投資用不動産購入時に値引き交渉は可能でしょうか?
もちろん値引き交渉は可能です。しかし、家電などであれば、価格比較サイトなどで調べて価格交渉に臨むことができますが、不動産は、全く同じものが取り引きされる訳ではありませんので、相場を掴むのがとても難しいと言われています。マンションであれば、同じ間取り、面積であっても、階や場所が違えば値段は変わってきます。
また、不動産投資は何回も行うこともなく、ほとんどの方が初めての取引です。値段交渉に慣れている方はかなり少ないと思います。
では、値引き交渉はどのように進めていけば良いのでしょうか。ここでは、値引き交渉の考え方とこつについて解説して行きます。
値引き交渉を成立させるには
値引交渉には二種類あります。一つ目は断るための値引交渉で、二つ目は、安い値段で買いたいための値引き交渉です。
紹介された不動産が気に入らないけど、不動産営業マンが熱心でなかなか断りにくい場合は、「二割くらい安くならないと」などと、無理な話をして断るケースがあります。(こういう方は、実際に二割安くなっても買わないと思います)。
こう言うような値引き交渉をされると不動産営業マンにとっては、このお客様は、物件購入に踏み切るまでまだ時間がかかると判断し、忙しくて優秀な営業マンであれば、購入意欲がより高い顧客を優先することになります。
また、ただただ「値段が高いと思うから買えない」と具体的な希望値引き幅を提示しない方も同様です。
従って、安い値段で買うために本気で交渉するには、適切な値引き幅を適切なタイミングで切り出して、相手(不動産会社)にこちらが購入する気があるということを認識してもらうことが大切です。
値引き交渉の準備
準備1:交渉相手の状況を掴もう
不動産会社から直接物件を購入するのであれば、その不動産会社の状況を確認しましょう。不動産会社でも、急いででも売りたい時と慌てずに利益重視で売りたい場合があります。決算前で、売上が足りていない状況であれば、値引きの余地が大きくなります。
上場会社であれば、四半期決算が開示されています。ホームページで順調に売れているのか、それとも、販売に苦戦しているのか確認してみましょう。
予算達成の進捗状況が芳しくなければ、ある程度の値引きには応じてくれやすくなります。その会社にとっては、とりあえず一件目は値引きして売って、二件目で利益を回収すればよいと考える場合が多いです。
期限を決めて売りたいという方もいらっしゃいます。法人・個人問わず、税金の関係で、年末までに売ってしまいたいなどのニーズはあります。
仲介会社を通じて物件を購入するのであれば、その仲介会社は、自分だけの仲介会社なのか、売主側の仲介会社にもなっているか確認してみましょう。
通常、自分側だけの仲介会社であれば、仲介手数料は売買代金の約3%ですが、売主側と自分側、双方の仲介会社であれば、仲介手数料も双方からとれるので、売買代金の約6%となります(両手取り引きと呼ばれています)。2,500万円の物件であれば、約150万円です。
仲介会社も取引自体が成立しないと手数料が取れませんので、両手取り引きの場合は、売主が値引きに応じない場合、売主に代わって、仲介会社が仲介手数料を値引いて対応してくれる場合もあります。
売主や仲介会社の情報を掴むことで、値引き交渉をスムーズに進めることができます。
準備2:不動産の状況を掴もう
次に、購入しようとしている物件の状況を把握しましょう。販売を開始したばかりの物件であったり、人気が出そうな条件(価格、立地など)の物件であると、売主も強気なので、なかなか値下げ交渉に応じてくれません。
販売開始してから少し時間が経っている物件(今であれば1から3か月でしょうか)、最近値段を下げた物件などは、値下げ交渉がしやすい物件です。
また、条件が少し劣る物件も値下げ交渉がしやすい物件と言えます。築年が古かったり、管理状況が悪かったりなどありますが、そもそも、そのような物件は買わない方が良いかもしれません。
準備3:自分の購入希望条件を決めておく
値引き交渉には、値引きを要求する根拠があるとスムーズに行きます。家電製品であれば、他のお店で〇円だったので、それくらいにして欲しいという値引きの要求は非常に合理的です。
不動産は同じものが無いので、このような交渉はできませんが、まずはいろいろな物件を見て、比較感が出せるようにしましょう。もし中古のワンルームマンションを探しているのであれば、だいたいこの地域でこのくらいの値段のものを紹介されたことがあるというのをメモしたり、一覧表を作っておくと分かりやすいです。
また、ある程度、自分が許容できる条件を決めておきましょう。築年数、駅からの距離、間取り、設備、階数などのハード面と、利回り、坪単価、月々の持ち出し(収入)などの収入面です。
もちろん、駅1分、築3年で港区、毎月の収支は1万円以上のプラスといっても、そのような条件で物件を購入することはできません。理想は理想ですが、現実的な条件はどれくらいが良いのかは、物件をみたり不動産会社の営業マンと直接話をして、自分のこだわりを作っていきましょう。
全てを満たす条件の物件でなくても、ある程度気に入れば、購入することもあると思います。その際、条件を満たさなかった分だけ値下げして欲しいという要求も合理的です。
値引き交渉を切り出すタイミング
では、値引き交渉はいつくらに切り出すのが良いでしょうか。
不動産購入のプロセスは以下の通りです。
- 物件の紹介
- 諸条件の確認
- 買付申込書の提出
- 契約
- 引き渡し(決済)
物件の紹介時点では、物件のことも売主のことも良く分かりませんので、値引き交渉を開始するのは簡単ではありません。
ある程度、こちらも物件が良く分かって、相手がこちらも本気であることを確認できる買付申込書の提出前が一番値引き交渉がしやすいタイミングです。
契約の直前という手もありますが、このあたりは一度合意したものをひっくり返すことになりますので、不動産に限らず、値引き交渉に慣れた方にだけお勧めします。
契約以降は、契約書で諸条件を決めてしまっているので、値引き交渉はできないと考える方が良いと思います。
値引き交渉の金額
最近は、不動産会社の利益幅も以前ほど大きくありません。大手の中古業者ですと、粗利益は約10%と公言している会社もあります。従って、最大でも5~10%程度が最大の値引きの許容範囲でしょう。
新築のワンルームマンションであれば、もう少し利益幅はあると言われています。値引き前提の価格設定の場合ありますので、こちらもは10%程度から話をしても良いかも知れません。
値引きは、本体値引き、諸費用サービスの主に2種類があります。本体値引きが難しいようでしたら、せめて、諸費用だけでも売主か仲介会社に負担してもらう交渉をしましょう。
このあたりになると値引きの根拠は無くなってきますが、とにかく、何かサービスして欲しいという大阪のおばちゃんの精神で行きましょう。
登記費用、印紙、火災保険料、なんでも構いません。どれも数万円、数十万円するものですから、一つでもサービスになれば、大きい金額です。
ファンドマネージャーの値引き交渉体験談
これまでの自分の値引き交渉の経験を紹介します。
体験談1:仲介物件で、売主と仲介会社で値引き対応
中古マンションを大手仲介会社を通じて購入した際に、約100万円の値引きをしてもらいました。
その物件は、売りに出されてから約3か月間売れなかったため、売主さんは、約100万円販売価格を下げて再販売を開始しました。ちょうどその広告を見つけて、更に、約100万円の値引きをお願いしてみました。
値引が成功したポイントしては、値引き100万円の根拠(坪単価・利回りなど)がはっきりしていたこと、物件を何度も見に行くなど本気度が伝わったこと、仲介会社がいわゆる両手だったので、約100万円の値引きのほとんどを仲介会社が負担してくれたことです。
体験談2:不動産会社から購入で諸費用サービス
中古マンションを不動産会社から直接購入した際に、諸費用をサービスしてもらいました。
最初の交渉から値引きは不可とのことでしたが、買付申込書を入れる直前まで、何かしらのサービスをして欲しいとお願いしたところ、諸費用をサービスしてもらうことができました。
担当者では対応してもらえなかったところ、その上司に直接交渉する機会ができ、上司の権限で諸費用サービスが決まりました。
まとめ
値引き交渉は恥ずかしくて、なかなか切り出せないという方は多いでしょうが、不動産取引は金額も大きいので、諸費用の一部でもサービスしてもらえれば、すぐに何万円かになります。
当然、値下げ交渉が無理な場合もありますが、必ず、値下げ交渉はするようにして下さい。
値下げ交渉を成立させるポイントは、適切なタイミングで適切な金額・根拠のもとに値下げ交渉を開始することです。合わせて、こちらの本気度もわかってもらうようにしましょう。
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