「登録免許税」知っておきたい基礎知識

不動産投資で現物不動産を購入する際にかかってくる税金の一つに「登録免許税」というものがあります。登録免許税は、不動産をはじめ、会社などの登記や登録に対して課税されます。法務局にある登記簿に土地・建物の所有権・その他権利の存在や会社の内容を対外的に示すための登録料と考えたら良いでしょう。

税率と計算方法について

登録免許税は国に納める税金で、税額は土地・建物の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。あくまでも固定資産税評価額ですので、売買価格ではありません。固定資産税評価額は、土地や家屋などの評価方法を定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各町村が個別に決める評価額です。傾向としては、時価(売買価格)よりも低くなります。固定資産税評価額は、所有者であれば毎年納付する固定資産税の納付通知書に記載されています。また、東京23区内であれば、都税事務所で固定資産評価証明書を取得することができますが、所有者と関連が無い方は取得することはできません。通常、売主自身か売主の委任を受けた司法書士・不動産仲介業者などが取得して税額を計算します。

登記 本則
所有権移転登記(土地) 評価額×2.0%
住宅用家屋所有権保存登記(新築建物) 評価額×0.4%
住宅用家屋所有権移転登記(中古建物) 評価額×2.0%
抵当権設定登記 債権額(借入額)×0.4%

マンションをローンで購入する際には、土地部分の税額、建物部分の税額、抵当権設定登記の税額と別々に計算して、合算します。また、以下で解説すると通り、それぞれ軽減措置が適用になる場合もあります。

軽減措置

住宅を購入する際には登録免許税の軽減措置が受けられる場合があります。令和2年の税制改正に基づく、住宅用家屋等に係る主な軽減措置は以下の通りです。

登記の種類 本則 軽減措置
土地の所有権の登記 2.0% 1.5%
住宅用家屋の所有権の保存の登記 0.4% 0.15%
住宅用家屋の所有権の移転登記 2.0% 0.3%
住宅用家屋の抵当権の設定登記 0.4% 0.1%

土地の所有権の登記に関する軽減措置は令和3年3月31日まで、その他は令和4年3月31日までです。

この「住宅家屋」に関する軽減措置ですが、まず登記簿上の床面積が50㎡以上でないと軽減措置が適用されません。登記簿上の床面積は、謄本にて確認することができますが、マンションの場合であれば、壁の内側で囲まれた「内法面積」を指します。しかし、不動産業者が広告などに記載する面積は「壁芯面積」という、壁の厚みの中心線で囲まれた部分なので、内法面積よりは若干広めになります。従って、不動産広告(壁芯面積)で50㎡であっても、登記簿上(内法面積)は50㎡未満で軽減措置が受けられない場合がありますので、注意が必要です。
また、築20年(マンションなどの耐火建築物は25年)を超える住宅は、軽減措置を受けるためには耐震基準適合証明書などの耐震性を有することの書類が必要となります。

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納付方法

不動産の売買にあたっては、土地・建物の引き渡し時(いわゆる決済時)に、買主は売主に残代金を支払い、売主は土地・建物に引渡しに必要な書類と鍵やその他書類を買主に引き渡します。売買対象の土地・建物が売主により担保に供されている場合は、金融機関からの抵当権・根抵当権が設定されているため、引き渡し時には、売主側の金融機関から抵当権・根抵当権抹消に関する書類を受領し、担保権を抹消してもらう必要があります。一般的には、買主は金融機関からのローンで残代金を支払うことが多いので、その場合、引渡し手続きはローンを実行する金融機関で行われます。登記の手続きは司法書士によって行われるのが通常なので、司法書士が、登記手続きに必要な書類(買主から売主への引渡し、売主側での担保権の抹消、買主側での担保件の設定)が揃っていることを確認すると、ローンが実行され、買主の銀行口座に振り込まれます。買主は売主の口座に残代金を振り込み、着金が確認できた段階で、司法書士は登記手続きを行います。以前は、そのまま法務局に行く場合が多かったですが、今は、オンラインで申請する司法書士も増えて来ています。登録免許税は、この所有権移転の登記手続きを申請する際に同時に納付されます。法務局で申請する場合は、窓口で印紙を購入し、オンラインであれば電子納付などの方法により司法書士が登録免許税を納付します。つまり、不動産の購入者は司法書士を通じて登録免許税を納付しますので、他の登記費用や報酬と含めて司法書士に支払っておくことになります。税額に関しては、司法書士が、謄本や固定資産税の評価証明書に基づいて計算してくれます。

まとめ

投資用不動産を購入する際には、登録免許税が必要となります。登録免許税は、他の費用と含めて司法書士の請求に含まれているため、あまり注意して見ることは少ないですが、諸費用の計算をする際には、だいたいの数字は捉えておきましょう。

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