家賃収入を安定させるサブリース。メリット・デメリット、注意すべき点を解説して行きます。

サブリースとは不動産会社(「サブリース会社」という)が物件の所有者から賃貸を受けて、その物件を転貸する方法です。所有者は賃借人を探したり契約する手間が省けるのと同時に、サブリース会社から安定的に家賃を受け取ることができます。副業などで不動産を管理する時間が無い方や不動産投資に関する手間を省きたい方にはおすすめな方法です。

1 サブリースのメリットとは

(1)空室や滞納のリスクがなく収入が安定する

サブリースでは所有者とサブリース会社がサブリースを条件とした一括賃貸借契約を締結するので、実際に空室が発生しても、所有者には契約した家賃が払い込まれます。また、賃料支払いで延滞や遅延が発生しても、賃借人への対応は、所有者は関与する必要が無く、その回収や交渉はサブリース会社が行い、所有者はサブリース会社との契約した家賃満額を受け取ることができます。つまり、空室や滞納などのリスクは、全てサブリース会社が負うことになります。

(2)家賃の管理などの手間が省ける

アパートなど複数の部屋がある場合、自主管理であれば、毎月の家賃が指定の期日内に入っているかの確認は、所有者自らが行う必要があります。滞納の場合、賃借人への連絡や交渉も自身で行いますが、サブリースの場合はサブリース会社が行いますからその手間はありません。入居者によっては、滞納の結果、常に一か月遅れで入金してくるような事態にもなります。部屋ごとに何月分の家賃が入ってきたかを管理するのは結構手間がかかる作業です。

(3)賃借人募集などの手間が省ける

所有者はサブリース業者との契約だけを行い、賃貸はサブリース会社が自らの責任で行うので、賃貸募集に関する手間とリスクはありません。

(4)入居率が100%の物件はいろいろなメリットが享受できる

所有者はサブリース会社に一括して賃貸するために、実際に空室が出ても100%の賃貸状況となります。通常、所得申告時に減価償却費用の計上は、建物原価に対して入居率をかけた分が計上できます。サブリースの場合は100%減価償却費を計上できます。
また同様に、相続時にも貸家建付け地になるのは実際に賃貸をしている部屋だけですから、サブリースの場合は実際に空室があっても、所有者は100%賃貸をしていますので、建物全部にその適用が受けることができます。。

2 サブリースのデメリットとは

(1)家賃が安くなる

サブリース会社は賃借人の募集費用を負担し空室リスクも負うので、サブリース賃料は一般的な相場家賃よりは安くなります。ちなみに所有者からの借り上げ家賃(サブリース家賃)は市場家賃の80~90%ぐらいが一般的です。これはその物件の状態や周辺の需給などの要素によって変化します。たとえば、周辺の物件需要が強く、かつ物件数が足らない場合、また当該物件の築年数も浅く状態が良好な場合は、サブリース会社は空室リスクが少なく、入れ替え時の空室期間も短いと予想するので、所有者との契約は一般家賃に近い家賃設定が可能です。しかし、その逆の場合はリスクも高くなるので家賃設定は低くなります。

(2)入居者がわからない

サブリースの場合、賃借人の入居審査は基本的にはサブリース会社が行い、所有者は関与しないことが一般的です。よって所有者は賃借人を選ぶことができません。平時は賃貸に関する全ての責任はサブリース会社が行いますが、契約更新時に条件が折り合わず、サブリース契約が解約された場合は、賃借人(エンドテナント)との契約は解除できずに所有者が引き継ぎます。その場合は自分が審査した賃借人ではない人と、直接契約することになります。これは大きなリスクで、トラブルの元になりかねません。

(3)賃料は永続的ではない

所有者とサブリース会社のサブリース契約は永続的ではありません。通常は2年ごとに保証賃料の見直しが行われます。サブリース会社としては経済状況や物件の稼働状況によって見直しを行うのは当然と思いますが、所有者としては予定した賃料が入らなくなるので困ってしまいます。しかし、物件は年々古くなりますし、周辺の需給も変化しますから、長期にわたって同額の家賃で契約を更新していくことは難しいと考えておくべきです。
また、サブリース会社が業績悪化などで倒産し、会社更生法や民事再生法などの法的手続きをした場合は、そのサブリース契約継続不可能になる場合があります。他にも、長期家賃保証をしていたが、業績悪化や空室が多くサブリース会社から減額要求される例などもあります。サブリースを契約する場合は、その会社の信用度、体力を確認し、かつ将来の家賃の推移をよく研究して交渉すべきと思います。

(4)免責事項がある

新築のアパートなどは、入居時や退去時に免責期間が設けられていることがあります。この期間は原則として不動産管理会社は家賃保証義務がありません。サブリースと言ってもこのような期間は保証家賃が入りませんので、その時期のローン支払い、管理費用などの資金は別途用意しておくべきです。

3 サブリース契約をする場合に注意すべきこと

(1)サブリース会社の信用度

会社と一括りに言っても、資本金数万円から数千億円と様々な会社があります。まず大切なことは、サブリース会社が契約を履行できる信用力があるか?ということです。これ調べるには、会社のパンフレットやホームページで、資本金、業歴、業績を確認すると同時に、担当者だけでなくその上司とも会って会社の状況を確認するのが良いでしょう。また上場企業であれば、IRのページから会社の経営状況や決算(有価証券報告書)の内容を確認できます。サブリースは、サブリースが会社が、空室時にはそのリスクを背負い、所有者に予め契約で定めた家賃を全額支払う義務があります。空室や延滞が発生している状況で、会社が倒産などをしてしまえば、契約を履行してもらうことができません。

(2)賃料の水準

保証家賃はサブリース会社が家賃支払いのリスクを負う分だけ、市場家賃よりは安くなる傾向があります。通常は市場家賃の80~90%の賃料ですが、提示された家賃が妥当であるかは、よくチェックする必要があります。周辺の同等の築年数、広さの物件の賃貸募集家賃と比較して、妥当であるか確認しておくことも大切です。また、サブリース会社を選定する時は1社ではなく複数の会社に見積もりを依頼して、家賃やその他契約条件の比較をしましょう。

(3)契約上の費用負担

サブリース契約においては、通常、賃貸募集費用はサブリース会社が負担し、退去後の所有者が負担すべき改装や原状回復費用は、所有者が負担すると定めているケースが多いと思われますが、契約によって変えることは可能です。契約書案をよく見て内容確認し、各条件がどうなっているのかを確認し、条件が不都合な内容の場合は、交渉して変更することが重要です。

(4)契約期間と賃料見直し

サブリース契約の契約期間は何年か、また更新条件はどうなっているかを確認しましょう。通常、契約期間は2年~10年ぐらいで、物件の状態によって大きく異なってきます。また、契約期間中でも、何年かごとに家賃を見直す契約になっているものがほとんどです。通常、2年ごとの見直しを定めている場合が多いので、その条件も確認しておきましょう。
さらに、賃料の見直し時の変動幅を規定する場合もあります。例えば、従来が月間100万円の場合、変更時の家賃の下限は70%にするなどの条項があることがあります。所有者にとっては下限をなるべく高く付けたほうが安心です。

(5)解約条件

サブリースは賃料を保証してもらい安定的に家賃支払いを受けるために行う契約ですから、サブリース会社がいつでも解約できるような契約では困ります。しかし、家賃相場が急激に上がっていく可能性も無いとは言えないので、その場合所有者としてはあまり長期間家賃が固定されてしまうのも機会損失につながります。解約条件がどのように契約書に記載されているかも確認しましょう。

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【2022最新版】サブリースを最もお得に解約する方法

KMマネジメント編集部です。サブリース契約は賢く使えば大変便利なものです。しかし契約内容によっては不利になってしまうこともあります。またサブリース会社によっては、解約できないといった条件をつけている...

まとめ

ここまでサブリースのメリット・デメリットや注意点を解説してきました。サブリースは不動産投資における「保険」的な役割を担っていますが、その分、保険料もかかってきます。また、保険契約の相手先の信用力も高くなければなりませんし、保険契約の内容も事前にしっかりと確認することが必要です。

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