【税理士による解説】離婚時の財産分与について~財産分与時のトラブル事例他

離婚に伴う財産分与時のトラブル事例

その1:共有財産を隠している可能性がある場合(個人名義の銀行口座・ネット口座・貸金庫の隠匿)

ネット口座に預金を隠蔽しているときは、口座の取引履歴を開示させ、不自然な箇所に対して相手に説明を求めていきます

銀行口座に関しては、弁護士照会によって口座の有無を確認できる銀行もあれば、できない銀行もあります。弁護士照会では確認できない場合、裁判所を通じて調査嘱託を申し立てることで口座の有無を確認できますが、照会する銀行と支店名を明らかにする必要があるほか、明確な理由がないと裁判所の許可は下りません。

既に開示されている口座の取引履歴や、銀行・貸金庫から自宅に届く封書・はがきから隠匿箇所を予測していきます。

その2:財産分与を拒否された場合

財産分与は民法第768条によって定められた権利であるため、原則離婚後2年以内であれば財産分与を拒否することはできません。

また離婚から2年が経過しても、相手の財産隠しが発覚した場合や、双方の合意のもと任意で行う場合などは例外的に財産分与が可能です。

その3:共有・特有財産を使い込まれた場合

他人の財産を盗んだ場合は「窃盗罪」として処罰されますが、離婚相手が「共有財産」を使い込んでいた場合は、「親族相盗例」と呼び通常は罪としては成立しません。

また、「特有財産」を使い込んだ場合においても「親族相盗例」は適用されるため、刑事責任を問えませんが、離婚後の使い込みであれば損害賠償請求をすることで賠償金を得られる可能性はあります。

その4:特有財産であると主張された場合

「共有財産」と認識していたものについて、相手が「特有財産」を主張してくることがあります。特有財産であることを証明するには、裁判において特有財産であると主張する本人が自身でそれを立証する「立証責任」を有します。

なお、「特有財産」であるか「共有財産」であるかの境界線が曖昧なものは、原則「共有財産」となります。

離婚のため、住居を財産分与する場合

財産分与の対象

「夫婦共同で購入したもの」「婚姻期間に購入したもの」のいずれかに当てはまる住居が分与の対象になり、婚姻後でも「親から相続した」「独身時代に貯めたお金で購入した」といった家は特有財産とみなされ分与の対象外となります。

財産分与の方法

1.売却して現金化する

家やマンションを売却して現金化し、それを分け合う方法です。まず住居の査定を行い、実際に不動産会社等が算出した査定額と、住宅ローン残債を比較し、残債の状態によって現金化は以下の2通りとなります。

①アンダーローンの状態

住居の査定額が住宅ローンの残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、売却したお金で住宅ローンを完済し、残ったお金を夫婦で公平に分け合うことができますが、不動産売却が済むまでは財産分与が終わりません。

②オーバーローンの状態

住居の査定額が住宅ローンの残債を下回る「オーバーローン」の場合には、「家を売却して残債は自己資金で完済する」「任意売却で家を手放す」といった方法で自宅を現金化することになります。

「任意売却」とは、債権者である金融機関の同意が得られた場合、住宅ローンの残債があっても不動産を売却できる方法です。不動産を売却する際には、抵当権(ローン返済が滞った場合、金融機関が不動産を競売にかけて資金を回収できる権利)を解除する必要がありますが、解除するにはローンを完済しなければなりません。

しかし任意売却なら、ローンを完済できなくとも、金融機関の了承のもと抵当権を解除して売却できます。

ただし、任意売却は住宅ローンが返済できなかった「金融事故」として信用情報に履歴が残ってしまう恐れがあり、任意売却を選択する際には慎重な判断が必要です。

2.住居を片方に譲り、もう片方は現金を受け取る

夫か妻のどちらか一方がそのまま住み、他方には現金を渡すという方法です。この場合は、固定資産税の納税通知書を確認する、不動産鑑定士に依頼するといった方法で自宅の評価額を査定し、片方は自宅を引き取り、他方は算出された評価額の半分を現金で受け取ります。

離婚後に片方が住む場合、住宅ローンはどうなる?

離婚後どちらかが家に住み続ける場合の住宅ローンの残債は、「住宅ローン債務の有無」「住居の所有権」の状況によって対応方法が異なります。

住宅の名義人(及び債務者)が住み続ける場合

離婚時に住宅ローンの名義人が、持ち家に住みながら支払いを続けるというパターンですが、片方が連帯保証人になっている場合、名義人のローン返済が滞ると連帯保証人に支払い命令が下ってしまう場合があるので、連帯保証人を変更する手続きを行うべきです

債務者が支払い、妻(夫)が住み続ける場合

離婚後も妻(夫)が住まいに残り、住宅ローンは債務者が支払い続けるというパターンです。

片方の住宅ローン返済が滞ると金融機関が差押えを行い、住まいが競売にかけられ、立ち退きを迫られる恐れがあります。返済が滞った場合に備えて、離婚する際に決める住宅ローンに関する条件を公正証書に記しておくべきです。

夫婦共同で住宅ローンを借りている場合

「共有名義になっている住宅ローンを、家に残るほうの単独名義に変更したい」と望んでも、審査を通して決めた契約内容に対して条件が変わってしまうため、住宅ローン返済中の名義変更は認められません。

単独名義に変更したい場合は、住宅ローンの借り換えを検討すべきです。

離婚の財産分与のために住まいを売る際の注意点

調停の申し立て

離婚前は「離婚調停」、離婚後は「財産分与請求調停」を家庭裁判所に申し立てることが可能です。

ただし、「財産分与請求調停の場合は離婚後2年以内の請求が必要」となり、「調停で合意に至らなかった場合は審判で争う」ことになります。

家を同意なく売却されることがある

財産分与は夫婦が話し合って進めなければなりませんが、なかには相手が共有財産である家を同意なく売却してしまうケースがあります。

そのような事態に備えたいときは、民事保全の条項の「仮差押え」という手続きを家庭裁判所に申し立てておくべきです。

仮差押えとは、判決が確定する前に資産を仮に差し押さえることで、相手が一方的に資産を処分できないようにする手続きです。

不動産に対して仮差押えの登記が行われれば、「この物件は係争中なので購入を避けたほうがよい」と不動産会社や買主に分かるようになります。

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