自分がひっかかるわけない。多くの人は詐欺に対してそんなイメージを持っているかもしれません。しかし詐欺師は本当に巧みにあなたを騙してきます。
特に不動産投資は大きな金額が動く投資であり、詐欺師も用意周到に周到を重ね、相手を騙そうと工夫をしてきます。例えば最近では、積水ハウスが地面師から55億5千万円をだまし取られるという詐欺被害にあいました。
積水ハウス地面師詐欺事件（せきすいハウスじめんしさぎじけん）は、2017年6月1日に、積水ハウスが地面師グループに土地の購入代金として55億5千万円を騙し取られた事件[1][2]。
wikipedeia詐欺師は大手不動産会社ですら騙してしまうように入念に準備を重ねてきます。今日はそんな不動産投資詐欺の騙しの手口から防ぎ方、もし詐欺にあってしまった場合の相談先について、プロ目線で解説していきたいと思います。
不動産投資詐欺の手口とは
不動産投資詐欺にはいくつか決まった型があります。詐欺のパターンを頭に叩き込んでおけば、詐欺を防ぐことに役立ちます。ここでは代表的な詐欺の手口を上げておきます。頭にしっかりと入れておき、もしも何か話が怪しいなと思ったら、詐欺かどうかを疑うように癖をつけておきましょう。
手付金詐欺
手付金詐欺は、手付金を払わせるものの、実際の物件への手付金には使われないという詐欺です。不動産投資では、購入の前に、手付金といった形で前金を求められる場合があります。
詐欺師は、「売れ筋の物件で人気があるからひとまず手付金だけでも先に払っといた方がいい」などと伝え、
利用者に手付金を払わせますが、実際には詐欺師の懐に入ってしまうため、本来の物件の契約書には手付金は入っていない、という形になります。
特に相手が自分の身分をはっきりさせず、手付金についてやたらと要求してくる場合は、詐欺師の可能性を疑った方がいいでしょう。
家賃保証（サブリース詐欺）
サブリースとは、物件が空室でも家賃保証を行ってくれるという契約のことです。不動産投資をするにあたり、最も怖いのが空室リスクですが、詐欺師はこの恐怖心を巧みに煽って利用してきます。
サブリース契約自体は、不動産業界においては普通にあることですから怪しいものではありません。しかし、通常は契約の見直しなどの細かい条項があり、高い家賃をずっと保証するといった契約にはなりません。
詐欺師はそういった点を隠します。細かいところを聞くとはぐらかしてきたり、また契約書をよく見せようとしない、相手の説明の歯切れが悪い、という場合は、サブリース詐欺の可能性もあります。すぐに契約せず、いったん第三者の意見を聞くなどをしてみることをお勧めします。
満室偽装詐欺
マンションなどを買う際に、満室を偽装し、いかにも人気があるというように見せる詐欺です。しかし、実際は見せている間だけ住んでいる利用者がいたりと、実際契約してみたら空室ばかりということもあり得ます。
または、書面上でのみ満室を偽装してくるなど、とにかく満室をアピールしてくる場合は、満室偽装詐欺の可能性を疑ってみてもいいかもしれません。
満室偽装詐欺は、しっかりと現地調査をすることでかなり防げる部分があります。不動産投資は非常に大きな買い物ですので、何度も現地に足を運び、納得いくまで調査をするようにしていれば安心です。
原野商法詐欺
原野商法詐欺は、一昔前に流行した詐欺で、なんにもない土地をさも値上がりするかのように信じ込ませ、土地を販売する詐欺です。「来年鉄道がとおる計画がある」「空港ができる」など、ありもしない情報で被害者をたきつけます。
原野商法詐欺では、実際の土地自体はあるものの、道なども通っていなかったりと二束三文にもならない土地を高額で売りつけます。やたらと遠い土地を勧めてくる、値上がりするなど都合がいいことばかり言う場合は、原野商法を疑ってみて下さい。
原野商法も、しっかりと現地調査を行えば防げることは多いです。しかし、実際には行けないような僻地の土地の話をしてきたり、今買わないとなどと急かしてくるのです。不動産投資をするときは、こういった言葉で焦って決断をしてはいけないことを肝に銘じておきましょう。
地面師詐欺
地面師詐欺は、土地の所有者と見せかけて土地の売買代金を受け取るという詐欺です。土地の売買という大きな取引きですので、詐欺師も替え玉を用意したりと、複数人で大掛かりな仕掛けを打ってくる場合もあります。
地面師詐欺は不動産投資詐欺の中でも大きな金額が動きやすいものであり、何か月も前から準備を重ねてくる詐欺師もいます。そのため、詐欺が広まっていてもいまだに騙されてしまう人が多い詐欺です。
地面師詐欺はなかなか見抜きにくいところがあります。しかし、登記などをしっかりと確認したり、相手の身分を確認するなど、基本的なことをしっかりとやっていれば、見抜けない詐欺ではありません。特に、やけに条件がいい売買だなと感じたら、入念に相手の素性を確認するようにしましょう。
詐欺師が口にする言葉とは
不動産投資の詐欺師は、こちらをその気にさせようと甘い言葉を使ってきます。この言葉がでてきたら詐欺を疑え！そんなワードをまとめました。
絶対儲かります
詐欺師がよく口にする常套句のナンバーワンは、「絶対儲かります」という言葉です。投資である以上100%儲かることはありません。にもかかわらず、詐欺師は絶対に上手くいくと押し切ってきます。普通の営業であれば、絶対儲かるとはまず口にしません。このワードがでたら、詐欺の可能性を疑ってください。
節税対策になる
投資と聞くと多くの人が警戒します。しかし、それが節税対策になるからと言い方を変えられると、節税ならまあいいか、ということで、話を傾ける人がいます。しかし、そもそも売り上げがあってこその節税であり、不動産投資が絶対に節税対策になるわけではありません。節税効果を強く主張してくる場合は、要注意です。
ゼロ円で始められます
明確な詐欺業者、また悪徳物件を売りつけようとする営業がよく使う言葉です。確かに審査が通れば、全額ローンで不動産投資を始めることはできます。しかし、全額ローンにするとそれだけ返済が重くのしかかってくるので、本来は手持ち資金とのバランスを考えてローンを組むべきなのです。こちらのヒアリングをよくしないままに、ゼロ円で始められます、と言ってくる業者には要注意です。
表には出してない話です
これも詐欺師がよく使う言葉です。ここだけの美味しい話、ということで話を持ち掛け、他にも狙っている人がいるなどをちらつかせ、契約を焦らせようとします。しかし、こちらをあおって契約をさせるような業者は間違いなく悪徳業者です。もしも相手がそういったそぶりをみせたら、詐欺師かどうかを疑った方がいいでしょう。
詐欺かもと思った時の相談先は？
この取引、もしかしたら詐欺なのかも、もしそんな状況になってしまったら、出来る限り早く関係機関に相談することをお勧めします。
消費者庁
消費者庁では、消費に関する相談に無料で乗ってくれます。不動産取引の詐欺の報告も多くされている場所なので、怪しいと思ったら同様の事例がないのかなども聞いてくれる可能性があります。相談先として頭にいれておくといいでしょう。
司法書士
数ある士業の中でも、司法書士は不動産取引に強い士業であるといえます。取引がなんとなく怪しい、そう感じたらかかりつけの司法書士などに相談してみるといいでしょう。詐欺相手と司法書士がぐるになっている場合もあるので、相談先は信頼できる場所を探してください。
弁護士
法律関係の相談はやはり弁護士が一番です。ただし、相談するタイミングとしては、実際に詐欺にあってしまった疑いがあり、相手を調査するといった段階になるかもしれません。弁護士の中でも、不動産取引に強い弁護士を探すようにするといいでしょう。また、とりあえず話を聞きたいという場合は法テラスだったり、役所などの無料相談の利用もお勧めです。
宅地建物取引業保証協会
宅地建物取引業保証協会は、不動産会社などが会員となっている協会で、詐欺など、不測の取引に関する弁済をおこなってくれる協会です。もし条件に当てはまれば、取引に関して弁済を受けられる可能性があります。詐欺かもと思ったら、相談してみることをお勧めします。
まさか自分がとならないために
詐欺にあった誰もがいう言葉は、まさか自分が詐欺にあうとは思わなかったという言葉です。それだけ、詐欺師は周到な準備をし、我々を騙そうとしてきます。上手い話には裏がある。常に頭の中ではそう思いながら取引を勧めるようにしましょう。冷静にしっかりと、自分の頭で情報を整理し、判断する気持ちをもっていれば、詐欺を防ぐことは可能です。もし怪しいと思ったら、すぐ信頼できる人に相談してみましょう。
