以前から契約している住宅ローンについて、「毎月の支払い額が負担になってきた」と感じられた場合、住宅ローンを組み直す「借り換え」という方法があります。
住宅ローンの借り換えとは
住宅ローンの借り換えとは、現在借り入れしている銀行とは別の銀行から新たに住宅ローンを借り入れて、現在返済している住宅ローンを完済することです。
今まで借りていた銀行にはローンを一括返済し、その後は新しく住宅ローンを借り入れた銀行に返済していきます。
借り換えのメリット
- 毎月返済額と返済総額を減らせる
- 金利上昇のリスクに備えて低い金利で固定できる
- 団体信用生命保険の見直しができる
借り換えのタイミング
現在の金利水準より、利用している住宅ローン商品の金利が高くなっている場合は、借り換えの検討をすべきです。
借り入れ金額が多い住宅ローンは、わずかな金利の違いでも影響を大きく受けるため、借り換えによって数十万、数百万程度の差が出てくることもあります。
そのためより金利の低い住宅ローンに借り換えれば、返済額の減額につながります。
また「変動金利型」の住宅ローンを利用している場合は、金利が上がるタイミングで「固定金利型」の住宅ローンへ借り換えも検討事項となります。
変動金利型の住宅ローンは、市場金利の変化によって月々の利子も変化しますが、固定金利型に切り替えれば、固定期間中は利子が一定となります。
住宅ローンの切り替えは、以下のようなタイミングが借り換えの目安となります。
- ローンの返済期間が10年以上
- 残高が1,000万円以上
- 利用している住宅ローンと現在の金利水準の差が1%以上
住宅ローン借り換えの流れ
住宅ローンの借り換えをする際の流れは、以下の7つのステップに分けられます。
[ 1 ] 現状のローン残高や金利プランなどを確認する
[ 2 ] 必要書類を用意する
[ 3 ] 借り換える銀行を選ぶ(もしくは商品を絞り込む)
[ 4 ] 借り換える銀行に審査を申し込む
[ 5 ] 借り換える銀行の本審査を通過したら、現在の借り入れ先に完済手続きを申し込む
[ 6 ] 借り換える銀行に融資の申し込みを行う
[ 7 ] 司法書士と面談し、ローン契約の締結を行う
[ 8 ] 融資が実行されたら、現在の借り入れ先の融資を完済する
住宅ローンの借り換えで必要な書類
- 本人確認書類(運転免許証またはマイナンバーカードの写しなど)
- 健康保険証の写し
- 印鑑証明書
- 住民票・源泉徴収票(前年分)または確定申告書
- 住民税決定通知書または住民税課税証明書
- 売買契約書(不動産契約時に交わした書類)
- 不動産登記簿謄本(土地・建物)
- 住宅地図
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面
- 建築確認書
- 住宅ローンの返済予定表
- マイカーローンや教育ローンなど、そのほかの借り入れ明細
- 対象物件の火災保険証券など
住宅ローンの借り換えの注意点
事務手数料
事務手数料とは、借り換え時の事務手続きの費用として銀行に支払う手数料のことです。
金融機関によっては、一定の金額を払う「定額型」と借入金額に応じて手数料が変わる「定率型」があります。
保証料
保証料とは、万が一住宅ローンの支払いができなくなった場合に備えて、信用保証会社に支払う費用のことです。
借り換えの場合、新たに支払う保証料もあれば、繰り上げ返済で完済した分から戻ってくる保証料もあります。
登録免許税
マイホームは銀行の担保に入っているため、基本的に抵当権が設定されています。
抵当権の切り替え時は登記を行うので、登録免許税がかかります。借り換えの際には、現在ローンを利用している銀行の抵当権を抹消し、新たにローンを組む銀行の抵当権を設定します。
登録免許税は借入残高から0.4%をかけた額となります。
司法書士報酬
司法書士報酬とは、住宅ローンの借り換えの手続きを司法書士に依頼する場合に、司法書士へ支払う報酬のことです。
印紙税
印紙税は金銭消費貸借契約書等の契約書を作成する際に必要となる税金のことです。
住宅ローンの借入金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、今は軽減税率が適用されるため1万円です。
借り換え審査
住宅ローンの借り入れは、基本的に「団体信用生命保険(団信)」の加入が必須となります。
団体信用生命保険の加入には、健康状態や収入、信用情報などが影響するため注意が必要です。
以前ローンを組んだ時点では健康状態に問題がなくとも、次の審査で問題があると団体信用生命保険に加入できず、住宅ローンの借り入れができなくなる場合があります。
一方、借り換えをすることで、団体信用生命保険の見直しを行えます。
高度障害や死亡の保障のみだった方は、がんや介護の保障が付いているものに変更できることがあります。
同じ銀行では借り換えができない
原則同じ銀行で住宅ローンの借り換えはできません。
そのため、住宅ローンの借り換えをする場合は、ほかの銀行で検討する必要があります。
ただし、民間金融機関と住宅金融支援機構が提供する住宅ローンである「フラット35」では、これまでと違う住宅ローンの商品であれば借り換えが可能な場合もあります。
当初金利だけでは判断しにくい
住宅ローンの借り換え時に重要な金利は、10年固定金利と銘打っていても「当初金利(借り入れ当初から一定期間のみの優遇金利)」だけでなく、固定期間終了時の金利も考えないとメリットの判断ができません。
住宅ローンの商品価値を正しく判断するには、
「元本(最初に借りたもとのお金)+当初金利の利子+固定期間終了後の利子」
の実質金利(トータルコスト)で比較することが必要です。
贈与税がかかる場合がある
複数人が共同で債務を負う「連帯債務型」の住宅ローンの借り換えをすると、贈与税を課税される場合があります。
夫婦の連帯債務から夫の単独名義のローンに借り換えた場合、妻の分の残債が夫によって一括返済されるため「贈与が発生した」と見なされます。