意外と高い外貨預金の手数料。通貨別・銀行別に徹底比較しました!

日本円での預金金利は、ほぼゼロに近いため、金利が高い外貨預金を検討されている方も多いでしょう。

外貨預金での資産運用には為替相場変動によって、元本が減る可能性があることはご理解いただけると思いますが、これ以外に、外貨預金にはリスクやデメリットがあります。

そのデメリットの一つが、手数料がかかるということです。この記事では、外貨預金の手数料について解説するとともに、手数料を抑えるコツも紹介していきます。

外貨預金の手数料のしくみ

外貨預金は円預金と同様に、預金を設定するだけでは手数料はかかりません。

しかし、私たちが持っているのは円ですので、外貨預金をするには、その通貨に円を両替しなければなりません。また、外貨預金での運用が終わって、その資金を使おうとすれば、その外貨を円に再び両替する必要があります。

その両替に手数料がかかるということです。外貨預金を円から外貨、外貨から円に両替をするので、その手間の分、手数料が高くなってしまいます。

では、両替にかかる手数料について説明していきます。

その1:TTMについて

為替レートも他の金融商品と同じく、売り買いの需給状況等に応じて常に変動しています。

しかし、これでは銀行窓口での為替業務や、企業間の取引でもレートを決めるやり取りが煩雑になってしまうことから、銀行は毎朝9時55分のインターバンク市場のレートを基準に顧客市場のレートを決めています。

これが仲値といわれるもので、TTM(対顧客電信相場仲値)と呼ばれる為替レートです。

1990年まではTTMは日本におけるすべての銀行で一律のレートを適用していましたが、それ以降については各銀行で独自に決めてよいことになっています。

このため、銀行によって為替レートが異なることがありますが、実際には三菱UFJ銀行のレートを基準としているところが多く見られます。

その2:TTBとTTS

このTTMを基準に、銀行の手数料を上乗せ、もしくは、差し引いたレートがTTS、TTBとなります。

TTSのSはSellingで売りを意味しますが、これは銀行側からみて、通貨を売る(つまり顧客が買う)ときのレートであり、TTBのBはBuyingですが、これも銀行側から見て通貨を買うときのレート、つまり顧客が通貨を売るときの為替レートとなります。

もう少し簡単に説明すると、円を保有し、銀行で外貨に両替する人にとっては、TTSで外貨に両替します。逆に、外貨から円に戻すときは、TTBで両替します。

為替レートは、大きく分けると銀行から見た場合に外貨通貨を売却するときのレートと、購入するレート、その間を取った基準レートの三つが存在することになります。この三つがそれぞれTTS、TTB、TTMとなるわけです。

( TTS + TTB )/2 = TTM の計算式が成り立ちます。

TTM – 手数料 = TTB

TTM + 手数料 = TTS

TTSとTTBの差はスプレッドと呼ばれます。通貨を売買して利益を出そうとするときには、このスプレッドが小さいほうが利益を出しやすいということになります。

この手数料ですが、米ドルであれば、一般的には銀行での両替では1円(円預金と外貨預金口座間の移動)、つまり、円→米ドル→円となれば、往復で手数料がかかるので、2円かかります。(現金で両替しようとすると手数料はもっと高くなります)。

しかし、この1円のスプレッドは、銀行や通貨によって異なります。

外貨預金の手数料は通貨・銀行によって差がある

米ドルで外貨預金をするには、1円の為替手数料がかかりますが、この1円は通貨や銀行によって変わって来ますが、更には、同じ銀行・同じ通貨であっても、顧客によってスプレッドも異なります。

この1円はあくまでも定価であって、富裕層のように預金額が大きな顧客であれば、優遇レートを適用してくれます。また、キャンペーンを行っているような時期であれば、預金額が大きくなくても、キャンペーンの対象である通貨で外貨預金を預ければ、スプレッドが安くなることもあります。

一般的には、都市銀行の窓口よりも、インターネット専業銀行や、都市銀行のインターネットバンキングの方が手数料は安くなりますので、銀行別・通貨別の手数料比較して、賢く外貨預金を利用するにしましょう。

高金利で手数料を差し引くと損をする場合もある

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高金利が魅力の外貨預金ですが、手数料もその分高いので、そのコストも考えて、利回りの計算をする必要があるでしょう。

では、楽天銀行で南アフリカランドの外貨預金を設定したことを例に計算してみましょう。

通貨 南アフリカランド
銀行 楽天銀行
預入期間 3ヶ月
金利 10%
TTM 7.51
スプレッド 30銭

こちらは、2022年2月27日の条件ですが、100万円を預け入れるとします。

TTSは、7.51+0.3=7.81

3か月後に10%の利息がついた金額は、以下の計算になります(税引き前)

1,000,000円÷7.81%(元本)+1,000,000円÷7.81×10%×3ヶ月/12ヶ月(利息)=約131,241南アフリカランド

この131,241南アフリカランドを、満期日に円に両替するとします。もし、為替相場が動いていないと仮定すると

TTBは、7.51‐0.3=7.21

7.21×131,241=946,255円

つまり、100万円を外貨に両替して、3ヶ月10%の預金を設定して、満期時に同じレートで円に戻すと、元本が減ってしまうということです。折角、高金利の外貨預金をしたと思っても、実は、損をしていたことになります。

楽天銀行はインターネット専業銀行で、為替に限らず、手数料は業界でも安い方です。南アフリカランドは、外貨預金の中でも利率が高くて人気の通貨です。

それでも、利息よりも手数料が多くなってしまうことがあります。

スプレッド30銭はとても安く見えますが、TTMを基準に考えると、0.3÷7.51=約4%ですので、往復で約8%がかかってしまいます。

つまり、1年で8%以上の運用をしないと、プラスになりにくい計算になります。(更に、税金のことも考慮する必要があります)

外貨預金を利用する場合には、手数料も含めて、円ベースでいくらの運用になるか、計算することが大切です!!

通貨別の手数料比較

ここでは、代表的な通貨の銀行別のスプレッドと、その通貨の特徴について説明していきます。

米ドル

米ドルは世界の基軸通貨として、最も流通量が多く、更に、運用商品も豊富です。そのため、外貨の中でもスプレッド幅も小さいというメリットがあります。

今は、金利もそれほど高くないので、外貨預金をするメリットは少ない通貨ですが、初心者の方は、まずは米ドルから始めるのがお勧めです。

楽天銀行 25銭
住信SBIネット銀行 4銭
じぶん銀行 12.5銭
ソニー銀行 15銭
三菱UFJ銀行 店頭/インターネットバンキング 1円/25銭

ユーロ

米ドルについで取引量や流通している地域の経済規模が大きいのがユーロです。米ドルの次に、国際分散を図るには良い通貨でしょう。

ただし、ユーロ圏は日本並みの低金利で、魅力的な運用商品もありません。ユーロ自体を持つメリットは少なく、あくまでも国際分散とユーロ圏の経済成長による通貨高を期待しての投資となります。

楽天銀行 25銭
住信SBIネット銀行 13銭
じぶん銀行 12.5銭
ソニー銀行 35銭
三菱UFJ銀行 店頭/インターネットバンキング 1円50銭/25銭

豪ドル

豪ドルは高金利通貨として、昔から人気の高い通貨です。今は新興国通貨よりも金利は低いので、それほど目立ちませんが、政治や経済の安定性を考えると、お勧めの通貨の一つです。

オーストラリアは資源輸出国であるため、豪ドルは資源価格に大きく影響を受けます。また、中国が最大の貿易取引相手であることから、中国経済の影響も受けます。

楽天銀行 45銭
住信SBIネット銀行 25銭
じぶん銀行 25銭
ソニー銀行 45銭
三菱UFJ銀行 店頭/インターネットバンキング 2円/50銭

スイスフラン

スイスはEU圏内に位置しますが、永世中立国として、独自の通貨政策を取っています。

日本と同等レベルの低金利ですが、有事の際には買われやすい通貨です。運用というよりも分散投資による資産防衛のための通貨と言えるでしょう。

楽天銀行
住信SBIネット銀行 28銭
じぶん銀行
ソニー銀行 45銭
三菱UFJ銀行 店頭/インターネットバンキング 90銭/50銭

南アフリカランド

南アフリカランドは、各銀行が取り扱っている主要通貨の中で、最も金利が高いことから、目玉商品となっています。

南アフリカも資源国であることから、金・ダイヤモンド・プラチナなどの資源価格に影響を受けやすい通貨です。通貨としては、取引量が少ないことからボラティリティが高く、為替相場も大きく動くのが特徴です。

楽天銀行 30銭
住信SBIネット銀行 14銭
じぶん銀行 10銭
ソニー銀行 20銭
三菱UFJ銀行 店頭/インターネットバンキング 1円50銭/25銭

外貨預金で注意すべき4つのポイント

外貨預金は手数料が高いので、運用効率を上げるにはどうしたら良いでしょうか?ここでは、外貨預金で注意すべきポイントを4点紹介していきます。

ポイント1:手数料と金利、両方を考えて計算してみる

いくら手数料が安くても金利が低い銀行もあります。手持ちの円が外貨預金で運用した結果、いくらに増えるのか、手数料と金利と合わせて計算するようにしましょう。

ポイント2:キャンペーンをチェックして活用する

各銀行とも、時期によってキャンペーンを実施して手数料を安くしていたり、金利を高くしている時があります。このタイミングを活用して、外貨預金をスタートするのもありでしょう。
こまめに各銀行のホームページをチェックしてみてください。

ポイント3:長く運用できる通貨を選ぶ

一度外貨にした資金を円に戻すと手数料がかかってしまいますので、なるべく、外貨にした資金はそのまま運用する方がお得です。積極的に為替差益を取るために、売り買いすることもできますが、それであれば、FX(外国為替証拠金取引)の方が手数料も安く向いているでしょう。
従って、目先の金利よりも、長期で保有しても間違いのない通貨を軸に運用を進めるのがお勧めです。

ポイント4:為替差益には税金がかかる場合がある

外貨であっても、税金を納める必要があります。外貨預金で得た為替差益は、雑所得として分類されるため基本的には確定申告をします。

為替差益が生じた場合は、雑所得として確定申告が必要です。ただし、年収2,000万円以下の給与所得者で、給与所得および退職所得以外の所得と為替差益の合計が年間20万円以下であれば、確定申告は不要です(なお、給与を複数の会社から得ていないことが条件となります)。

まとめ

外貨預金は手数料が高いという特徴がありますので、賢く運用するには、通貨や銀行を選ぶ必要があります。ただし、いろいろと分散させてしまうと、かえって手数料や手間がかかるので、自分がメインで運用する通貨を決めて、その通貨が一番運用しやすい銀行を選ぶのがお勧めです。

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