【税理士による解説】土地の名義変更について~変更に係る税金と注意点

名義変更に係る税金

登録免許税

所有権移転登記を行う際には、「登録免許税」という税金が課税されます。

土地の価値に応じて数万円~数十万円単位での税金になり、登記の手続きをする際に納付する必要があります。登録免許税の課税額は以下の計算式で算出できます。

固定資産税評価額×税率=登録免許税の課税額

なお、税率は、名義変更の目的によって異なり、それぞれの税率は以下のようになります。

  • 売買の税率…2.0% (令和8年3月31日までは1.5%)
  • 相続の税率…0.4%
  • 贈与の税率…2.0%
  • 財産分与の税率…2.0%

不動産取得税

また、買主は「不動産取得税」の支払いが必要になります。

不動産取得税の計算式は「固定資産税評価額×4%」で算出されますが、宅地であれば税率が3%の軽減措置が用意されています

不動産の譲渡時の税金(譲渡所得税)

土地を売却した際に利益が発生した場合は、売主に「譲渡所得税」が発生し、譲渡所得税は「譲渡所得金額×税率」で算出されます。譲渡所得金額の考え方は以下の通りです。

不動産の売却金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除=譲渡所得金額

上記で出された譲渡所得金額にかかる税率は、以下のように不動産の所有期間によって異なります。

所有期間 税率
5年超(長期)   20.315%
5年以下(短期)  39.63%

不動産の贈与時の税金

贈与を受けた人には、上記でご紹介した不動産取得税と「贈与税」が課税されます。贈与税は以下のように計算します。

(土地価格-基礎控除額110万円)×税率=贈与税の税額

なお、税率は、基礎控除を差し引いた価格と、贈与した人との血縁が直系か否かによって変わってきます。

不動産の相続時の税金

相続を受けた人には、「相続税」が課税されます。ただし、相続税は法定相続人の数に応じて基礎控除が適用されるため、全てのケースで相続税の支払いが発生するわけではありません

基礎控除額は以下の計算式で算出することができます。

3000万円+600万円×法定相続人の数=相続税の基礎控除額

つまり、1人でも相続人がいれば、その数に関係なく遺産の総額が3600万円以下であれば相続税はかかりません。

不動産を財産分与する場合の税金

財産分与の場合は、原則税金はかかりません。ただし、取得した財産が過剰な場合、過剰部分に対して贈与税が課せられる恐れがあるため注意が必要です

贈与税や相続税の支払いを避けることを目的に離婚が行われたと認められた場合は、離婚によって得た財産の全てに贈与税がかかります。

土地の名義変更の注意点

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土地の名義変更の手続きは、自分で行うことができます。

ただし、時間がかかるうえに、書類に不備があった場合は、訂正して、改めて提出しなくてはなりません。ここでは、名義変更の際の注意点についてお伝えします。

名義変更の手続きが難しい場合は、司法書士や税理士に手続きの代理を依頼することができます。その際、手続きの依頼だけでなく、相続や贈与の懸念点について相談してみるのもおすすめです。

なお、司法書士への依頼費用は、依頼内容や人によって異なりますが、5.5~15万円程度です。

名義変更には登記権利者と義務者の立ち会いが必要

土地名義変更の手続きを行う際、売買、贈与、財産分与の場合は共同申請が必要になります。この場合、登記権利者と登記義務者の双方が立ち会い、名義変更を行わなければなりません。

離婚による財産分与

双方ともに直接会いたくない場合、司法書士に依頼すれば、代理人として名義変更の手続きに立ち会ってもらえます

相続の名義変更は手続きが複雑

相続による土地の名義変更は、不動産の書類だけでなく、以下の書類を集める必要があり、手続きはかなり複雑になります。

  • 登記事項証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
  • 相続関係説明図
  • 固定資産評価証明書
  • 相続登記申請書
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