不動産投資を始める方で、まずは、中古ワンルームマンションを購入されるという方は大変多くいらっしゃいます。では、中古ワンルームマンションは、どのルートで購入するのが良いのでしょうか。ここでは、中古ワンルームマンションの購入ルートについて解説して行きます。
中古ワンルームマンションのメリット
そもそも、投資用不動産としての中古ワンルームマンションのメリットはどこにあるのでしょうか。
ワンルームマンションとは、一つの居室にトイレやお風呂、キッチンといった生活に必要な設備がコンパクトに配置されているマンションのことです。以前は、20㎡くらいのものが多かったですが、最近は25㎡くらいと、少し広くなっています。
メリット1:物件数が豊富で選択肢が多い
ワンルームマンション自体は約50年前から建設・販売が始まり、首都圏においては、これまでに15万戸以上が供給されていると言われています。
資産運用型マンションとも呼ばれているワンルームマンションは、投資目的で保有している方がほとんどですので、入居者が賃貸中の状態で売買されます。居住を目的としたマンションが、空室の状態で売買されるのと全く異なります。従って、売買に関する制約が少ないため、取引も活発に行われています。
新築ワンルームマンションは、ここ最近は、首都圏で年間5,000~6,000戸が供給されています。また、最近では城東地区や横浜方面での供給が多く、地域の偏りが見られます。これに比べると、中古ワンルームマンションは、さまざまな立地の物件を選ぶことができます。
メリット2:担保評価が高く、フルローンが可能な物件も多数ある
ほとんどの方が、投資用不動産の購入資金として、金融機関からのローンを利用しますが、中古であっても、金融機関の担保評価が高く、頭金と諸費用以外はローンで賄える、いわゆる「フルローン」が可能な物件も多くあります。また、金利に関しても、新築と同等の条件も可能です。
もちろん、築古であったり、郊外や地方に立地している物件は、そこまで担保評価も出ず、更に、金利が高い場合もありますので、自分が気に入った物件でどの程度のローンが利用できるのかは、金融機関に直接、または、提携している不動産会社を通じて、事前に確認しましょう。
メリット3:新築よりも価格が安く利回りが高い
築年数が経っていることから、新築に比べれば、価格は安い傾向にあります。立地が良い物件は、築年数が経っても、家賃が落ちにくい(むしろ上昇しているものもあります)ため、利回りも高くなります。しかし、築年数が経てば、設備などの修繕が必要になる場合もありますので、管理状況に関しては、事前に確認が必要です。
中古ワンルームマンションを購入する上でのポイント
中古ワンルームマンションは、市場に出ている物件も多く、好みの物件に出会えるチャンスが多い分、きちんと選ぶ必要があります。業者によっては、他にも買い手候補がいると、決断を煽ってくる場合もありますが、すぐには決めずに、冷静になってから判断しましょう。
物件の探し方については、以下の記事で解説しています。
ポイント1:立地
不動産投資の基本は立地です。賃貸収入を得るには、賃貸人気が高い物件であることが必要です。立地が良い物件とは、まずは、駅からの距離、できれば、5分以内であることが好ましいです。また、近くにスーパーやコンビニなどがあり生活がしやすく、道路付けが良かったり、繁華街にあまり近づきすぎない、防犯上、女性でも安心して住める物件であるかが重要です。
購入候補となる物件は、必ず事前に見に行きましょう。もし、どうしても見に行くことができない場合は、Googleマップで周辺を確認してください。
ポイント2:管理・修繕状況
管理組合の収支に関しては、重要事項調査報告書によって、確認することができます。管理組合によっては、事前の計画通りに行かなくて、修繕資金を外部から借り入れていたり、資金が底をついてしまっている場合もあります。
また、ワンルームマンションには、最初から、築数年後に管理費・修繕積立金を値上げすることを決めている物件もあります。
管理状況がいい加減な物件もたまにあります。エントランスにゴミが散らかっていたり、電球がきれっぱなしになっていたり、粗大ゴミが放置されているなど、管理に問題がある場合もありますし、入居者に問題がある場合もあります。
中古物件は、部屋の中には入れないですが、建物のエントランス部分には入れますので、必ず、現地に行って、管理・修繕状況は確認しましょう。
ポイント3:入居者
家賃保証会社が付いていれば、滞納の心配は無いですが、入居者が家賃を支払い続けることができるか自分でも確認しましょう。不動産業者によっては、販売しやすくするために、無理に高い家賃で支払い能力に欠けるような入居者を入れてしまう場合もあります。
また、他の人に転貸してしまっていたりしても、オーナーは部屋の中を見ることもできませんし、入り口で見張っていることもできないので、手の施しようがありません。
居住年数、勤務先、保証人などがしっかりしているか確認しましょう。できれば、保証会社付きであったり、しっかりとした法人の法人契約が望ましいです。
中古ワンルームマンションの購入ルート
では、中古ワンルームマンションは、どのルートで購入することができるでしょうか。
購入ルート1:仲介物件
健美屋などのサイトでは、仲介業者が、売主から委託を受けて、販売用の物件を紹介しています。物件数も豊富で、検索条件を入力すれば、自分の希望に合う物件を探し出すことができます。
仲介物件は、売主から直接購入できるので、業者の利益が乗っていない分、価格が安いという意見も聞きますが、最近では、価格が安い物件は、不動産業者が購入してしまう場合も多いので、今は仲介だから格段に安いということはありません。しかし、物件によっては安いものもありますので、定期的に価格はチェックしましょう。
仲介物件は、築年数が古いものが多い印象です。(築浅で立地の良い物件は、中古業者が買っていると思われます)
仲介物件ですと、購入するためのローンは自分で探す必要があります。ローンに不安がある方は、不動産業者から直接購入し、その会社の提携金融機関のローンを利用することをお勧めします。
購入ルート2:中古業者から購入する
中古ワンルームマンションを販売する業者は山のようにありますので、その中から、信頼できる会社に紹介してもらうか、気に入った物件を販売している会社に問い合わせて購入します。
中古業者の仕入れルートは、所有者から直接仕入れる、仲介で購入する、他の中古業者から購入するの三つに分類されます。所有者から直接仕入れている会社(通称「物上げ業者」と呼ばれています)としては、ランドネットやアスリートなどの業者が有名ですが、登記簿謄本などから、ワンルームマンションの所有者の氏名・住所の情報を入手して、ひたすらDMと電話で販売営業をかけます。
以前は、このような業者は、販売を得意としている会社に販売していました。今でいえば、GA technologiesであったり、日本財託などです。これらの会社は、自分で直接は仕入れずに、業者からの二次販売の位置づけです。
最近では、物上げ業者も、一部の物件に関しては、自分の会社でも直接販売を行っています。
中古業者は、提携ローンが使えますので、自己資金が少なくても投資ができるというメリットがあります。
購入ルート3:新築業者から購入する
新築ワンルームマンション会社であっても、実は、中古物件も販売しています。新築で販売した物件は、自社もしくは関連会社で賃貸管理を請け負っている場合が多く、過去に販売した投資家が所有物件の売却を考える際、一番最初に販売元に相談するケースは多いです。
新築業者は、その物件を買い取って、他の投資家に販売しています。業界最大手のFJネクストの2021年3月期の決算短信によると、売上高約630億円のうち、中古の販売が約210億円と1/3を占めています。前期はもっと多く、半分近くが中古でした。
最近は、物上げ業者が提示する値段が高いため、自社でなかなか買い取れなくなっているとの話しも聞きますが、新築業者も相当なボリュームの中古を取り扱っています。
しかも、新築以来、一貫して自社で管理していることから、管理・修繕や入居者の状況も良く分かっています。自社で販売した物件に限られることから、種類は少ないものの、安心して購入ができます。
他社の中古は扱わない不文律
新築業者が、他社ブランドの物件を取り扱うことは、ほとんどありません。新築業者は、賃貸管理も収益の柱であることから、管理物件が他の中古業者に買われて、管理から外れてしまうことを嫌います。大手の新築業者同士は、他の会社の管理には手を出さないという不文律があり、専ら自社販売物件のみが売買の対象となります。
最近では、プロパティーエージェントが中古を積極的に取り扱い始めましたが、中小の新築業者が販売した物件が中心であるようです。
中古ワンルームマンションの値段はどのように決まるか?
中古ワンルームマンション業者から物件を紹介してもらうときに、「うちは10%の利益しか取っていません」とか「うちは物上げ業者なので、安い価格で提供できます」とのセールストークを聞きますが、そのような業者の物件はお得なのでしょうか?
いいえ、必ずしもお得ではありません。
中古業者(新築業者もそうですが)は、一般的に、販売価格から逆算して、物件を仕入れます。販売価格は、近隣相場なども参考にはなりますが、結局は、頭金10万円で残りをローンにした場合、収支が若干のプラスにできるかの計算です。
収支をプラスにするには、ローン金利や賃貸管理手数料が大きく影響します。従って、大手業者で提携ローンの条件が良いところや賃貸管理手数料を格安にしているところは、プラスが出しやすいといえるでしょう。
いずれにせよ、安く仕入れても、高く仕入れても、販売価格は、投資家の月々の収支が若干のプラスとなる価格です。
同じ物件を他の会社のローン条件と管理手数料で購入すれば、収支がマイナスであるところ、自分のところで購入すれば、プラスになるのでお得ですよと反論を受けるかも知れませんが、不動産の本来の価値としてお得なのでしょうか。。。。
「月々の収支がプラスかマイナスか」というのは、分かりやすい投資尺度です。確かに、ローン期間が35年なら、35年間の支払い総額が気にはなりますが、不動産の本来の価値を考えれば、購入する際には、坪単価なども気にすべきでしょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
筆者も投資用不動産を保有していますが、購入の準備としては、仲介物件を探したり、中古業者を回ったりしました。仲介物件は、時には割安なものがあったり、売れている中古業者は、常にたくさんの物件を持っているなど、それぞれのメリットが感じられました。
しかし、最終的には老舗の新築業者から中古物件を購入しました。中古業者は若い営業マンが多く、勢いがありますが、ここ数年の上げ相場がしか知らず、更に、不動産市場に対する知識不足が見られ、少し物足りなさを感じました。個人的には、新築業者のベテラン営業マンは、リーマンショックなども経験しているので、考え方がしっかりしている印象を受けました。
最終的には、不動産会社の営業マンを合う合わないだと思いますので、それぞれのタイプの営業マンに何人かずつ会ってみるのがお勧めです。
まとめ
1.中古ワンルームマンションは投資初心者に向いているタイプの不動産です。
2.立地、管理・修繕状況、入居者をしっかり確認してから投資判断をしましょう。現地もなるべく見に行くようにしてください。決して、その場で煽られて決めないように、2~3日冷静になって考えましょう。
3.中古ワンルームマンションは、仲介、中古業者、新築業者の三つのルートで購入することができます。それぞれ、一長一短があります。
4.販売価格については、大手業者から購入するのであれば、ほとんど変わりは無いと思います。月々の収支だけでなく、坪単価などでも比較するようにしましょう。
5.仲介、中古業者、新築業者の営業マンのタイプも違いますので、どのタイプが合うか会ってみて決めましょう。