【ニュース解説】フラット35投資悪用による被害が続いています、投資初心者は騙されないように!!

2021年5月4日の朝日新聞の記事に「フラット35投資悪用消えず 業者が甘い誘惑、返済難も」という記事が載っていました。

https://www.asahi.com/articles/ASP52444SP4VULFA01Z.html

詳細に関しては、上記のリンクから記事をお読みいただきたいと思いますが、「フラット35」という住宅ローンを悪徳不動産業者が悪用して、投資初心者が騙されて被害に遭っているというものです。

では、投資初心者がこのような罠にかからないためには、どうしたら良いのでしょうか?ここでは、不動産会社が騙す手口と投資初心者が気を付けるポイントを解説して行きます。

住宅ローンと不動産投資ローン

そもそも自分で住むための家を購入するために借りる住宅ローンと投資用の不動産を購入するために借りる不動産投資ローンは、その資金使途が違うことから、取り扱う金融機関や審査内容などは全く異なります。

通常は、不動産投資ローンの方が審査は厳しく、住宅ローンは借りやすく、金利などの条件も良いという特色があります。年収でいっても、不動産投資ローンは500万円以上が基準となりますが、住宅ローンは、年収と借入額のバランス(返済比率)次第となります。

そこで、比較的借りやすい住宅ローンを利用して、投資用不動産の購入を勧める悪徳不動産業者がいます。しかし、住宅ローンを利用して、投資用不動産を購入することは契約違反となります。

不動産投資ローンと住宅ローンはどこが違うの?

不動産投資ローンとは投資用不動産に対する貸付のことで、10~35年程度の長期でかつ元利均等返済が可能な借入です。また、一般の住宅ローンは自宅として居住する物件の購入や改築のみに適用される借入です。こ...

フラット35

住宅ローンにはいろいろな種類がありますが、フラット35はその中でも、いろいろとメリットが多いことから、住宅ローンの中で最も利用されているうちの一つとなっています。

もともとは住宅金融公庫による融資でしたが、今は、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携することで、利用できる形となっています。

メリットとしては、長期の固定金利のローンが組めるというものです。金利は取り扱う金融機関などにより異なってきますが、購入価格の9割以下のローンで、1.37%固定が平均的なようです。

不動産投資ローンにも2%台のものもありますが、変動金利ですし、35年間の融資で1.37%を下回るものは、見たことがありません。

フラット35を悪用した手口と被害

悪徳不動産業者は、不動産投資ローンほど審査が厳しくないフラット35を利用して、年収が低い若者に、フラット35を利用して投資用不動産を購入することを持ち掛けます。

自分の年収では不動産投資なんてと思い、特に事前知識も無かった方が突然、自分の年収で投資用の不動産が購入出来て、しかも、毎月の収支が大幅なプラスとセールスされれば、中にはその話に乗ってしまう人もいます。

住宅ローンとしての審査がありますので、とりあえずは、悪徳不動産業者は空室を販売し、自分で住むことを装いさせます。融資が下りたら、入居者を募集して、家賃収入で住宅ローンを返済させます。フラット35であれば、金利も低利固定ですので、毎月の収支はプラスになります。

しかし、悪徳不動産業者はリスクの説明は一切しません。空室になる可能性があること、修繕が必要になる可能性があることには触れずに、収支がプラスになる良いストーリーしか話しません。

しかも、販売する不動産は市場価格よりかなり割高だったと聞きます。もともと不動産投資の準備をしてなかった方は、相場がいくらかも分かりません。ただ、毎月の収支がプラスになって、負担やリスクなく不動産が持てるということしか聞いていません。

悪徳不動産業者の中には、入居者が入っても、家賃を購入者に振り込まなかったりする業者もあったようです。また、審査を通すために、年収が低い方は源泉徴収票や預金通帳を改ざんしていた場合もあるようです。

結局、ギリギリの収支で、リスクイベント(空室発生など)が発生すれば、自分の年収ではどうしようもできないことから、事態が発覚したようです。

そもそも、投資用不動産住宅ローンで購入したことが分かった場合、すぐに一括返済を求められます。割高な金額で購入していたり、投資用不動産ローンの審査基準にもともと達していないような方は、返済資金を調達することができないので、手元の不動産を売却するしかありません。

しかし、売却しても返済分には足りないので、残りは自分の借金として残るか、最悪は自己破産するしかありません。

他にもよく使われる手口

住宅ローンを利用する以外にも、年収をごまかすといった手口はよく使われます。源泉徴収票の偽造であったり、わざわざ税務署で年収を高く修正申告するといった凝った手口もあります。

また、契約書上の販売価格は高くすることで、融資金額を多くして、オーバーローンを組んだり、余った金額をキャッシュバックするようなこともあります。(その場合、実際の価格は他に覚書などで対応しますが、覚書は金融機関に開示されません)

どの方法も、延滞などが発生しない限り発覚しにくいですが、私文書偽造などの詐欺罪です。悪徳不動産業者からの入知恵とは言え、融資の申し込みなどは自分ですることもありますので、騙されてとは言え、立派な共犯者になるので気を付けましょう!!

ファンドマネージャーからのアドバイス

住宅ローンを利用して投資用不動産を買わせるというのは、古典的な手口で、「なんちゃって」と呼ばれ、投資用不動産ローンの審査が厳しく、また、取り扱う金融機関も少なかった頃は、実は、ほとんどの不動産業者でもやっていました。金融機関も表向きは禁止していましたが、担当者は黙認していたんじゃないかと思います。(あくまでも私見ですが)

その後、だんだんと融資後の実態調査も厳しくなり、住民票が移動したことの確認や実際にポストの名前を確認するなど、なんちゃってが利用できなくなってきました(そもそも、以前は借りた後の調査などありませんでしたので)。中には、「なんちゃって」が発覚して、某地方銀行には出入り禁止になったという老舗不動産会社の話しも聞きます。

当時に比べれば、不動産投資ローンを取り扱う金融機関も増えて、ある一定の審査基準はありますが、借りやすくなっています。以前は、頭金10%が必要な時代もありました。

今、「なんちゃって」を勧めてくる業者には普通の業者はありません。どんなに魅力的な提案であっても、そのような業者と取引するのはやめましょう。一般の業者はそんなことをして発覚すれば、提携金融機関が無くなってしまい、経営が行き詰まりかねないので、そのようなリスクは決して負いません。確かに、ばれなければおいしい話ですし、無自覚で転勤などで一時的に自分の住まいを賃貸に出してしまうよな方もいらっしゃいます。しかし、自ら進んでそのような提案に乗るのは、やめましょう。

まとめ

1.住宅ローンと不動産投資ローンは別物です。住宅ローンの方が条件が有利とはいえ、住宅ローンで購入した物件を賃貸に出して、投資用物件として収益を得ることは、契約で禁止されています。

2.しかし、いまだに不動産投資の知識不足に付け込んで、住宅ローンスキームを悪用して、高額な物件を売りつける悪徳不動産業者がいます。他にも、いろいろな手口がありますが、犯罪であったり、犯罪すれすれものものあります。

3.普通の業者は、そのような提案は決してしませんので、どんなに魅力的な提案であっても、そのような提案に乗るのはやめましょう。

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