FXとは「Foreign Exchange」の略で「外国為替証拠金取引」のことをいいます。
「日本円→米ドル」、「米ドル→日本円」、「米ドル→ユーロ」など、通貨を買ったり売ったりしたときに発生する差額によって利益をねらう取引です。
FXによる収益の獲得方法
一般的に、独立した国はそれぞれ自国の通貨があり、その国の中ではその通貨でビジネスや買い物などの通貨により取り引きが行われています。しかし、国際社会では、貿易などの国を跨ぐビジネスなどの取引があるので、その場合の支払いや受取りは、違う通貨同士で行う必要があります。
日本に住んでいれば日本円で給与が支払われ、買い物もできますが、食料品や素材は外国から輸入する必要があります。その場合は、日本円で支払うか、相手国の通貨もしくは、お互い取り決めた第三者の国の通貨で支払うことになります。
外国通貨で受け取れば自国の通貨に両替する必要がありますし、外国通貨支払う必要があれば、自国の通貨を両替しなければなりません。現在は、膨大な規模で、国を跨いで投資や貿易取引が行われていますので、当然、通貨間の交換市場も大きくなっており、最も取引の多い、米ドルとユーロでは、一日に100兆円以上が取り引きされています。
①外国為替取引による収益獲得
通貨の需給などによって、国際間の取り引き市場レートは刻一刻と変化します。以前は、日本円と米ドルの交換レートは1ドル360円の固定相場でしたが、1973年以降、現在のような変動相場制に移行しています。
この相場の変動を利用して、1ドル100円の時に10,000円で100ドルを購入し、その後、1ドル105円になったタイミングで、その100ドルを円に戻して、10,500円を手に入れ、差額の500円を収益として獲得することがFXの基本取引です。(手数料は考慮しません)
②証拠金取引による収益拡大
欧米や主要国の通貨、例えば米ドル、ユーロ、円、英国ポンドなどの通貨の交換レートは、刻々と動いてはいますが、急に10%動くなどということはごく稀で、価格変動が大きい株式取引とは違い、短期間で、大きな利ザヤを稼ぐことは、なかなか難しいという特徴があります。
日経平均は、8月20日の終値が27,013.25円でしたが、9月3日の終値は29,128.11円です。2週間で7.8%変動しています。しかし、為替で見ると、円ドルは8月20日が109.89円、9月3日が109.94円(三菱UFJ銀行)とほとんど動きがありません。
そこで、FXでは、取引業者に証拠金を担保として預けて、その何倍かの取引を行うことができます。例えば、倍率が10倍であれば、10万円の証拠金を預ければ、100万円までの外貨取引を行うことができます。
このように少額の元手で大きな金額の取引をすることをレバレッジ取引と呼びます。日本では、法規制により25倍までのレバレッジ取引が可能です(レバレッジ取引の最大倍率については、取引業者により異なります)。
株式取引の信用取引にも似ていますが、株式取引では、レバレッジ倍率は約3倍です。レバレッジが高くなれば、その分、リスクも高くなりますが、FXはレバレッジ効果を最大限に生かして収益機会を得ることができます。
③スワップポイントによる収益獲得
政策金利は国によって異なります。日本はマイナス金利を継続していて、主要国も同様にほぼゼロに近いか、日本と同様にマイナスの国もあります。
しかし、新興国では、トルコのように、政策金利が19%といった高い国もあります。そのような国の通貨をFXにより保有し続けている分、元の通貨の国との金利差分をスワップポイントとして獲得できます。
FXで資産運用するメリット
①レバレッジをかけることにより、少額の投資でも大きな金額の取引ができる
運用する資金が少額の場合、大きな利益を狙うことは、なかなか難しいと思います。
株式投資でも、レバレッジをかけることができますが、約3倍程度までです。しかし、FXの場合は取引業者や通貨にもよりますが、最大25倍までのレバレッジをかけることができます。
つまり、最大値のレバレッジを活かせば、証拠金10万円で250万円の投資ができます。わずか1%の利益率であっても、元手25倍違えば、獲得できる収益の金額も25倍違ってきます。
②24時間取引が可能
株式はその株が売買される取引所の開業時間しか取引ができませんが、FXの場合は、平日は、ほぼ24時間世界中で取引が行われているので早朝や深夜などでも取引が可能です。
これによって昼間仕事で忙しい人などでも、仕事以外の時間を使って取引することが可能です。
③通貨の値下がり相場でも収益をあげることが可能
FXは、売りから入る運用が可能です。
FXの証拠金をもとに借りる資金は、通貨の直接購入費用に限らず、通貨の自由な売買に充てることができます。
例えば、証拠金が円であっても、ドルを借り入れて、そのドルを売ることができます。
当初、1ドル100円だったものが1ドル90円になった場合、円スタートですと、ドルを買うしかなく、その結果、10円の値下がりになりますが、FXでは、ドルスタートも可能なので、まずは、ドルを100円で売って、その後90円で買い戻して利益を獲得することができます。
この方法を使えば、為替レートが下がる時期でも、うまく利益を出すことが可能となります。
④スワップポイントで金利の差による収益を得ることも可能
それぞれの通貨の発行国は、経済状態や中央銀行の方針などにより政策金利が違います。
金利の低い国の通貨を使って、金利が高い国の通貨を購入することで、その保有期間の金利差をスワップポイントとして獲得することができます。
⑤外貨預金に比べて為替手数料が安い
外貨預金ですと、金融機関での為替手数料は比較的に高くなりますが、FXであれば格段に安い手数料で外貨へ両替することができます。
FXで運用するデメリット
①レバレッジをかけることによって大きな損失を被るリスクがある
FXのレバレッジは、取引業者や通貨にもよりますが、最大25倍です。
利益が出れば25倍の利益になりますが、損失が出れば逆に25倍の損失になります。
例えば、1ドル100円で購入し、101円になったときに売却したと仮定します。レバレッジを25倍にすると25円の利益になりますが、99円で売却すると25円の損失になります。1%為替がマイナスに動くだけで25%の損失が発生してまいます。
このようにレバレッジをかけることは、大きく利益を得る可能性があると同時に、大きく損失を被る危険性があります。
②24時間いつでも取引ができるので心が休まらない
FXの場合、平日の24時間、世界中で取引が行われているため、早朝や深夜などでも取引が可能なことから、昼間仕事で忙しい方などでも、仕事以外の時間を使って取引が可能です。
しかし、逆に夜中でも為替が動いてしまうので、心が休まらないことがあります。為替はずっと動いているので、その動向をずっと見張っていることで、収益を得ることができますが、あまりに気にしすぎてしまうと体調を崩しかねません。
③市場が大きすぎて動きが早くトレンドが変わりやすい
FXの参加者は、他の運用資産と比較しても、かなり幅が広い傾向にあります。
FXでは短期売買の方が多いので、通貨の安定性というよりは、その通貨間のギャップを狙った取引が中心になります。その点では通貨の分析も大切ですが、同時に瞬発力が必要になります。
FXで投資を成功させるポイントは?
FXはやめておけ。FXで破産した。そんな話を周りから聞いたという方もいるかもしれません。実際、高いレバレッジがかけられるFX取引では、大損する可能性をはらんでいることは事実です。では、FXで投資を成功させるポイントはどういった点になるでしょうか。
チャートを理解する
FXでは特にトレード手法を理解することが大切です。FXでは多くのトレーダーがテクニカル分析を行ってトレードを行っています。そのため、チャートはテクニカル分析に沿って動きやすい傾向があります。やみくもに売り買いするのではなく、しっかりとテクニカル分析の知識をいれることで、勝率も変わってくるでしょう。
レバレッジをかけすぎない
FXトレーダーに特に多いのが、ハイレバレッジの取引による退場です。海外の業者であれば、100倍といった高いレバレッジで取引をすることも可能です。しかし、レバレッジをかけすぎて退場してしまう人が後がたちません。負けてくるとついつい取り返そうと一発逆転を狙いがちです。Fxは投資ではない、投機としてやっているという人もいるかもしれませんが、投資として行うなら、自分で対応できる範囲のレバレッジにしましょう。
損切りをしっかりする
負けてしまう人のパターンに、ズルズルと損切ができずに粘ってしまうというものがあります。自分の思うように価格が動かず、含み損になっていると、損切りを遅らせてしまう気持ちはよくわかります。しかし、投資は自分で決めたルールを守れなければ勝てません。ここで損切をする、と決めたラインでしっかり損切りするようにしましょう。
運用代行を利用する
自分でトレードをしてもどうしても勝てない。そんな人には、FXの運用代行というやり方があります。日本国内では、投資顧問業がないと違法となりますが、海外の業者では海外の法律が適用されるため、違法とはなりません。また、MAM・PAMMといった、他人のアカウントをコピーするような運用方法も人気です。
資産運用会社を設立する
これは利益がでている時の対策となりますが、FXで資産運用会社を設立することで、様々な恩恵があります。税金が安くなったり、より安い手数料で取引が出来たりします。運用益がある程度出ている場合は、まず税理士さんなどに相談し、資産運用会社の設立を検討しましょう。
情報収集する
FXもテクニカルだけでなく、様々な情勢で大きく動きます。戦争などがあると円高になりやすいですし、世界がリスクオンになると、円安になりやすかったりと、各国の情勢によって為替は動いていきます。そのため、常に情報収集を怠らないことが大切です。SNSやブログ、ニュースなど、あらゆるところから情報をキャッチできるようにしておきましょう。
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ファンドマネージャーからのアドバイス
FXに本格的に取り組むのであれば、四六時中ボードを見て、トレーディングしなければならず、片手間で行うのは至難の業です。その意味では、資産運用の中心をFXに置くことはあまり賛成できません。
特に、初心者であれば、そのリスクを理解するにも時間がかるでしょうから、取引を行う場合は、流動性の高い安定している通貨を2~3決めて、それを、ある程度の幅の値動きがあった時に、売買するのが良いでしょう。まずは、円ドルのペアでスタートするのが無難です。
もしFXが上手くいかなくなっても、米ドルやユーロなどの流動性の高い通貨を保有していれば、証券会社の口座に送金して、株式や債券など多様な金融商品に投資することができます。
ドル円の推移を見てみると、固定相場制の時代の360円が円の最安で、2011年の75.32円が最高値です。1973年の変動相場制への移行後、約40年弱で、円の価値自体は4倍以上、値上がりしました。
ここ10年くらいは、そのような変動はなく、1ドル80円から120円の間を推移しています。株価に比べれば変動幅は小さいですが、それでも、上下10~20%前後は動きがあると考えておくべきです。そう考えると、最初はレバレッジをあまり大きくかけない方が良いでしょう。
全体の運用資産のポートフォリオを考えながら、無理をしない範囲で、米ドルやユーロへの通貨分散の手段として、手数料が安いというメリットを活用できることから、FX運用を始めてみるといったことでも良いでしょう。
まとめ
資産運用において、国際分散投資を行う必要性は、これまで他の記事でも解説してきました。FXも外国通貨との取引ですので、国債分散投資の一環に見えますが、短期売買になりがちで、場合によっては日を超えてポジションを持たない方も少なくないので、投資というよりも、投機に近いかもしれません。
その点においては、暗号資産(仮想通貨)投資に近いものがあるでしょう。
しかし、FXがきっかけで通貨取引に興味を持ち、世界のニュースに敏感になることは良いことですし、FXは日本円を外国通貨に両替するには手数料が格段に安く済むなどのメリットがあります。
FXのメリット・デメリットを理解した上で、利用できるところは利用するというような付き合い方をお勧めします。