収益物件とは、オフィスビル、店舗などの商業施設、マンション一棟、区分マンション、一棟アパート、戸建て賃貸など、収益を生む不動産物件です。近年は定期預金などの預金金利が低い状態が続いていることから、お金を銀行などに預けてもほとんど収益を生みません。このような時期には、運用益を期待することができる、不動産や株式投資などに人気が出ます。株式投資は値上がり益も狙えますが、配当金に関しては、その年の企業決算が悪ければ減配されるリスクがあります。しかし、不動産投資は賃借人との賃貸借契約を締結すれば、解約とならない限り、契約書に記載された賃料が入ってくるのことから、株式投資の配当金に比べて安定した収入となり得ます。
1 収益物件(収益不動産)としては、どのような物件が適しているのか
不動産投資としての収益物件の購入は、運用商品として不動産を購入するわけですから、まずは、利回りを重視すべきでしょう。また、実際に住むわけではないので、自分の好みを中心に判断せずに、一般的に多くの人に好み住みやすいと考えてもらえる物件のほうが良いでしょう。中古物件の場合は、賃貸中でテナント付き(「オーナーチェンジ」とも言う)で売買されるために、購入後すぐに家賃が入って来るので、賃貸事業スタート時点のキャッシュフローは安心です。しかし、室内の内見ができない場合が多いので、入居者の利用状況や室内の状態が分かりません。そのため、入居者が退去後、次の入居者を入れる準備の原状回復工事などに思わぬ経費が発生することがあります。新築物件を購入する場合は、購入後に部屋を賃貸募集する必要があり、賃借人と契約をして入居になるまでの間は賃料が入りません。その期間の必要資金(管理費、税金、ローンなど)は別途確保する必要があります。
また、土地を保有又は購入して、建物を建築する場合は、建築士事務所などに設計を依頼して建築認可を取得し着工する必要があります。木造2階建てにしても約6か月、鉄筋コンクリー造ですと階高にもよりますが1~2年ぐらいかかります(高層の場合は、更に、建築期間が長くなります)。その期間の必要資金は別途確保が必要です。
2 収益物件の選び方
(1)立地条件
立地条件は最も重要な要素です。賃貸物件として一般的に好立地というのは
①交通の便が良いこと
駅(できれば主要幹線や地下鉄)から徒歩10分以内の場所など。
②周辺施設
周囲にスーパーやコンビニまたは商店街など買い物する場所があること。各種クリニックや総合病院などの医療施設があることなど。
③周辺環境
公園や図書館などの公共施設などくつろげる場所があることなど。
(2)収益性
どんなに格好が良い建物でも収益性が低ければ収益物件としては良くありません。収益性が高い要素として、
①賃貸で人気がある場所で賃貸需要が旺盛であること
オフィスの集積地に電車1本で行ける場所、近隣に大規模な学校、工場など、人が集まる場所があるような賃貸需要が旺盛な場所。周辺環境が良く、住みやすい場所。部屋の向きや眺望が良く住みやすい部屋など、人気がある場所、部屋であること。
②建物の効率がよく総額家賃が高く取れること
同じ大きさの建物でも、賃貸に使える面積(有効専有面積)が多ければ収益が上がります。また、建物以外に駐車場なども付帯していて、その収益がある場合もプラスとなります。
(3)中古物件と新築物件
中古物件は価格も新築に比べて価格は安いですが、築年数によっては老朽化が始まっています。その場合、購入価格は抑えられても、購入後に思わぬ修繕費などが発生します。特にトイレ・キッチン・エアコン・給湯器などの設備器機器は経過年数をチェックして、どの程度で交換が必要か確認することが必要です。更に、エントランス、廊下、バルコニーなどの共用部もよくチェックしましょう。
新築物件は、設備などは新品ですから、当面は修繕コストは最小限で済みますが、その分、購入価格は高くなります。ただし、どのような部材、設備になっているかなど、その品質は良くチェックしてください。また、設計図面と実際の建物が合致しているか、室内に結露が発生しないか、などチェックも必要です。
3 借入金利を抑える
収益物件で効率的な利益を得るためには借入金利を抑えることが重要です。
低金利で調達できれば、毎月の返済額は少なくなり、キャッシュフローも良くなり、最終的な支払総額は驚くほど変わります。
<例>
借入額 1億円 期間30年 元利均等返済方式
年金利2% 毎月返済額37万円 30年の支払総額 133百万円
年金利1% 毎月返済額32万円 30年の支払総額 116百万円
これを見るとわかるように金利が2%と1%では返済額が毎月約5万円、総支払額では1億円に対して約17百万円違います。1億円に対して17%ですから相当な金額です。
金利の決定にはいくつかの要素がありますので参考にしてください。
(1)借入用途
購入物件が自宅用不動産ならば住宅ローンが適用されます。住宅ローンは購入物件からの収入ではなく給与などの別の収入から返済されて、貸し倒れ率が低いので金利は安くなります。また投資用不動産でも一概には言えませんが銀行<信用金庫<ノンバンク、の順で金利は高くなるようです。
(2)担保物件の評価
金融機関での担保物件の評価額が高く、担保余力が十分あるとみなされる場合は、金融機関の貸出しの回収確率は高くなりますから、金利は低くなる傾向にあります。
(3)借入人の信用度
投資用ローンを利用する際、借入人が公務員や医師などの収入の安定した職業の場合、また勤務年数が長い場合、高額の収入がある場合などは、借入人の信用度は高く見てくれることから、一般的には金利は低くなります。
(4)購入物件に対する借入比率
購入金額に対して自己資金の比率が大きい場合は、金融機関の貸出しの回収確率は高くなるので、金利は低くなります。
まとめ
低金利の状況が続いている中で、不動産投資を始める方は増えて来ています。不動産投資は、安定した家賃収入を得ることができるので、ミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われています。ただし、家賃収入が入るのであれば、どんな不動産でもいいと言う訳ではありません。多額の投資をして、それなりのリスクを負うのであれば、より安全に高いリターンを狙える方法を探しましょう。物件の選択やローン条件の交渉など、手間はかかりますが、長い目で見れば投資収益は大きく変わってきます。