不動産投資は多額の投資となるため、多くの方が不動産投資ローンを利用しています。多くの投資の中で融資を利用して投資できるのは不動産投資だけとも言えます。
しかし、不動産投資ローンは借金ですので、当然、ローンを組むことにリスクを感じられる方もいらっしゃるでしょう。不動産投資ローンを上手に活用していくための知識として、ここでは、不動産投資ローンのメリットとリスクを解説して行きます。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンのメリットとしては、以下の点が考えられます。
- 手持ち資金を残すことができる
- レバレッジ効果を得ることができる
- 不動産投資の収益を利息・元金の返済に充てることができる
- 団体信用生命保険に加入できる
メリット1:手持ち資金を残すことができる
不動産投資ローンを組むことで、自己資金を手元に残しておくことができます。
これにより、手元資金に余力を残しながら投資することができるので、突発的な出費(病気、怪我、教育費など)に備えることができます。
また、不動産投資は長期的な資金計画が立てやすいので、手元に残しておくべき金額も目途が付けられるメリットがあります。
メリット2:レバレッジ効果を得ることができる
レバレッジとは「てこの原理」を意味する言葉で、レバレッジ効果とは「小さい資金で大きな投資効果をえること」です。
不動産投資のレバレッジ効果の高さは、他の商品と比べても高い部類に入ります。株式取引では、委託保証金維持率は一般的に30%ですので、掛け目を考慮しなければ、約3.3倍の投資を行うことができます。
しかし、不動産投資であれば、フルローンを利用して、手元資金の10倍以上の投資を行うことも可能です。最近では、フルローンで諸費用サービスということもあるようで、そうなれば、100倍以上の投資が可能です。
メリット3:不動産投資の収益を利息・元金の返済に充てることができる
不動産投資で多額のローンを借り入れても、家賃収入で利息・元金の大部分の支払いが賄えます。
住宅ローンであれば、給与収入によってローンの利息・元金を支払っていきますが、不動産投資ローンは、主に家賃収入が返済原資となります。不動産投資ローンは住宅ローンの金利よりは高いですが、不動産の投資利回りは、ローン金利よりも高いため、一般的には家賃収入と毎月少しの負担で無理なく支払いを進めることができます。
現在の異常ともいえる低金利の状況は、資産家にとっては迷惑な状態ですが、お金を借りる人にとっては、とても有利な状況です。
メリット4:団体信用生命保険に加入できる
不動産投資ローンの契約条件として、一般的には団体信用生命保険(団信)への加入が条件となります。
契約者(借入人)が死亡したり、高度な障害を負った場合に団信が契約者に代わってローンの残債を返済してくれますので、購入した不動産がローンの無い状態で、ご家族に残ります。つまりご家族にとっては、生命保険代わりになると言えます。
今は「がん団信」と言われる、「がん」と診断されたら保険が下りる特約のついた商品も登場しています。
不動産投資ローンのリスクとデメリット
一方、不動産投資ローンには以下のリスクとデメリットがあります。
- 不動産を売却しても残債が残るリスク
- 利息が発生する
- 金融機関との交渉が必要
リスク1:不動産を売却しても残債が残るリスク
投資した不動産を何かしらの事情で売却しようとした際、売却金額がローン金額以下で、残債が残ってしまったり、売却ができなかったりするリスクがあります。
投資した不動産が値下がりすることもありますし、担保評価が過剰でローンを借り過ぎてしまった場合に発生しやすいリスクです。
ある程度の手元資金を入れたり、途中で繰り上げ返済をして、ローン金額を減らしておけばリスクは低くなりますが、フルローンやオーバーローンを利用していると、どうしてもリスクは高くなってしまいます。
リスク2:利息が発生する
現在は異常な程の低金利環境ではありますが、ローンの金利はゼロではありません。
また、不動産投資ローンは、住宅ローンに比べて金利は高くなります。ざっとした計算ですが、3,000万円を金利2%で借りて、30年間で返済した場合、30年間の支払い利息の合計は1,000万円を超えます。
更に、変動金利の場合は、将来的に利息が上がるリスクもあります。固定金利であれば安心ですが、固定金利は目先の金利が高くなってしまいます。
リスク3:金融機関との交渉が必要
投資用の物件を不動産会社から直接購入するのであれば、不動産会社の提携ローンを利用することで、金融機関との交渉が比較的にスムーズに進みますが、仲介会社を通じて購入する場合は、自分で金融機関と交渉する必要があります。
不動投資ローンは住宅ローンと違って、取り扱っている金融機関も多くなく、また、審査条件も厳しくなります。
会社の財務部で銀行交渉を経験したことがあれば問題ありませんが、金融機関との融資交渉は、資金計画表やその他の資料を作成・提出するなど、結構な手間がかかります。
また、資料を提出しても融資をしてくるとは限りません。サラリーマンの方が本業の合間にこれらの作業を行うのは、とても大変なことです。
不動産投資ローンでの失敗事例
よく不動産投資で失敗したという話を聞きますが、だいたい以下のような感じでしょう。
- 毎月の持ち出しが大きい(融資金利が高い)
- 利息と元金の支払いができない(想定通りの家賃収入が入ってこない)
- 物件を売却してもローンが残ってしまう(過剰な担保評価)
不動産投資は家賃収入が入りますので、家賃収入とわずかな手出しで、長期間でローンの返済ができれば失敗にはなりません。金融機関の評価が低い物件は、どうしても利息は高くなり、キャッシュフローのリスクが高まります。毎月の収支が、マイナス2万円を超えるような物件は避けるべきでしょう。
また、サブリース付きであったり、ウィークリーマンション・民泊利用で、一見、家賃収入が高めに見えるような投資が失敗して、ローンの支払いができないケースもよく見られます。
金融機関によっては融資先が欲しかったり、貸出金額の目標を達成するために、融資審査が甘めになることもあります。
不動産会社は、そこをチャンスとばかりに、自分が販売する物件の担保価値が高くなるよう働きかけ、市場価格よりはるかに高い値段で投資家に不動産を購入させることがあります。
複数の金融機関の評価や他の不動産会社の意見を聞いてみることも大切です。
まとめ
不動産投資ローンはリスクもデメリットもありますが、それ以上にメリットもあります。
特に、今のような低金利の状況は、借り手有利な環境です。
投資した不動産が安定した収益が確保でき、融資条件が良ければ、失敗するリスクを抑えることも可能です。投資物件と融資先は、よく吟味するようにしましょう。
不動産投資の収益率と不動産投資ローンの利率の差を上手く活かすことが、不動産投資成功への近道です。