不動産売買は、大きな金額が動く取引になります。そのため、それに関わる手数料も大きな金額になりがちです。売買において必ずかかってくる手数料、それは登記費用です。
今回は、登記費用について計算方法から、売買においてどちらが負担すべきか、また出来るだけ安く抑える方法など、徹底解説していきたいと思います。
不動産の売買で発生する登記
不動産売買で必要な登記は大きく3つあります。
所有権移転登記
不動産売買において、売主から買主に不動産の所有権が移ったことを表す登記を、所有権移転登記といいます。
抵当権抹消登記
抵当権抹消登記は、売主がローンを利用している場合に必要な登記で、抵当権を外す登記です。
抵当権設定登記
購入にあたり、住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記が必要となります。
1.所有権移転登記にかかる費用
まず所有権移転登記にかかる費用を計算していきます。この際の登記費用とは、法務局に登記申請をする際に必要な登録免許税、また司法書士への報酬の2つを指します。(自分でやる場合は司法書士への報酬は必要ありません。)
また、所有権移転登記にかかる費用は、買主が負担することが一般的ですが、売買契約書に記載がされているかと思いますので、売買契約書を確認しましょう。
所有権移転登記の登録免許税
所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額×税率で決まり、税率は、売買や相続など、所有権が移転する原因によって異なります。例えば土地の売買の場合は、1.5%(2023年3月31日まで。以降は2%)となっています。固定資産税評価額については、土地・建物の所有者であれば、課税証明書から、そうでない場合は、固定資産課税台帳の閲覧によって確認できます。
登録免許税の計算方法(売買の場合)
例えば、固定資産税評価額が1000万円の場合、税率2%とすると・・
1000万円×0.02=20万円
移転の原因 | 税率 |
相続、合併 | 0.4% |
遺贈、贈与 | 2% |
売買等 | 2%(例外あり) |
軽減措置で費用を抑えられる
登録免許税は、軽減措置を適用することで費用が抑えられる可能性があります。不動産売買は大きな金額となるので、数%の割引でも大きな金額の割引となります。もし適用可能であれば、積極的に利用していきましょう。
移転の原因 | 税率 |
土地の売買 | 2%→1.5%(2023年3月31日まで) |
新築住宅の保存登記 | 0.4%→0.15%(2022年3月31日まで) |
中古住宅の移転登記 | 2%→0.3%(2022年3月31日まで) |
各軽減措置については、細かい条件が定められています。詳しくはこちらのお知らせをご覧ください。
司法書士報酬の平均
つづいて司法書士の報酬ですがこちらは自由化されており、司法書士が自由に決めることができます。また、移転原因によっても相場は変わってきます。
移転の原因 | 報酬額 |
贈与 | 3万2千円 |
売買 | 3万5千円 |
相続 | 5万5千円 |
売買であれば、おおむね3万円前後が平均額となります。また相続になると報酬額があがる傾向があるようです。また、所有権移転登記を自身でやる場合は、当然こちらの費用はかかりません。
2.抵当権抹消登記にかかる費用
不動産売買の場合、土地や建物にローンがあった場合、抵当権抹消登記をするのが一般的です。抵当権抹消登記には、法務局に支払う登録免許税と司法書士への報酬がかかります。
一般的には、抵当権抹消登記の費用は売主の負担となりますが、売買契約書を確認しましょう。
抵当権抹消登記の登録免許税
抵当権抹消登記の登録免許税は不動産の個数×1000円です。不動産の個数は、土地、建物でそれぞれ別々に考えます。例えば、一般的な一戸建ての場合は、土地一筆、建物1つ、合計2つで2000円となります。
登録免許税の計算方法(抵当権抹消登記)
一般的な一戸建ての場合・・
(土地1筆+建物1個)×1000円 =2000円
司法書士報酬の平均
抵当権抹消登記については、1万5千円くらいが相場となるようです。なおこちらも自分で行う場合はかかりません。
3.抵当権設定登記にかかる費用
続いて抵当権設定登記にかかる費用をみてみましょう。こちらは物件購入後、ローンを組む場合に必要となる登記となります。抵当権設定登記には、登録免許税と司法書士のへの報酬が必要となります。
抵当権設定登記の登録免許税
抵当権設定登記にかかる登録免許税は、借入金額の0.4%となります。例えば、借入金額が1000万円だとすると、4万円という計算になります。
登録免許税の計算方法(抵当権設定登記)
1000万円の借り入れを行った場合・・
1000万円×0.4% =40万円
抵当権設定登記の軽減措置
抵当権設定登記は、一定の条件を満たすと、軽減措置を受けることができますので、積極的活用しましょう。
- 個人の住宅の用に供される床面積50以上の家屋
- 中古住宅の場合は、築後25年以内(木造は20年以内)のもの又は一定の耐震基準に適合するもの
上記に当てはまる場合は、特例税率が、0.1%となります。
司法書士報酬の平均
抵当権設定登記については、司法書士の平均報酬額はおおむね3万円ほどが一般的です。こちらも自分で行う場合はかかりませんが、銀行などが司法書士への依頼がないと受け付けないという場合もあるようです。
軽減措置や自分で登記することで安く抑えることが出来る
さて今回は物件の売買にともなう手数料について解説しました。登録免許税は絶対に削ることはできませんが、軽減措置を利用したり、また自分で手続きを行うことで安く抑えることができます。少しでも手数料を節約したいという場合は、自分で調べて実行してみるのもいいでしょう。