資産運用を始めたいけれども、まずは何をして良いのかわからない人も多いと思います。投資を始める前に、資産運用に関して勉強することが必要ですが、勉強方法としては、独学で勉強する方法以外にも、セミナーに参加するという方法もあります。
ここでは、資産運用に関するセミナーについて解説して行きます。
資産運用セミナーに参加するメリット
①資産運用の知識を早く身に付けることができる
資産運用セミナーとは資産運用をしている人、これからしたい人に対してノウハウや情報を提供する勉強会のことです。一人で資産運用の勉強を始めようとする場合は自分でネットの記事を検索したり、本を読んだりする方法もありますが、なかなかはかどるものではありません。
セミナーであれば、多くの選択肢がありますし、全くの初心者で知識がない人が勉強するにはしっかりと時系列的に教えてくれるセミナーもあるので、基礎知識から応用スキルまで学ぶことができて有効な勉強法です。
また、ファイナンシャルプランナーや現役のファンドマネージャー、アナリストから直接話を聞くことができて、質問もできるセミナーもありますので、より実践的な勉強ができます。
②誰でも手軽に参加することができる
資産運用セミナーは、基本的には誰でも参加することができます。一部のセミナーでは、参加条件(年齢、性別など)を指定しているものもありますが、それほどは多くありません。
資産運用に興味があり、資産運用を学びたいという気持ちがあれば資産運用セミナーは誰でも参加することができます。最近では、オンラインセミナーも多数開催されていますので、より参加しやすくなっています。
資産運用セミナーに参加するデメリット
①特定の商品が推奨される可能性がある
無料で参加できるセミナーでは、主催者側の商品が推奨されるものも少なくありません。
無料セミナーであっても、主催者側は、ボランティアで開催するわけではありません。民間企業が無料で開催する資産運用セミナーは、資産運用に関する講演も行いますが、同時に自社の商品やサービスを紹介して顧客を獲得する目的で行われているものがほとんどです。
強引な勧誘はないにしても、顧客獲得や勧誘目的で開催されているセミナーが多いことは認識しておく必要があります。従って、セミナーで紹介や推奨される商品やサービスに関しては、実は、他の企業ではもっと条件や運用生成が良かったりする場合もあります。
資産運用セミナーの主催者が進めてくる運用商品が、必ずしてもベストな商品という訳ではないことには注意しなければなりません。
②時間面でデメリットになる場合もある
資産運用セミナーの内容が自分の期待したものと違う場合もあります。わざわざ時間と交通費をかけてセミナーに参加したものの、途中退席することもできずに、時間だけを無駄にしてしまうこともあります。
短時間で効率的に学べるというメリットがあるセミナーですが、通常、セミナーの時間は60分から120分程度かかります。また、会場に行くのであれば、往復の時間もかかります。
参加してみないと内容や質がわからない面もありますので、逆に時間面でデメリットになってしまうこともあります。口コミをチェックしたり、オンラインセミナーを上手に活用するようにしましょう。
③悪質なセミナーも存在する
資産運用セミナーで投資詐欺に遭ってしまうこともいまだにあります。立派な会場で開催されたことで、主催者の言うことを信じてしまい、被害に遭ってしまった方など、後を絶ちません。
資産運用セミナーに参加する際には、このような詐欺に巻き込まれないように注意する必要があります。
また、資産運用セミナーとして、高価な運用プログラムなどの情報商材を売りつけるようなセミナーもあります。儲かる仕組みがあれば、人に教えず自分で稼ぐだけで十分です。儲け話に引っかからないようにしましょう。
セミナーを選ぶ前に考えておくこと
多くの資産運用セミナーが開催されていますが、その中でセミナーを選ぶ前に考えておくべきこと、整理しておくべきことがあります。
①投資対象の候補を決める
自分が何の投資が向いているか、また自分の置かれている環境を考えて、どのような投資対象が良いのかをまずは決めていきましょう。
例えばサラリーマンとして毎日出勤があり、平日の日中の時間が自由にならない方も多いと思います。その場合は株式の売買による短期投資やFX(為替証拠金取引)よりは、株式の長期投資や不動産などへの投資のほうが適していると思います。
②何を学びたいのかを決める
投資対象を決めたならば、その対象についてどのようなことを学びたいのかを決めましょう。
初めて投資をする人と経験がある人によって学びたいポイントも違いますし、他の投資対象にすでに投資をしている人でも学びたいポイントが違います。
例えば、投資信託に投資をしているけれども個別銘柄の株式に投資を初めたい人ならば、市場や経済の一般知識をまずは勉強して個別企業の分析をできるようになるのが良いでしょう。
その場合は、マクロの経済状況の話を聞くよりは、株に対するPER、PBRなどの指標の考え方やチャート分析など個別銘柄に関するミクロな分析方法を教えてくれるセミナーのほうが役立つでしょう。
③自分が投資をできる資金をあらかじめチェックしておく
投資を始めるには、当然のことですが、一定の資金が必要となります。また、投資のタイミングは一度きりではありませんので、長期的に積立投資が可能でなければ良い投資ができません。
ついては、現在、どれくらいの資金を保有していて、そのうちどれだけの資金を投資に振り向けられるのか、また毎月の収入と支出から考えて、どのくらいの金額を毎月の積立に回していけるのかをあらかじめチェックしておきましょう。
セミナーの形式に関して
セミナーは全て同じ形式・種類でなく、セミナーの主催者、講演者によって、形式が違ってきます。無料のセミナーを開催する主催者は、ボランティアで開催しているのではなく、商売上の目的をもって開催する場合もあります。参加するセミナーを選ぶ際には、自分が参加するセミナーは、以下のどのタイプか確認してみましょう。
①純粋な勉強会型のセミナー
講師が講演するだけでなく、少人数で討議して情報交換の場ともなるセミナーもあります。それぞれ有料も無料もありますが、同じ分野に興味を持ち、真面目に投資を考える人たちが集まることで、刺激にもなります。ある程度、知識がついてきた段階で参加するのが良いでしょう。
②販売会社が行うセミナー
投資信託などを販売する銀行や証券会社が行うセミナーは、多くが無料であり、社内のアナリストなど専門家が、市場全般などについても教えてくれるので、とても勉強になります。
また、証券会社では、各支店ごとにセミナーを開いているところもあり、市場全般から推奨株の説明など、いろいろな種類のセミナーを準備しているので、具体的な投資の勉強をすることができます。
ただし、投資は自己責任の世界ですので、あくまでセミナーは参考意見としてとらえ、最後は自分で決断して投資をしましょう。
不動産投資についても、不動産会社各社が、セミナーを開催しています。不動産市況や物件説明のほかにも、銀行ローンの説明などもあり、有意義なセミナーがあります。
投資用不動産のセミナーは勧誘色が強いセミナーもありますので注意も必要ですが、不動産投資の流れを一通り教えてくれるので一度参加してみるのも勉強になるでしょう。
これらも投資信託や株式のセミナーと同じようにあくまで参考意見として聞いて、最後は自分で決断して投資するようにしてください。また、複数のセミナーに参加して、それぞれの意見を聴き比べてみるのも良いでしょう。
③有名な経済識者が講演するセミナー
新聞社などのマスコミ系企業が主催し、有名な経済識者やコメンテイターを講師として招いて開催するセミナーもあります。具体的な投資商品の説明というよりも、経済の流れや、政治動向に関するものが多く、投資運用の啓蒙活動的なものではありますが、経済、政治動向を勉強する上では勉強になると思います。
大型の会場で開催し、有料の場合が多く、著名な講師が来る場合は、参加費も数千円かかります。
セミナーの効果を得るためのコツ
セミナーを受ける目的は、実際に投資の成果が上がることが目的です。そのためにはどのような点に注意すればよいかを解説して行きます。
①自分の関心のある、自分のレベルにあったセミナーに参加する
セミナーの内容が、自身の学びたいジャンル、興味のあるジャンルであるべきことは言うまでもありません。資産運用といっても、株式投資、債券、不動産、などたくさんの種類があります。
株式投資について学びたいのであれば、株式投資のセミナーに参加するべきでしょうし、不動産であれば、不動産のセミナーを選択するべきです。資産運用について全体的に幅広く知りたいのであれば、基礎から複数のジャンルについて幅広く扱っているセミナーもあります。
知りたいジャンルのセミナーに参加したとしても、自分の知識レベルと見合っていないセミナーに参加すると、効果を得ることができない場合もあります。
株式投資のセミナーでも、投資初心者・未経験者向けと、経験者向けのセミナーの内容は全く違ってきます。セミナーによっては、「初心者向け」、「経験者向け」など、レベルを記載しているものもありますので、自分のレベルに合ったセミナーに参加するようにしましょう。
②受けたセミナーは整理しておく
とにかくセミナーに参加したいということで、多くのセミナーをはしごする方もいますが、同じような種類のセミナーを何度も受けても意味がありません。
時間をおいてセミナーに参加すると、同じようなセミナーに参加してしまうこともありますので、どのようなセミナーを受けたのか、時系列的に整理をしておく方が良いでしょう。整理することによってどの部分の勉強が足らないのか、また足らない部分をどう補って勉強するのかが、明確になる効果もあります。
セミナーを探す上で気を付けること
セミナーの中には、明らかに販売や勧誘目的であったりするものもあります。セミナーを探す上で、これらを見分けるための注意点を解説して行きます。
①講師や主催者に確かなバックグラウンドがあるセミナーを選ぶ
まず、そのセミナーの主催企業や講師が確かな実績を持っていることを調べてみましょう。
主催企業のホームページが無かったり、投資で何も実績を残していない素人同然の講師が開催しているものは、避ける方が良いでしょう。初めのうちは、確かな企業名がついているセミナーに参加するのをお勧めします。
②無料セミナー・ウェビナーから参加してみる
セミナーの中には、無料で参加できるもの、また、ウェビナーと呼ばれるWebで参加できるものがたくさんあります。
最初から有料のセミナーに参加し、「自分の知識レベルに合っていなかった」「思っていた話が聞けなかった」ということにならないように、まずは無料セミナーに参加し、セミナーがどういうものかを見てみるのが良いでしょう。
また、ウェビナーであれば、自分の空き時間に視聴できるものもありますし、会場への移動時間を節約することもできます。
③講師の意見を鵜吞みにしない
セミナーの講師が言っていることが常に正しいとは限りません。講師の意見を鵜呑みにせず、「そんなに利益が出るなら誰もがやっているはず」だという心持ちでいましょう。
利益が出るのであればそう簡単に他人には教えないはずですし、利益が出ている人は、セミナーを開催して、何かしらのものを販売する必要もありません。
セミナーの主催者がセミナーを開催する目的を考えてみましょう。主催者が大手企業であれば、自社のイメージアップなども狙っていますので、主催者として早く結果を出すことをあまり考えていません。
しかし、個人や比較的規模の小さい主催者ですと、セミナーを開催した結果を早く欲しがりますので、しつこい勧誘や販売につながりかねません。セミナーの口コミなどもチェックして、信用できるセミナーかどうか見極めましょう。
④その場で即断即決しない
セミナーの後に、個別にセミナー主催者と話しをする機会を設けるような形式のものもありますが、そこで、投資に関して即断を促してくる場合があります。
将来にも関わる資産運用ですので、即決せず十分な吟味を重ねたうえで選択することが大切です。他の人の意見も聞いてから、決めるようにしましょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
私自身もセミナーを活用して、資産運用に関する情報収集を行っています。特に最近はウェビナーが増えたり、YouTubeでも視聴することができるので、手軽にセミナーに参加できるようになりました。
自分自身、長年の投資経験を通じて、資産運用に関しては、一定の知識は持っているとは思いますが、セミナーを主催されている方の多くは、専門性の高い知識を持ち、その内容をしっかり整理して、わかりやすく説明してくれるので、大変ためになりますし、自分でいろいろなことを調べる手間を省くことができます。
更に、定期的にセミナーを受けることで、投資環境を定点観測することができ、市場の流れを理解するのにも役立ちます。
このようにセミナーにはいろいろな利用法があります。積極的にセミナーに参加して資産運用の勉強を始めてみましょう!!
まとめ
セミナーに参加して資産運用の勉強をすれば、独学よりも効率的に資産運用の知識を習得することができます。最近は、Web上でもセミナーを開催する企業も増えてきましたので、セミナーはより手軽に参加できるようになりました。
しかし、無料セミナーなどは、主催者側の自社の投資商品を販売したいなどの意図もあって、開催されるものも少なくありません。
セミナーの主催者や、講師の投資実績、対象としているレベルを見極めた上で、セミナーに参加するようにしてください。
資産運用の勉強には終わりはありません、投資環境は日々変化しますし、税制優遇などの制度も毎年のように変わっています。セミナーに積極的に参加し、日々、自分の中の知識をアップデートするようにしましょう。