不動産投資ローンと住宅ローンはどこが違うの?

不動産投資ローンとは投資用不動産に対する貸付のことで、10~35年程度の長期でかつ元利均等返済が可能な借入です。また、一般の住宅ローンは自宅として居住する物件の購入や改築のみに適用される借入です。ここでは、不動産投資ローンと住宅ローンの違いを解説して行きます。

1 不動産投資ローンと住宅ローンの借入額の違い

住宅ローンは使途が住宅の購入や改築に限定され、返済原資も借入人の収入に対する一定の範囲(通常は年収の40%程度が上限)に限られますから、借入額は物件の担保評価価値とともに、収入によっても上限が設定されます。つまり、担保は購入物件、返済原資は給与収入などの収入ということになります。これに対して不動産投資ローンは、同じように担保は購入物件ですが、返済原資は購入物件から得られる家賃収入が評価の対象になります。つまりは住宅ローンの借入額は年収の数倍でしょうが、投資ローンの場合は賃貸収集が加味されるので年収の10倍、20倍となることがあります。

2 不動産投資ローンと住宅ローンの金利の違い

不動産投資ローンは一般的に住宅ローンよりも金利は高くなる傾向があります。どちらも担保評価の方法は同じ不動産の評価なので大きな違いはないのですが、住宅ローンは返済原資を給与など借入人の購入物件以外からの収入で審査されるのに対して、不動産投資ローンは借入人自身の収入も加味されるものの、購入物件の家賃収入を中心に審査されます。これは、借入の返済原資の違いで、不動産投資ローンは購入物件が生み出す収入に依存します。空室率が長期的に高くなった時には家賃収入が減少して返済に支障が出る場合もあります。住宅ローンの場合は給与収入等が中心で、購入物件を賃貸していないため、返済原資は賃貸した時の収入予想や不動産相場の変動による影響を受けません。つまり住宅ローンは借入人が労働で一定の所得を得ていれば貸し倒れのリスクは低く、逆に不動産投資ローンは物件の空室率、家賃、更に、不動産相場が返済に関係しますのでややリスクは高くなります。その差が融資限度額や金利となって現れるのです。
因みに住宅ローンの金利は変動金利の場合、借入期間10年~35年で年利0.5%~2.0%ぐらいが一般的です。不動産投資ローンの金利は、同様に年利1.5%~5.0%程度が一般的です。もちろん、借入人の収入や資産状況、購入物件の担保評価などによって大きく変わります。

3 具体的な審査の違い

(1)住宅ローン

住宅ローンの審査は借入人の属性、つまり勤務先、勤続年数、預金や有価証券の保有額、既存借入、延滞、不払いなどの有無を確認されます。大手企業などの場合、勤続年数がわかればおおよその退職金なども推定でき、また他の借入がある場合はその元利金の支払いを支払い能力から差し引く必要があるからです。購入物件の評価も当然最重要視されます。大型の新築分譲マンションは金融機関と提携ローンを設置している場合がありますが、これはあらかじめ物件の担保評価を統一的に計算できるので審査は迅速に行うことができます。

(2)不動産投資ローン

不動産投資ローンの場合は、その物件の内容によっていろいろを違いがあります。例えば首都圏近郊の専有面積が30平方メートル以下のワンルームマションは通常は大手金融機関が融資を行わず、大手金融機関系列のノンバンク、オリックスやジャックスのようなノンバンク、またその系列の銀行、もしくは、一部の地方銀行や信用金庫しか融資が出ません。通常のファミリー系や事務所ビルなどの物件への不動産投資は多くの金融機関が取り扱いますがその取り組みへの濃淡があり、積極的なところと消極的なところがあります。また、借入人の属性については住宅ローンと同様な審査をしますが、対象不動産については家賃収入なども含めて深くチェックされます。他にも購入物件の立地や地盤など、建物の構造や築年数、メンテナンス状況、テナント入居情報、家賃設定やその回収状況、土地建物の評価額なども担保評価の対象となります。

①立地
その土地の路線価、用途地域、接道幅、地形、前面道路の幅などを検証してその評価を出します。また隣地や周囲の環境なども加味されることもあります。

②地盤など
近年は水害や地震が増えているので、市町村など公的機関が出しているハザードマップなどで水害、地震などでどの程度の影響を受ける地域か、は検証されると思います。また、過去の地歴を調べることも可能性があります。例えば以前に化学薬品工場があり化学物質が流失している可能性があればその土地の評価は汚染した土地改良コストを差し引かれます。

③建物の構造
建物価値は、当初建築価格を法定年数で減価償却する方法、再建築コストをはじく方法などいくつかの方法があります。逆に老朽化して償却期間が終わった物件などはその解体コストをマイナスとしてみる場合もあります。

④メンテナンス状況
建物のメンテナンス状況はそれまでの管理状態が大きく影響します。修繕履歴を見て建物の修繕状況を見る場合があります。

⑤テナント入居状況、家賃設定
現在の入居状況や過去の入居履歴により今後もどの程度の入居率になるのか確認します。そして、その結果により一定の掛け目を満室想定の賃料に掛けて家賃収入を想定します。また、周辺の類似物件の賃料を検証することも行い、家賃設定が適正か?、また今後の想定家賃はどの程度かも予測します。また、借入人が他に不動産収入があったり、有価証券などの配当収入などがあった場合はそれも加味されます。

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3 その他

(1)不動産投資ローンを組んでいると住宅ローンは組みにくいか?

個別の物件の状況にもよりますが、一般的に他に借入れがある場合は不利になると考えられます。住宅ローンは借入人の収入を返済原資と見ているので、投資物件を保有してその返済資金が家賃収入では足りずに給料など他の所得に依存していれば、住宅ローンの返済原資が減少するからです。ただし、先に所有している投資用不動産の担保余力が大きくあったり、借入返済後のキャッシュフローが大幅にあった場合は逆に借りやすい可能性があります。
ではどちらを先に組むほうがよいかと言えば、一概には言えませんが不動産投資ローンを先に組んだほうがよいと思います。住宅ローンを先に組んでしまうと既存の収入から返済となり、差し引いた返済余力は減少します。その後不動産投資ローンを組む時には自らの収入は住宅ローン返済分として見做されて、その分は不動産投資ローンの返済には加味されません。不動産投資ローンを先に組んだ場合、もしキャッシュフローが返済分を差し引いて余剰する場合や物件が値上がりして担保価値が増えた場合は住宅ローンの審査も通りやすくなる可能性があります。

(2)法人の設立を考えるべきか

投資用不動産は個人でも法人でも投資をすることができます。規模が大きい物件を購入して運営する場合は法人を設立して、その法人が借入を行い所有運営したほうがメリットの多い可能性があります。法人の場合、不動産担保ローンのほかに一般の事業資金融資を金融機関から貸出してもらえる可能性もあります。また、事業に関わる交通費やその他の経費、保有する物件に関わる業務を行う親族などの給与などを支払うことも可能です。半面、毎年決算処理を行って税務申告をしたりする経理事務作業や費用、役員の選任や改選の登記などの事務や費用も発生しますので、差し引きしてどちらが有利かを計算してから法人設立は判断すべきです。

まとめ

不動産投資ローンと住宅ローンとも、不動産購入時の金融機関からの借り入れですが、資金使途が違うことから、条件も大きく違います。相談する金融機関も違ってきますので、自分の目的に応じて、どこの金融機関に相談するか確認しましょう。不動産会社から紹介してもらう方法もあります。

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