日本は歴史的な低金利が続いており、預金金利での資産運用は非常に難しい状況にあります。ようやく1,000万円貯めて定期預金にしても、1年間でせいぜい1,000円くらいの利息しか付きません。送金したり、銀行に行く交通費を考えると、マイナスにもなりかねません。
世界を見渡してみると、日本よりも金利が高い国もあります。日本にいながら、その国の通貨に換えて預金する、いわゆる「外貨預金」は、為替リスクはあるものの、利息が高いことから、人気の高い投資商品の一つです。
ここでは、おすすめの外貨預金と金融機関を紹介していきます。なお、本記事はあくまでも参考ですので、実際の投資はご自分の判断と責任で行っていただくようお願い致します。
金融機関を選ぶポイント
外貨預金を預け入れる金融機関として、選ぶポイントは以下の四つとなります。
ポイントその1:取り扱っている通貨の種類
銀行によって、取り扱っている通貨の種類は異なります。
一般的には、以下のようなものがあります。
- 米ドル
- 豪ドル
- ユーロ
- カナダドル
- ニュージーランドドル
- 香港ドル
- イギリスポンド
- スイスフラン
- 南アフリカランド
- ブラジルレアル
- トルコリラ
- メキシコペソ
他にも中国元預金などもありますが、上記12通貨に比べると、取り扱い金融機関の数は各段に減ります。
これだけいろいろな通貨があると、どれで運用したら良いか分からなくなりますが、初心者の方は、まずは米ドルから始めるのがお勧めです。やはり世界の基軸通貨ですので、価格の変動も、他の通貨に比べればそれほど大きくありません。
ポイントその2:金利
外貨預金は、現状、どの通貨を選んでも円預金に比べると高い水準にあります。銀行によって、金利は違いますので、有利な銀行を探してみましょう。
もちろん、預金なので普通預金よりも定期預金の方が金利は高く設定されています。また、金融機関によっては、期間限定で高金利になるようなキャンペーンも行っています。
ちなみに、三菱UFJ銀行であれば、2021年6月30日まで、以下のような金利優遇キャンペーンを行っています。しかも、インターネットバンキング限定ですが、米ドルで1年物を預け入れれば、預入時の為替手数料は0円とのことです!!詳しくは、同行のホームページでご確認ください。
通貨名 | 米ドル | 豪ドル |
1カ月物 | 年3.5% | 年4% |
3カ月物 | 年1.1% | 年1% |
1年物 | 年0.6% | 年0.2% |
ポイントその3:為替手数料
円から外貨、外貨から円に両替するときには、為替手数料が発生します。この為替手数料は、通貨や両替をする金融機関によって異なってきます。例えば、1ドルが110円で、円からドルに両替をしようとする場合、手数料込みで111円で1ドルを買うことになります。逆に、1ドルを円に両替しようとすると、手数料込みで109円になります。
基本的には、銀行の店舗で両替するよりも、ネット銀行の方が安く済みます。また、銀行によっては、キャンペーンで手数料を大幅にディスカウントしていることもありますので、よく調べて少しでも安い銀行で両替をしましょう。
また、両替手数料は、取引量の多い通貨、米ドルなどの方が安くなります。
外貨預金は円預金よりも金利は高いですが、両替手数料もかかります。両替手数料を差し引けば、円預金よりも実質金利が低くなってしまうこともありますので、預金金利と両替手数料は常に合わせて計算するようにしましょう。
ポイントその4:安全性・信頼度
日本の銀行の円預金は1,000万円(と利息)まで預金保険の対象となり、金融機関が破綻しても保護されます。しかし、外貨預金は預金保険の対象外です。
日本の銀行は、現状、破綻するリスクは低いと思われますが、金利が高くて両替手数料が安ければ、どこに預金してもいいということではありません。預ける銀行の安全性、信頼度も確認しましょう。
外貨預金におすすめの銀行7選
外貨預金を受け入れている銀行は多数ありますが、その中でも特におすすめの銀行を探してみました。どの銀行がいいか迷っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
おすすめその1:住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、住友信託銀行とSBIグループの合弁会社ですが、ネット銀行の中では業歴も長く、預金残高も多い銀行です。
https://www.netbk.co.jp/contents/lineup/gaika/
取り扱い通貨は5種類と少なめですが、金利は高く、為替手数料も安く設定されています。
総合力でいえば、こちらが一番お得と思われます。為替損益が確認できるサポートツールやマーケット情報を提供していますので、初心者から上級者まで幅広く使うことができます。
米ドルの買値と売値の差額は8銭で、為替手数料は売り買いとも4銭です。
一番のお勧めと言えるでしょう。
おすすめその2:ソニー銀行
ソニー銀行は、ソニーグループの銀行です。
https://moneykit.net/visitor/fx/
ソニー銀行は、取り扱っている通貨が12通貨と多く、マイナー通貨である、スウェーデンクローナも取り扱っています。金利アップなどのキャンペーンを頻繁に行っていますので、タイミングが合えばとてもお得に取引することができます。
また、一部の通貨(人民元、ブラジルレアル)を除いて、預けた外貨をそのまま、デビットカード「Sony Bank WALLET」で海外でショッピングしたり、ATMで現地通貨で引き出すことができます。海外に旅行や出張で頻繁に行かれる方にはお勧めです。
米ドルの買値と売値の差額は30銭で、為替手数料は売り買いとも15銭です。
おすすめその3:じぶん銀行
通信会社のauグループのじぶん銀行は、8通貨を取り扱っていますが、珍しく、韓国ウォンも取り扱っています。
https://www.jibunbank.co.jp/products/foreign_deposit/
金利は、他社に比べると若干低めではありますが、両替手数料が無料というのは、魅力的です。通信会社が提供しているサービスなので、スマホアプリで取引が完結できるなど、スマホユーザーには使いやすい銀行です。
また、的中率70%を誇る「AI外貨予測」というサポートツールを提供するなど、ユニークなサービスがあります。
米ドルの買値と売値の差額は25銭です、為替手数料はかかりません。
おすすめその4:GMOあおぞらねっと銀行
GMOあおぞらねっと銀行は、あおぞら銀行グループのネット銀行で、2018年からのサービス開始とネット銀行としては、後発となります。
https://gmo-aozora.com/business/foreigndeposit/
取り扱い通貨は8通貨と多くはありませんが、為替手数料が安く金利が高いことが特徴です。ただし、預金は普通預金のみで定期預金はありません。
米ドルの買値と売値の差額は4銭です。為替手数料はかかりません。
おすすめその5:楽天銀行
楽天銀行は、ネットショッピングで有名な楽天のグループ会社です。
https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/forexdep/
取り扱っている通貨は、メジャーな通貨を中心に7通貨と他の銀行に比べて少ないものの、金利は高く、為替手数料は低く設定されています。7日間の短期定期預金などもありますので、とりあえず、試してみたい方にもお勧めです。
米ドルの買値と売値の差額は調査中です、為替手数料は売り買いとも25銭です。
おすすめその6:東京スター銀行
東京スター銀行は、店舗を有する銀行の中では、インターネットバンキングに力を入れています。店頭取引とインターネットバンキングでは、手数料や金利が異なります。
https://www.tokyostarbank.co.jp/products/deposit/point_fcy.html
預入時の為替手数料を無料にするなど、さまざまなサービスを行っていますが、金利や為替手数料はインターネットバンキングにはどうしても勝てません。
米ドルの買値と売値の差額は16銭で、為替手数料は売り買いとも50銭です。(インターネットバンキングの場合)
おすすめその7:三菱UFJ銀行
知名度と安心感では、三菱UFJ銀行が日本一でしょう。
https://www.bk.mufg.jp/tameru/gaika/index.html
通貨は6通貨の取り扱いで、それほど種類は多くありませんが、インターネットバンキングを使えば、金利や為替手数料が優遇されるキャンペーンも行っています。
さすがにネット専業銀行に条件はかないませんが、三菱UFJ銀行を普段から使っている方も多いと多いと思いますので、あまり取引銀行を増やしたくないという方、いざという時に店舗でも相談できるという安心感が欲しい方にはお勧めです。
米ドルの買値と売値の差額は50銭で、為替手数料は売り買いとも25銭です。(インターネットバンキングの場合)
おすすめの通貨3選
それでは、外貨預金を始めるにあたり、銀行だけでなく通貨も多くの種類があり、初心者の方はどこの国の通貨がいいかと迷うと思います。今回は特に初心者の方でも取り扱いしやすい通貨を3つ紹介します。
おすすめその1:米ドル
アメリカ合衆国の通貨である米ドルは世界の基軸通貨として、世界で最も流通量が多い通貨です。最近は、コロナ禍の影響で金利は低くなっていますが、インフレ懸念もあり、じわりと長期金利は上昇しました。
流通量が多いことから、手数料も安く、一番取り組み安い通貨です。世界を知るには、まず、米ドルから始めるのが良いでしょう。
おすすめその2:ユーロ
ユーロは金利が日本並みに低いため、外貨預金としてのメリットはそれほどありません。しかし、ドイツやフランスなどの先進国を中心とした地域経済は安定していることから、米ドルの次に安心感を持てる通貨です。
ユーロは金利というよりも、為替差益を狙うための通貨と言えるでしょう。米ドルで投資経験を積んで、次にユーロに進む方が良いでしょう。
おすすめその3:豪ドル
豪ドルは昔から高金利通貨として人気がありました。最近は、コロナ禍の影響により、金利はそれほど高くありませんが、事態が落ち着けば、また高金利通貨として人気が出てくることが期待できます。
資源が豊富で安定感はありますが、その分、世界経済、特に地理的にも比較的近い、中国経済に影響を受けやすいといった特徴があります。
(番外)南アフリカランド
今、高金利で注目を集めているのは南アフリカランドです。各社ともキャンペーンを行っており、1カ月ものの定期預金で、年40%近い金利が出ています。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/zar.html
こちらから、南アフリカランドの為替チャートを見ることができますが、この1年、急激にランド高/円安が進んでいます。預金利息は高いものの、円高に振れれば、たちまち為替の含み損がでてしまいます。また、年40%ですが、一か月の定期預金ですから、一か月後にもらえる利息は、元本の3%ちょっと(税引前)の利息ですので、あまり高い金利にばかり目を奪われないようにしましょう。
資金に余裕がある方が、少額で取り組むには良いかも知れません。
外貨預金をFXから始める
インターネットで「外貨取引」と検索すると、外貨預金の他に、「FX」もたくさん出てきます。FXとは、Foreign Exchangeのことで、一般的には外国為替証拠金取引を意味します。
FXをうまく使えば、為替手数料無しで外貨を得ることができます。しかし、証拠金(自己資金)の何倍もの資金を取引することができたり、売りから入ることができるなど、初心者には難しかったり、リスクが理解しにくいところもあります。
外貨取引に慣れている方がFXを活用して外貨預金を始めるのが良いかと思いますが、外貨初心者の方は、銀行での両替から始めることをお勧めします。
外貨預金を始めてみよう
預金と言えばリスクは無いと感じる方が多いかと思いますが、外貨預金は為替の変動により元本が割れたり、預金保険制度の対象にもなりませんので、リスクがある投資です。
しかし、中国経済の台頭など、日本経済が世界に占める割合も少しづつ低下している中、日本国内だけなく、世界に目を向けた投資を始めることも必要でしょう。
資産運用には、外国株式、特にアメリカ株式がお勧めですが、外貨預金は、まず、世界を知る投資への第一歩です。少額でも米ドルを購入すれば、世界の経済情勢・政治情勢により興味が出てくると思います。
為替レートの動きに一喜一憂せず、外貨投資も長期投資として、少額で少しづつ積み立てていきましょう。
ファンドマネージャーからのアドバイス
ネット専業銀行の登場で外貨預金がより身近なものとなりました。手数料や金利を比べることもできますし、スマホで取引を完結することもできます。
資産形成・資産運用には、ポートフォリオという運用商品の組み合わせを考えなければなりません。資産の全てが円預金であるよりかは、一部は株式や投資信託、または不動産なども組み込むべきでしょう。更に、資産を安定して拡大させるには、外貨にも目を向けるべきです。
外貨も預金から債券、株式などさまざまな運用商品があります。運用商品の幅でいえば、日本円に比べても米ドルが一番豊富でしょう。
外貨預金は外貨取引の中では、一番、リスクが低い投資と言えます。まずは、海外旅行の資金作り感覚で外貨預金を始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
1.銀行で取り扱いのある外貨預金は、米ドル、ユーロ、豪ドルなどの主要通貨以外にも、いろいろとありますが、銀行によって異なります。外貨預金は、為替リスクはありますが、日本円の預金よりも金利が高いので、根強い人気があります。
2.外貨預金を預ける銀行を選ぶポイントは、取り扱っている通貨の種類、金利、為替手数料、安全性・信頼性と考えられます。
3.ネット専業銀行は、金利・為替手数料とも条件が良いのところが多く、キャンペーンも頻繁に行っていますので、トータルでのコストやリターンを比べながら、使い勝手の良い銀行を選びましょう。
店舗を持っている銀行でも、インターネットバンキングでは、良い条件を出しているところもあります。ネット専業銀行では、住信SBIネット銀行が一番のお勧めです。
4.外貨預金を始めるのであれば、米ドルから始めるのがお勧めです。外貨投資に慣れたら、ユーロや豪ドルにも挑戦してみましょう。
南アフリカランドは圧倒的な高金利が魅力ですが、リスクもありますので、取り組みとしても少額でお試し程度にとどめておきましょう。
5.外貨預金は、世界を知るための第一歩となります。外貨預金から始めて、外国証券、投資信託などにも投資をして、ご自身の資産のポートフォリオを作りましょう。