老人ホームで終末を迎えるための費用とその確保方法について徹底解説!!

60歳を過ぎると人生模様がずいぶんと変わってきます。

自分の親は既に他界しましたが、老いていく姿を見て、30年後の自分を見ているような気がしました。

親の生前、数か所の老人ホームに見学に行くことで、有料老人ホームと特別養護老人ホームの違いなど、老人ホームについて、いろいろと勉強することができました。

最近は、介護付有料老人ホームの広告を新聞チラシやネット上でよく見ますが、自分もいずれは入居するのかなと感じます。

たまたま老人ホームの経営者の方と食事をする機会があり、全体に対して何人が老人ホームに入るのかと聞いところ、約10人に1人とのことで、意外に少ないことにびっくりしました。

不幸にも癌などにかかり、病院で闘病生活のまま亡くなる人もいますし、自宅で老後を過ごして亡くなる方もいるとのことで、老人ホーム以外の選択肢もあるということなのでしょう。

この記事では有料老人ホームに入居するためのお金について考えて行きます。

介護付有料老人ホームの入居費用

老人ホームと一括りに言っても、いろいろな種類があります。そもそも、民間施設と公的施設があり、民間施設でも、介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどがあります。

ここでは、最も一般的である「介護付有料老人ホーム」の入居費用について解説して行きます。

入居費用に関しては、入居時に支払う「入居一時金」と月々支払う「月額利用料」に分けられます。

その1:入居一時金

ネット上をみるといろいろなデータが出ていますが、入居一時金の費用平均は30万円のようです。中には高級な有料老人ホームで数百万円、数千万円の場合もあれば、入居一時金不要の施設もあります。

入居金一時金が不要であっても、6か月分程度の家賃総同額を敷金として取るような施設もあります。

入居一時金は、あらかじめ決められた年月で償却されて、月々の利用料に充当されます。契約終了時に未償却分は返還されますが、「初期償却」をする施設であれば、3~4年間以上滞在しないと、結局は高くついてしまう場合もあります。

その2:月額利用料

月額利用料は、入居一時金の金額によって大きく変わります。入居保証金を償却しながら毎月の費用に充てることから、入居一時金が多ければ、月額利用料は低くなります。

月額利用料の個人負担は10~30万円が中心価格帯で、加えて、介護費用、住居費、食費、管理費などがかかってきます。

介護費用は要介護認定を受けていればその段階に応じて介護保険が適用されるため、利用者はその費用の1割~3割程度を負担している場合が多いようです。

一体、いくら準備しておけば安心か?

話は変わりますが、私の母の老人ホーム実体験に少し触れてみます。

母は痴呆症を患い、ほどなくして自宅生活はままならなくなり、デイサービスに通うようになりました。

デイサービスでも難しくなるとデイサービスに付帯する特別養護老人ホームへの入居となりました。そのころには痴呆も一定レベルすすんでしまい、いろいろとわからないことが相当に多くなっていたと記憶しています。

入居に対しては当初はずいぶんと抵抗していました。入居後はだんだんと慣れてきて安定した生活ができていました。

しかしながら年月を経るとともに病状は悪化して、食事は流動食と変わり最後は点滴での栄養を得ることで寝たきりの生活となりました。施設の方々は大変親切で助かりました。

地方に転居していたため、幸運なことに特別養護老人ホームに入所できましたが、周辺にもいくつかの老人ホームもあり、それもとてもきれいな施設で申し分なかったようです。

都内で特別養護老人ホームに入るには、かなりの倍率なので、なかなか入れないことから、介護付有料老人ホームに入れることも想定して、その時にいろいろな施設の資料を取り寄せて調べたのですが、入居一時金は平均でも数百万円したと記憶しています。

その1:滞在期間

老人ホームの種類によって平均滞在期間は異なるようですが、介護付有料老人ホームであれば、3~4年が平均のようです。

平均寿命が男性は81歳程度、女性で87歳程度で、日常生活を普通に健康に過ごせる健康寿命は男性が71歳程度、女性が74歳程度と言われていますので、寿命との差は男性で約10年、女性で約13年ですから、その差の期間、何かしらの介護が必要となるでしょう。

ここから推測すると、介護を受け始めた当初数年は自宅ケアで過ごし、その後3~4年ぐらいを施設でというのがモデルケースになります。

その2:必要資金総額は1,000万円程度か

これらの平均データから考え、入居費用は一時金を含め50万円程度、毎月の費用は介護保険で補填された自己負担を含め15万円程度、滞在年数を5年と考えると、

50万円+15万円×12ヶ月×5年=950万円

約1,000万円程度と考えておけばよいかと思われます。

もちろん、比較的資金の余裕がある方は高額な有料老人ホームを使えばよいですし、グループホームやサービス付き高齢者向け住宅、公的な特別養護老人ホームや介護老人保健施設などいろいろな種類がありますから、自分が必要なサービスやレベルで費用は変わって来るでしょう。(都内の特別養護老人ホームは満杯のようですが・・・)

個人的には要介護状態でそれほど出歩けない状態になってしまったら、特に高級である必要もないしケアをちゃんとしてもらえればよいと感じています。このあたりは、海外旅行に行く時に、エコノミーにするか、ビジネスクラスを選択するかのようなものではないでしょうか。

老人ホームの入居費用をどのようにして確保するか

介護付有料老人ホームの入居費用、滞在費用など、合計で1,000万円程度が必要と前述しましたが、その資金はどのように確保したら良いでしょうか。

その1:公的年金制度が維持されているケース

少し古いデータになりますが、令和元年度時点では、国民全員が受け取れる老齢基礎年金の平均受給額は、月額56,049円、老齢厚生年金と合計した合計受給額の平均は146,162円となっています。

従って、公的年金制度が将来にわたって維持されているのであれば、月額利用料は年金によりほぼカバーが可能ですので、入居一時金や年金では若干足りない部分のみがあれば良いでしょう。

老後、全く貯金が無いというのは心配ですが、老人ホーム入居用にそれほど多くの資金を確保しておく必要はありません。

その2:公的年金制度をあてにしないケース

今後、公的年金制度が維持されるという保証はどこにもありません。今後、少子高齢化が更に進み、医療費・介護費が更に増えれば、公的年金制度が破綻してしまうリスクも考えないとなりません。

その場合、退職年齢を70歳、老人ホームに入居する年齢を85歳と仮定すると、退職後の15年の生活費と老人ホームで5年(合計で20年)過ごす費用の合計となります。

運用をしない場合

退職時までに貯めた貯金を運用せずに使っていく場合、20年間、毎月15万円ずつの生活費・月額利用料がかかるとなると20年×15万円×12ヶ月で3,600万円の資金が必要となります。これに入居一時金の50万円が加われば、3,650万円です。

運用をする場合

3,650万円は、かなりの金額ですので、運用をしながら使っていくと必要資金はどれくらい変わるでしょうか。

細かい計算過程は省略しますが、3%(税抜)で運用し続けることができるのであれば、2,750万円あれば毎月15万円を確保できます。これに入居一時金50万円を加えると2,800万円となります。つまり、資産運用することで、必要資金は850万円減らすことができる計算になります。

その3:やはり資産運用は必要

老後も資産運用を続けることができれば、必要な資金は大きく変わって来ます。上記の計算では、その差額は850万円です。3%(税抜)で運用するのは預金だけでは難しいので、債券・外貨・株式などを組み合わせた運用することになるでしょう。

ただ、現在の運用環境で考えると、日本円でも手取りで3%以上の配当を出す会社は400社以上ありますし、米ドルであれば、定期預金やMMFで4%を超えているので、3%(税抜)を目標とした資産運用は、実現可能な範囲と言えると思います。

そもそも、退職時に2,800万円を貯めるにも、給与収入以外に資産運用も必要でしょうから、老後を見据えた資産運用を早めに始めて、経験値を高めておくべきでしょう。

まとめ

老後に介護付有料老人ホームに入居し余生を過ごすには、約1,000万円の資金が必要であることがわかりました。

公的年金制度が維持されていれば、それほど多くの資金を準備しておく必要はありませんが、公的年金制度が破綻した場合、多額の資金を準備しておく必要があります。その金額は老後2,000万円問題よりも大きな金額です。

資産運用ができれば、必要資金を減らすことができますので、早めに資産運用を始め、経験値を高めておき、将来に備えておきましょう。

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