的容易で収入が安定しています。また、都心など便利な場所にありながら、面積が小さいことから、投資総額もそれほど多くない金額で収まります。

(2)区分所有ファミリーマンション

区分所有のファミリーマンションは、都心や大都市近郊の住宅街などが多く、賃貸需要も物件の管理も容易なことから、投資に向く物件も多くあります。また、1LDKなどのコンパクトマンションも単身やDINKS(夫婦2人共働き世代)に人気があり、賃貸需要も安定しています。

(3)一戸建て住宅

一戸建て住宅は投資金額に対する賃料を考えると、一概に投資に向いているとは言えませんが、最近は郊外の価格が安い一戸建てを購入し、リフォーム後、賃貸する方も増えてきました。

上手く成功すれば、安い投資額に対して、家賃は高く取れて、効率の良い投資となりえますが、もともと賃貸需要が低い立地のものも多く、空室期間が長くなる可能性もあるため、ビギナー投資家にはやや不向きかと思われます。

(4)一棟アパート

一棟アパートは、利回りも高く複数の部屋を同時に保有できるので、空室が1室生じても、他の部屋で一定の家賃収入を得ることができる安定した部類の投資です。ただし、アパートの立地は、郊外が多く、都心部に比べると賃貸需要が少ない場所もあるので、投資前の立地の選定がキーポイントです。

(5)区分所有のオフィスビル

最近は区分所有でオフィスビル(の一室)を分譲する業者も出てきましたが、オフィスビルは景気動向によって、入居率や家賃の変動が大きいタイプの不動産なので、ビギナー投資家には不向きだと考えられます。

(6)商業店舗

マンションの1階にあるような商業テナント(店舗など)は、区分所有で売買されているものがあります。それぞれの利回りは高いものが多く、テナントは商売をしていて、その地域で固定客を抱えていることから、一度内装工事をして入居すると長期間安定して入居してもらえることが期待できます。つまり、安定した賃料収入が期待できるということです。ただし、そのテナントの業績が悪化してしまったことにより、家賃の支払いが遅延したり、倒産して内装、備品を残したまま退去してしまうこともあります。
また、駅前の一等地ならば次のテナントは探しやすいでしょうが、やや不便な場所の場合は需要が少なく空室リスクは高くなります。

不動産投資を勉強するポイント

本屋さんに行くと多くのノウハウ本がありますが、不動産投資に関しても、いろいろな書籍が発行されています。ワンルームマンション投資など、それ一つに特化した内容のものも多く見受けられますが、まずは不動産投資に必要な知識に関して、分野全体について大まかに知識を得ておくことが大切でしょう。その方法は、本を買ってもインターネットでその分野を検索しても、不動産会社などが主催するセミナーに行っても、いずれの方法でもよいでしょう。

分野全体といっても大きすぎるかも知れませんし、それほど多くの時間を取れない方もいらっしゃると思いますので、不動産投資全般に関して学ぶ際、不動産投資の仕組み・メリット・デメリット・リスクなどの基本知識以外で、最低限、押さえておくべきポイントを紹介していきます。

(1)不動産に関して勉強しましょう

①投資利回り・キャッシュフローの計算方法について勉強しましょう

不動産業者のパンフレットに掲載されている利回りは予定収入を販売代金で割ったものがほとんどです。しかし、購入時には売買代金のほかに売買手数料、登記費用、取得税などの経費がかかり、保有時には管理費、修繕費(区分マンションの場合は修繕積立金)、固定資産税などがかかります。これらを足し引きして計算しなければ実際の収入はわかりません。まずは総投資額、実際の収入、税引き後の実際のキャッシュフローを計算できるようにしましょう。投資物件を比較する上で、利回り・キャッシュフローは最もよく使われる指標です。

②不動産(土地、建物)そのものについて勉強しましょう

物件の良し悪しは利回りだけで決まるものではありません。購入時は利回りが高くても、古くなるにつれ、空室になってしまったり、家賃が下がっていく物件は良い物件ではないからです。これを見分けるために、不動産(土地・建物)そのものについて、以下のポイントに絞って勉強しておきましょう。

  • 投資に適していて地価が安定し、地盤も安定している地域はどのような地域か。
  • 賃貸需要が旺盛で安定した家賃収入が期待できるのはどのような地域か。
  • どのような構造や部材を使用している建物であると、また、どのようなタイプの建物であると、築年数が古くなっても、安全性、質感ともに問題ない建物か。
  • 管理費用、修繕費用の適正な水準はどれくらいか。

 

③不動産市況について勉強しましょう

不動産価格は、値動きがあるものです。昨年、2,000万円で購入したマンションが、5年後に1,000万円になっているかもしれませんし、3,000万円になっている可能性もあります。株式やFXほど、値動きは大きくありませんが、経済動向や金融情勢、不動産が立地している周辺状況の変化などが、価格に大きく影響を及ぼします。

不動産価格の長期間にわたるこれまでの推移、また、その変化の背景にあるものを学ぶことによって、自分が投資する不動産の価格が今後どのように推移することが期待できるか、また、今は投資に適している時期なのかを判断することができるようになります。

(2)不動産の税務について勉強しましょう

投資用の不動産を購入すれば、賃貸収入や経費が発生し、売却すれば、売却益(または損失)が発生します。
賃貸収入が発生すれば不動産所得の申告、売却して譲渡損益が発生すれば譲渡損益の税務申告をする必要があります。特に、賃貸収入は保有している間、毎年の税務申告が必要です。これはただ家賃収入と管理費、修繕費などの支出を計算するだけでなく、建物の減価償却費を計算して毎年申告することになります。また赤字の場合の他の所得との損益通算の可否も考えなければなりません。実際の申告書作成は税理士に依頼するにしても、購入後の自分の税金がだいたいどうなるかは掴んでおく方が良いので、その内容を理解できる一定の知識は得ておくようにしましょう。

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(3)賃貸管理について勉強しましょう

不動産投資をした場合、入居者からの賃料が入らなければ、管理費、修繕費、税金などの各種費用を支払うことができません。入居者の募集、入居解約手続き、入居者からのクレームの対応など賃貸関連業務が発生しますが、不動産会社に賃貸管理を任せる方が大半だと思います。しかし、内容も全く分からずに丸投げするのは大変危険ですので業務の内容については押さえておいてください。

賃貸管理については、入居者の募集や家賃の管理といった賃貸周りの仕事と建物の清掃や修繕などの建物周りの管理に分けられます。

  • 管理会社の選び方
  • 管理会社との付き合い方
  • 一般的な管理会社のサービス内容、費用水準

などは、知っておくべきことです。

(4)ローンについて勉強しましょう

不動産投資の際、全額自己資金ではなく、大部分を金融機関からのローンで賄う方が大半だと思います。不動産会社から紹介される金融機関を利用し、ローンの条件も提示されたものでOKするのではなく、比較したり条件交渉することも大切です。わずか、0.何パーセントの違いかもしれませんが、30年ぐらいの長期の借り入れになると、支払金額も大きく変わってきます。

  • 住宅ローンと投資用不動産ローンの違い
  • 投資用不動産ローンを取り扱う金融機関
  • 固定金利と変動金利のメリット・デメリット
  • 金利の推移

などは、知っておきべきことです。

(5)他の投資商品について勉強しましょう

不動産投資以外にも、株式投資、外貨投資など、さまざまな投資があります。もちろん、不動産投資にしかないメリットもありますので、単純に比較することは難しいですが、自分の資産運用を不動産一本だけというのはリスクがあります。

不動産投資の鉄則は無理をしないということですが、投資全般の鉄則は「分散投資によるリスク分散」です。株式投資などは、数万円からの少額で投資を始めることができます。不動産投資だけにのめりこまず、他の投資にも目を向けてみましょう。

ファンドマネージャーからのアドバイス

我々が投資を開始した時期に比べると、今はインターネットで全ての必要な情報を得ることができます。

昔の不動産投資は「情報弱者」に高い不動産を売りつける阿漕な商売が目立っていました。それに比べれば、今はインターネットで購入候補物件の参考価格もわかりますので、情報弱者にならずに済みます。投資家と不動産会社の知識レベルが近くなってきたので、力関係も変わってきたように感じます。

ただ、まだ雰囲気や勧められるがままに投資用の不動産を購入してしまっている方もいらっしゃいます。

適正な物件を適正な価格で購入できれば、不動産投資に関するさまざまなメリットをより多く享受できます。物件探しや不動産会社と交渉する前に、最低限必要な知識は勉強して身に着けておくようにしてください。

 

まとめ

1.不動産投資は投資できる不動産タイプもさまざまで、事前の知識がないまま取り組んでしまうのはとても危険です。

2.ネットや書籍を活用して、不動産投資の仕組み、メリット・デメリット・リスクなどの最低限の知識と以下の事項に関して勉強しておきましょう。

  • 不動産(そのもの)
  • 不動産の税務
  • 賃貸管理
  • ローン
  • 他の投資商品

3.上記にとどまらず、更に知識を増やし、不動産会社や金融機関と知識レベルを近づけることで、より良い条件で投資をすることが可能となります。また、もし興味があれば不動産に関する資格を取得してみるのもお勧めです。資格の勉強をすることで、自然と不動産投資の勉強にもなります。

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