サラリーマンの生涯年収と手取りはいくらか?学歴でいくらくらいの差が出るかも調べみました

生涯仕事をしてもらう収入の合計はどの位の金額になるのでしょうか?

企業経営者であれば、自分の頑張りとその会社の業績などによって、収入は大きく変わりますが、サラリーマンの場合は、ある程度その金額は決まっています。

この記事では、一般的なサラリーマンの生涯年収、税金や保険などを差し引いた手取りなどについて、データに基づき、解説して行きます。

なお、この記事で使用するデータに関しては、出典は全て、労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2020』からで、2018年の数値です。

サラリーマンの生涯年収はいくらか?

サラリーマンの生涯収入は労働研究・研修機構の統計によると2017年ベースで

大卒男子 2億6220万円

大卒女子 1億9890万円

となっています。これはあくまで平均値な金額です。よって上下はあるとは思いますがここ10年ぐらいはやや減少傾向にあります。これは日本のデフレの進行による賃金の上昇が減ったことなどいろいろと要素があるとは思います。この生涯年収を年間の収入に換算したとすると、22歳で大学を卒業して定年の60歳まで38年間働いたと仮定し、年間の収入は男性は約690万円、女性は約520万円となります。しかし、すべての人がこの金額の収入があるわけでもありません。あくまでも中央値であり、中央値は少数の高額所得に引っ張られて上がるので実際にはこれよりやや低いと思っていたほうがよい気がします。

(1)企業別生涯収入

上記に平均的な生涯収入を記載しましたが、個別の企業ではどのような差があるのでしょうか?会社四季報2020年秋号(出所:東洋経済新報社)によると、1位は生涯収入がなんと13億円台で、それに続き11位までが5億円台、それ以下31位までが4億円台となっています。成功報酬型の給与体系の企業が上位にあるように思えますが、大手商社などの大企業も上位にずらっと並んでおり、世界を代表するような大手企業はそれなりの収入があると考えられます。もちろんこの数字には平均年齢の違いや前述した報酬体系の違いがあります。また、当社が発表の上場企業のワースト生涯収入ランキングでは最下位が9000万円台、下位100社が1億4000万円台、下位200社でも1億5000万円台でした。このように企業間でも大きな格差があります。相対的には業界が成熟して市場が収縮、売上、利益が減少方向にある企業の生涯年収は大きく伸び悩んでいて、グローバルに活躍して売上、利益とも伸ばしている企業が上位になるような印象です。

(2)学歴別生涯収入

学歴別にみるとどのような状況なのでしょうか。2017年のユースフル労働統計を見ると中学卒業(男性)1億9400万円、高校卒(男性)2億730万円、高専及び短大卒(男性)2億1450万円、大学及び大学院卒(男性)2億7000万円とありました。これを見ると学歴が高いほど平均賃金は高いようです。また、同じ大学及び大学院卒でも国立では東京大学や京都大学、私立では慶応大学、早稲田大学などの入学偏差値が高い難関校のほうが生涯平均給与は高いようです。

(3)雇用形態の違い

2017年の賃金構造基本統計調査によると、正規雇用の男性は約 1億8264万円、女性は約1億3638万円、非正規雇用の男性は約1億422万円、女性は約8309万円となっています。正規雇用には退職金なども支給されますし、基本的には同じ会社に長期間勤務する場合が多いので給料は高めになるからだと思います。

では、手取り額にするといくらになるのか?

1では生涯収入を述べましたが、実際に手取りの収入はどのようになるのでしょうか?日本の所得税は基本的には累進課税となっていて収入が高くなるほど課税所得に対する税率が上がってきます。また、健康保険料や厚生年金保険料なども収入に対して一定の掛け率でかかってきますので収入が多くなると上限の一定額までは支払い費用は増えていきます。それらを勘案すると、収入の格差に比例して手取り収入が連動でずにややなだらかな格差になるように制度設計されていると思います。

 

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

(国税庁ホームページより 令和3年4月1日現在法令等)

例えば課税所得が4000万円の方は所得税は4,000万円×45%-4,796,000円=13,204,000円となり、課税所得に対する税率は約33%となりますが、課税所得300万円の場合は
300万円×10%-97,500円=202,500円となりその税率は6.75%になります。これに住民税や健康保険料や厚生年金保険料なども上限まで累進掛け率となりますのでそれも反映されます。

3その他の変動要素

今の若年層は女性がフルタイムで仕事を持つのが当たり前のようになってきていて、家事や子育てを夫婦で分担する仕組みの世帯が多くなっています。これにより1人で年収2000万円の収入よりは二人で1000万円ずつ稼ぐほうが1人当たりの所得税率も低くなるので世帯当たりの実際の手取り収入は1人だけで稼ぐよりは増加すると考えられます。
また、親の家などを継承したりまたは同居するような形でその住宅コストはかからない方もいると思います。特に都心など主要都市などの家賃は地方に比べて相当高いですので持ち家があるかどうかでずいぶんと生活設計も変わります。
さらには運用などの副業での収入も影響します。特に株式や債券など有価証券での運用収入は個人の場合は源泉アリの分離課税が選択できますのでその場合は収益に対しての税率が約20%強になっています。例えば2000万円の貯蓄を銀行の普通預金にして保有する場合(金利は年利0%に近いと仮定)と、20年をかけて運用して2倍の4000万円とした場合で、約20%強の税金を加味しても約1600万円の生涯収入の差が出てしまいます。
他にも居住用不動産をどの場所にいつ頃購入するのかでも大きく生涯収入は変化すると思います。例えば都心近郊のマンションを価格が下がっているうちに購入してそれが20年後に2倍になったと仮定します。サラリーマン生活が定年となり年金生活になれば通勤なども無くなって都心近郊に住む絶対性は無くなりますから、自宅を売却して地方の不動産が安い地域に自宅を再購入するとその売却差額は手元に残ります。自宅売却の場合は益金に対して諸条件をクリアすれば3000万円の控除が認められ、かつ一定の長期保有していれば長期譲渡所得扱いとなりましから短期での売買より税率が安くなるメリットもあります。例えば、3000万円で購入した自宅が20年後に6000万円となっていれば、売却しても3000万円の自宅売却の控除で税金も支払いもなく、同時に3000万円をかけて次に居住する住居を購入してもざっと3000万円の資金が残るという感覚です(売買手数料、取得税、登録免許税などは考慮せず)。これも一つの収入となります。

まとめ

このように一般的なサラリーマンの生涯収入は入社した会社、定年時の役職、雇用形態、学歴などによって違いが出ることは否めません。しかし、税率や社会保険料などでその格差は一定レベル縮小されます。かつ運用をしたり、自宅不動産を購入するなどにより資産を増やすことができれば実際の生涯収入を増やすことも可能です。運用などの努力や工夫次第で収入を増やすことが十分に可能性のある世の中になってきたと思います。

 

 

 

 

 

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