債券投資は元本保証されているから安全投資って本当?仕組みからお勧めの投資方法まで解説します!!

最近、中国の大手不動産デベロッパー「恒大集団」の社債がデフォルトになりそうとか、利息が支払われていないなどのニュースをよく目にするようになりました。そもそも、社債とはどのようなものなのでしょうか。最近のニュースを見ると、とても危ない投資のような感じがします。

もともと、社債をはじめとする債券投資は、預金と株式の間に位置付けられる、比較的リスクの低い投資です。しかし、債券投資と一括りに言っても、リスクは様々です。ここでは、債券投資の基礎知識から、お勧めの債券投資方法まで解説して行きます。

債券投資とは

債券投資はお金を貸す投資

債券は、国・地方公共団体、企業等が、投資家からお金を借りるときの証書(現在はペーパーレス化)として発行されます。発行者は、投資家に対し利子を支払い、償還日には元本を返します。債券にはさまざまな種類があり、また償還までの期間や利率もさまざまです。

債券投資は、債券を発行する国・地方公共団体、企業等が発行する証書を購入することで、発行体にお金を貸す投資です

債券には返済義務がありますので、債券発行体は債券の額面金額を投資家に対して償還(返済)する義務があります。その点で、債券は元本が保証されている金融商品と言えます

しかし、債券を購入する際には、返済が可能と思われた発行体も、その後、業績や財務状態が悪化することによって、償還ができなくなることもあります。その点では、元本はされていますが、発行体の信用力によっては、債券は元本を大幅に割れるリスクも抱えているということを注意しなければなりません

債券投資における主な利益は、債券が満期になるまで受け取ることができる利息収入です。利息の条件については、債券が発行される時点で決まっていますので、利息の支払いも確定している金融商品と言えます。

ただし、こちらも発行体の信用状況によっては、利息が支払えなくなることもあります。

債券投資は元本と利息が保証されている金融商品ではありますが、投資家サイドから見ると、債券の発行体にお金を貸し付ける行為と、ほぼ同じですので、発行体が利息・元本の約定支払日に、支払いを履行できるかが重要になります。

債券と株式の違い

債券と株式、どちらも、国・地方公共団体、企業等が資金を集める手段です。債券はお金を貸す行為ですが、株式はお金を出資する行為です、株式には利息の支払いや元本を償還する義務がありません

株式には元本を償還する義務はありませんので、市場で売却するなどして、換金することになります。株式は価格変動がありますので、市場で売却した際に、購入価格よりも売却価格が下回ってしまうこともあります。その場合は、元本割れということになります。

もちろん、株価が上がっていればキャピタルゲインを得ることもできますが、リスクは高い投資といえます。株式投資は、このように主に株価の値上がりによるキャピタルゲインの獲得を目指す投資ですが、債券投資は、利息を受け取るインカムゲインの獲得を目指した投資となります。

また、万が一、発行体である企業が倒産した場合、残余財産の分配は債券が優先されますので、株式よりも債券の方が安全性が高い投資と言えます

債券の種類

債券の種類は下記の表の通り、分類することができます。

債券の種類
公共債 国債
地方債
政府保証債
民間債 社債
金融債

債券の種類は大きく分けて公共債と民間債の二種類に分かれます。国債は国が発行する債券ですが、日本だけでなく、外国の国家が発行する債券にも投資することができます。

また、上記の5種類でも、更に、日本で発行されるもの、外国で発行されるもの、円で投資できるもの、外貨で投資できるもの、個人投資家を対象としているもの、していないものなどに区分けされます。

私たちになじみがあるのは、日本政府が発行している個人向け国債や、証券会社が広告を出している外債でしょう。

それでは、主な債券について解説していきます。

①国債

国債は国が発行している債券です。国債にも償還期限や、金利の設定など様々な種類があります。半年ごとに利子が支払われる国債には、固定利付型(半年に1回決まった額の利子が支払われるタイプ)と変動利付型(半年に1回支払われる利子が変動するタイプ)があります。

さらに、固定利付債には、満期が2年・5年・10年・20年・30年・40年の固定利付国債及び3年・5年固定型個人向け国債があり、変動利付債には、10年変動型個人向け国債があります。そのほか、元本が変動する満期が10年の物価連動国債もあります。また、額面金額を下回る価格で発行され、途中での利払いは行われず、満期時に額面金額で償還される割引国債もあり、具体的には満期が1年の割引短期国債があります。

②地方債

地方債は、文字通り都道府県や市町村などの「地方公共団体」が発行する債券です。 主に行政サービスを提供するための資金調達のために発行され、証券会社や金融機関で購入することができます。

③社債

社債は企業が資金調達のために発行する債券ですが、国債や地方債と比べてリスクが大きいことから、利回りが比較的高いという特徴があります。

社債といっても、発行企業数も多く、企業の信頼度や業績等によって各社債の利回りは様々ですし、発行期間も3年ぐらいの短いものから30年以上の超長期なものまでいろいろと種類があります。

社債の安全性や信用度を判断するには、その会社の財務状況などを調べなければなりませんが、投資家がそこまでするのは難しいことから、一般的には、外部の格付機関が公表する格付が一つの指標となります。

格付機関は外資系であれば、Moody’s(ムーディーズ)、S&P(スタンダード&プアーズ)、国内系であれば、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)などがあります。

格付けは各格付け会社によって、表示方法や格付自体も異なります。信用度の高い会社から順に 「AAA」や「D」、といった形で格付けされています。投資にふさわしい投資適格債はMoody’sでBaa以上、S&PではBBB以上とされています。

逆に「BB」以下の債券はハイ・イールド債と呼ばれていますが、信用度は低いものの、利回りはその分高いといった特徴があります。

④外債

外国債は発行体、発行市場、通貨のいずれかが日本以外のものである債券を指しますが、外貨で発行されているものは、上記の債券に比べて利率が高いというメリットがあります。

新興国通貨建ての債券は、現地の金利が高いことから、信用力や格付が高い債券であっても、20%近い利回りのものもあります。

しかし、このような外国通貨建ての外債は、高金利であるメリットの反面、為替変動リスクがあるため元本割れになることもありますので、注意が必要です

債券投資のメリット

それでは、債券投資のメリットはどこにあるでしょうか?代表的なものを四つ紹介します。

①預金よりも高金利が期待できる

1つ目のメリットは、銀行の定期預金と比べると、債券投資の方が金利が高く設定されていることです。低金利政策により、ここ何年も定期預金の店頭金利は、金額や期間にかかわらず、0.001%に設定されているものが多く、100万円預けたとしても1年でわずか10円しか増えません(税引き前)。これでは、銀行に行く、交通費にもなりません。

その点、債券は元本保証のある個人向け国債であれば、預け入れ期間は長くなるものの、下限金利は0.05%に設定されています。

更に、社債であれば国債よりも更に高い金利に設定されているものもあり、一定のリスクは伴うものの低リスクで銀行預金よりも大きな収益を期待することができます。

②株式投資に比べるとリスクを抑えることができる

債券投資は株式投資に比べるとリスクが低く、手軽な投資であると言えます。株式投資では、投資先の企業の業績や経営状況、更にはその業界全体の成長性などを調べる必要があり、専門的な知識がある方がより有利な運用が可能となります。

しかし、債券は「格付」でその信用力を第三者が判断してくれます。また、格付が高い債券であれば、一旦購入してしまえば、途中売却による売却益を狙わない限り、償還期間「保有するだけ」で利息を受け取ることができます。

債券の銘柄選択には、株式投資ほどではありませんが、労力を割く必要がありますが、値動きは株ほど大きくありませんし、償還期間まで保有することを決めていれば、あとは発行体(国や企業)の信用力に変化がないかだけをチェックするだけになります。

投資時点から、何かしらの理由で株価が半分になっていようと、会社が無事に存続していれば、債券は当初の約定通りの金額を受け取ることができます。

③中途売却で売却益も狙える

債券も株式投資のように、中途売却をすることで「売却益」を狙うこともできます。

債券は償還期限まで保有すれば額面の価格を受け取ることができますが、株式と同様に市場で売買することもできます。(個人向け国債などの例外を除いて)

つまり、自分が買った債券が買った当時よりも高い値段で取引がされていれば、売却をして売却益を得ることが可能です。もちろん売却益を狙う場合、市場の状況によっては元本割れのリスクも伴いますから、その点は注意しましょう。

債券は様々な要因によって変動しますが、一般的に市場金利が上がると債券価格が低下、市場金利が下がると高くなる傾向にあります。必ずしもそうなるという訳ではないのですが、余裕があれば覚えておきましょう。

④キャッシュフローが見えやすい

最後に紹介するメリットは、債券投資は投資後のキャッシュフローが見えやすいということです。

債券投資の代わりに、株式投資で配当を狙うという投資手法もありますが、配当は業績の影響により、減配や無配になることもあります。しかし、債券投資であれば、償還期間と利率が決まっているため、決まった時期に決まった金額が配当金として支払われます、

変動金利の債券であると、完璧にキャッシュフローを計算することは難しいですが、固定金利ものであれば、毎年いくら自分が受け取ることができるのかがわかり、事前に資金計画を立てやすくなります。

老後の資金が年金で不十分であれば、債券投資により計画的に生活資金を得ることも可能でしょう

債券投資のリスクと気を付けるべきこと

①信用リスク

1つ目のデメリットは信用リスクです。日本が経済破綻をして国債が債務不履行(デフォルト)となることは考えにくいですが、新興国であれば、昨年には、アルゼンチン・レバノン・エクアドルなどが債務不履行を起こしています。同様に、社債においても債務不履行は起こる可能性はあります

債務不履行が発生すると、利息の支払いが停止したり、元本償還時期が延期されたり、元本の償還が一部カットされることがあります。最悪のケースでは、元本を丸々失ってしまうこともあります。

そのような結果を招かないためにも、先ほど紹介した「格付」や債券の発行期間(長いほどリスクはあります)などを参考にして、自分が買い付けようとしている発行体の信用度を前もって調べておく必要があります。

②流動性リスク

多くの債券が中途売却が可能ですので、いざという時に換金することができます。しかし、株式などと違い、債券は一般的に売買が活発でないので、売りたいタイミングで売れないことがあります。これが流動性のリスクです。

流動性が低い債券は、買いたい人と売りたい人が少ないので、売買が成立しにくく、更に、それぞれの希望価格の差が大きくなってしまいます。そのような流動性が低い状態で、無理に急いで売ろうとすると、本来のかかくよりも、かなり低い価格で売らざるを得なくなります。

債券の流動性は、その債券の発行量や人気の度合いに左右されます。そのため、前述した信用度の他にも「発行量」「人気の高さ」なども気にかけることが重要ですが、もし、償還日まで絶対に売らない自信があるのであれば、そこまで気にしなくても大丈夫でしょう。

③価格変動リスク

更に、債券には価格変動リスクがあります。市場で取引可能な債券は、株式相場のように、日々価格が変動しています。価格変動の要因は、まず第一に市場金利の影響によるものです。

例えば利率が3%の債券を買った後に、市場金利が5%まで上昇したとしましょう。そうすると3%よりも高い利率の債券が売り出されることが予想されます。

すると、3%の利率の債券の人気は下落して結果的に債券価格が下がってしまいます。そのタイミングで債券を売却すると売却損失が出てしまいます。

逆に、市場金利が1%まで下落したとすると、3%の債券は人気が出ますので、債券価格は上がります。その場合は、売却益を狙うことができます。

このように債券は発行時の金利と、その後の市場金利の差によって価格が変動します。

価格変動リスクの二つ目は、前述した信用リスクです。発行した国や企業の財務状況が悪化し、格付が下がり、償還期限に債券の償還ができないと市場参加者が判断すると、債券価格は大幅に下落します。企業であれば、株価はそれ以上に暴落します。

このように、債券には価格変動リスクがあります

④為替変動リスク

外国債であれば、為替変動リスクがあります。

為替変動リスクとは、ドルと円の為替が変動することで損益が発生するリスクのことを指します。

この逆の為替差益もあるので利益になることもありますが、損失になる可能性もあることを注意しておきましょう。 そのため外国債の購入を検討する際は、高い利率ばかりに目を奪われるのではなく、為替も気にかけるようにしましょう

おすすめの債券投資

債券投資は、国債や社債などをそのまま購入する方法ありますが、社債は比較的投資単位が大きいものが多いので、分散投資には向いていません。分散投資を考えるのであれば、ETFや投資信託で投資する方法もあります。

ETFや投資信託ですと、分散投資ができるので信用リスクを抑えることができますが、反面、値動きがあるため、元本割れのリスクが生じてしまいます(ただし、債券投資のETFや投資信託は、株式投資のETFや投資信託に比べると、値動きは非常にマイルドです)。

それでは、ETFや投資信託を紹介していきます。

①ETF

ETF(上場投資信託)は、1万円くらいから購入することができます。通常の株式と同様に、証券取引所に上場していますので、証券会社の口座から買い付けることができます。売買手数料はかかりますが、ネット専業証券であれば、それほど大きくはありませんし、投資信託に比べると、信託報酬も低いものが多いのが特徴です。

東証に上場しているETFには、世界のETFに投資をしているもの、新興国のETFに投資しているものなど、いろいろなものがあります。ETF自体は円で購入しますが、ETFが外債に投資をしていれば、為替リスクが発生します。中には、為替ヘッジをして為替リスクを回避しているものもありますが、その分、利回りは低くなります。

日本の市場で取り引きされている、債券に投資しているETFの銘柄は以下のリンクから確認することができます。

https://www.jpx.co.jp/equities/products/etfs/issues/01-09.html

海外の市場で取り引きされているETFも日本の証券会社で購入することができます。米ドルなど、外貨建ての投資となりますが、種類が豊富です。信用力の高い債券だけでなく、ハイ・イールド債を中心に組み込んでいる、高い利回りが狙えるようなものもあります。

まずは、円で外債に投資をするETFを購入してみて、次に、外貨で海外ETFに進むのがお勧めです。

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②投資信託

投資信託を通じて、債券に投資をすることもできます。ETFに比べると、管理費用は高いものの、ノーロード投信と呼ばれる、購入費用がかからないものもあります。

投資信託も、ETF同様に、円で購入しても投資信託は外貨で投資しているものも多く、中には為替ヘッジをしているので、為替リスクは無いものもあります。

投資信託は説明資料などが充実しているので、投資初心者にとっては、どういう商品なのかが分かりやすい特徴があります。また、種類が豊富というメリットもあります。

全くの投資初心者であれば、投資信託から入るという選択肢もあるかと思いますが、最終的に管理費用などのことを考えると、ETFを個別に投資していくことをお勧めします

ファンドマネージャーからのアドバイス

債券投資というと、個人向け国債を思い浮かべる人が多いでしょう。そうなると、債券投資は、預金金利よりも僅かに金利は高く、安全なものというイメージに繋がります。

しかし、債券投資はあくまでも発行する人にお金を貸すという行為ですので、相手の信用力によっては安全な場合あれば、安全でない場合もあります。日本国債がデフォルトになるようなことは、今は考えられませんが、少子高齢化の中で、財政赤字が続いていけば、将来的にはどうなるかは分かりません。

それを考えると、どんなに安心な投資先であっても、一銘柄に集中するのは好ましくありません。特に個別銘柄の債券は保有期間が長いことから、途中売却が可能ではありますが、基本的には償還まで持ち切ることを前提に投資する方が良いでしょう。分散投資をするには、個別銘柄を複数購入するか、ETFや投資信託を購入することになります。

資産形成が目的であれば、ETFや投資信託を「つみたてNISA」などで、少しづつ購入していくのが良いでしょう

もし、本格的に資産運用をしたいということであれば、金利の低い時期は株式投資の配分を多くして、金利が上がった時に、株式投資の配分を少なくして、債券投資の配分を多くするという、運用手法がお勧めです。

まとめ

債券投資は元本保証ですが、発行体(国は企業など)にお金を貸すのと同じ行為ですので、円預金と違い、発行体に万が一のことがあれば、元本が毀損するリスクはあります。しかし、国債を始めとして、信用力が高い発行体が預金金利も高い金利で発行しているので、預金代わりとして使うこともできます。

資産形成においては、ポートフォリオの一部に債券投資を入れておくべきでしょう。その場合は、ETFや投資信託を積立投資することをお勧めします。

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