不動産投資は、立地の良い物件を購入しようとすれば、投資金額は2,000~3,000万円と多額の投資となります。
もちろん、金融機関からのローンを利用すれば、投資金額が大きくても、元手が少なく投資を始めることはできます。
では、どの程度の元手が必要なのでしょうか。この記事ではだいたいの目安と、不動産投資を成功させるコツを解説していきます。
元手、頭金、初期費用の違い
まずは、言葉の整理をしていきましょう。
頭金は、不動産購入時に支払う、契約金、手付金です。その後、残代金の支払いと同時に、所有権移転などの手続きを行います。これを「(最終)決済」といいます。頭金は、不動産売買価格の10%程度が相場です。残代金に関しては、多くの方は、金融機関からのローンをそのまま充当しています。
初期費用は、不動産購入に際して、必要な費用です。頭金に加えて、登記費用やローンに関する手数用、不動産取得税などの経費を加えた金額です。
元手とは、不動産投資を始めるための準備資金のことを言います。通常は、初期費用に加えて、購入後に必要となる可能性があるために確保しておく自己資金の合計です。人によっては、自己資金の確保をせずに、初期費用=元手でスタートされる方もいらっしゃいます。
ローンを利用すれば元手は少なくても可能
一般的には、不動産投資を始めるにあたり、総投資額の10~30%の元手があると安心と言われています。2,000万円の投資であれば、200~600万円ということですが、結構な金額ですよね。
確かにこれくらいの元手があれば安心ですが、不動産会社が提携する金融機関の提携ローンによっては、頭金10万円程度で残りは全額ローンといったことも可能です(その他、諸費用が必要になる場合も多いです)。
提携ローンの条件は、借主の属性(年収、勤務先、勤続年数など)や投資する不動産の担保評価によって変わってきます。年収が500万円以上で上場会社に3年以上勤務して、他に大きなローンや月々の支出が無ければ、フルローンと呼ばれる、僅かな頭金と諸費用のみで、後はローンで賄えるようなことも可能になってきます。
不動産会社によっては値引きはしなくても、諸費用をサービスしてくれる会社もありますので、その場合、10~30%必要と言われた元手が、ほとんど無くても不動産投資をスタートすることができます。
フルローンになればキャッシュフローのリスクは増える
確かにフルローンであれば、元手が僅かでも不動産投資がスタートできるというメリットがありますし、元手があっても手元資金として残しておくことができます。
ただし、ローン金額が多ければ、月々の利息と元金の支払いも多くなりますので、キャッシュフローは悪くなります。
最近は、月々の収支プラスといった中古ワンルームを販売する会社も多くありますが、収支の計算には、固都税が考慮されていなかったりしますし、ワンルーム物件は管理費が途中で高くなるものが多いので、純粋にプラスが続くかというと、そうとは限りません。
また、空室になれば家賃収入は入らなくなりますし、のちのち修繕費用が必要になる場合もありますので、フルローンであっても、リスクに備えて手元資金を置いておくことが必要です。場合によっては、最初からローン金額を減らすか、または途中で繰り上げ返済をして、リスクを抑制しておくことも考えましょう。
元手と頭金は別物
フルローンを利用すれば頭金が少なくても不動産投資はスタートできますが、今後発生するであろうリスクに対応するために、手元資金は必要です。つまり、頭金が不要でも元手は必要です。
それでは一体どれくらいの元手が必要でしょうか?
諸費用(登記費用、税金、ローン手数料、火災保険など)は一般的に不動産価格の3~10%程度です。それに加え、空室・修繕に備えた手元資金として10%程度がある方が望ましいので、やはり元手としては20%近くの資金は欲しいところです。もし、頭金や諸費用を抑えることができるのであれば、10%ということです。
いくら頭金不要と言われても、元手が足りない場合は、不動産投資をスタートするには早すぎます。
入居契約が済んでいる新築ワンルームであれば、当面の空室・修繕リスクはほとんど無いので、元手は減らしても大丈夫という考えもありますが、もともと新築ワンルームの利回りは低い傾向にあり、月々のキャッシュフローもマイナスの場合が多いので、やはりある程度の手元資金は確保しておく必要があります。
少額の元手で始めやすいワンルームマンション
元手として不動産価格の20%、条件によっては10%あれば安心と解説しましたが、フルローンやフルローンに近い条件の融資条件であれば、頭金が少なくなりますので、元手も必然的に少なくできます。(ただし、一定額の元手は確保しておいてください)
現在、ワンルームマンションの担保評価が高いことから、フルローンやフルローンに近い条件で資金を調達することができます。また、面積も小さいので、投資規模も比較的小さくて済みます。
築古・地方物件で注意すべきこと
更に、築年数が経過している物件(築古物件)や、地方都市(名古屋・大阪・福岡など)の物件は東京都心の築浅物件に比べると価格が安いので、利回りも良く、投資規模も更に小さくなります。
築古物件では築30~40年のもので400万円といったものもありますし、利回りはグロス利回りで8~10%といったものもあります。
しかし、このような物件は金融機関の担保評価も低くなりがちで、金利も高くなる場合があります。その反面、空室リスクや修繕リスクは更に高くなりますので、元手はしっかりと準備する方が望ましいです。
ただし、このようなタイプの物件は、投資金額が1,000万円未満のものもありますので、絶対金額としては少なくて済みます。築古・中古物件については、固有のリスクがありますので、しっかりと研究したうえで取り組んでみてください。
投資初心者が成功するコツとは?
成功のコツ1:事前によく調べる
不動産投資は株式などと違い、金額がはるかに大きい投資です。不動産投資に関するリスク、物件の購入費用、税金、費用など、専門用語も含めて正しい知識を事前に得ておくことが必要です。
必ず儲かる、特別に儲かるようなスキームは決して長続きはしません。
不動産投資に関するトラブルは残念ながら後を絶ちません。全体の取引規模を考えれば、トラブルとなる比率は僅かですが、自分がそれに当たらないように不動産投資に関して事前によく調べておきましょう。
インターネットで調べたり、本を読んだり、また、実際に不動産会社に言って話を聞いてみることもできます。
成功のコツ2:シミュレーションをもとにライフプランを考えよう
気に入った物件が見つかったら、必ず、長期のシミュレーションを作成しましょう。ちゃんとした不動産会社であれば、シミュレーションを作って提示してくれるはずです。
シミュレーションをもとに、どの程度の手元資金があれば安心できるかを確認するとともに、自身の年収の変化、老後の資金計画などのライフプランも予め考えておきましょう。ゴールの設定をせずに投資を開始することはお勧めしません。
成功のコツ3:自身のこだわりを持ちましょう
あなたの投資用不動産を選ぶポイントは何でしょうか?立地、プラン、築年数、収益性など物件を選定するポイントはさまざまです。
不動産会社に紹介されるがままに投資をするのではなく、さまざまな物件を見て、自分が投資したい物件の条件、こだわりを持って不動産を探しましょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
最近、手付金10万円、場合によっては1万円、残りはすべてローンで不動産投資ができる、しかも収支はプラス、つまり元手10万円(場合によっては1万円)で不動産投資ができるという話を聞きました。
以前は、金融機関も不動産投資ローンの条件として、頭金10%を条件にしていた時代もありましたが、今は金融緩和の影響もあり、ローンの条件は、かなり借り手有利になって、ここまで来たかという感想です。
本来であれば、200~300万円程度の元手を準備する必要があった不動産投資が、今は、10万円程度で始められるので、気軽に不動産投資を始める若い方が増えています。
頭金が少なくても、一定の手元資金を確保しておくべきですが、そのあたりは曖昧になってしまっている気がします。売る側の不動産会社も売りたいがために、あまり、そのあたりのことは言ってきません。ローンの審査が通る程度の自己資金があればというスタンスです。
しかし、ローンの条件が良くなっても、不動産投資のリスクに関しては、今も昔も変わりません。空室リスクもありますし、修繕が発生することだってあります。リスクが発生しても不動産会社は、何もしてくれません。すべて自分に降りかかってくる問題です。
リスクに備えてキャッシュリザーブは必要です。ある程度の元手を貯めることからスタートしましょう。または、今後の自分の収入が大きく上がることが確実であれば、多少の無理はしても良いかも知れませんが、無理はしないようにしましょう!!
まとめ
- 不動産投資を始めるにあたり、総投資額の10~30%の元手があると安心です。
- ローンを利用すれば、頭金などは少なくても済みますが、投資後のリスクを考えれば、手元資金を確保しておくべきです。つまり、元手を減らして良いということではありません。
- ワンルームマンションタイプの物件であれば、投資金額も少なく、元手も少なく済む始めやすい投資と言えます。
- 少ない頭金で投資ができるという甘いセールストークに惑わされずに、きちんと元手を確保してから不動産投資を始めてください。
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