東京都心や大都市の地価が上昇し、更に、インフレによって生活費も上昇する中で、地方移住を選択する人も増えてきました。また、地方自治体も人口減少を食い止めるべく、様々な誘致活動を始めています。
この記事では、地方移住に関して、メリット・デメリットを挙げながら失敗しないためのポイントついて解説して行きます。
地方移住のメリット
その1:生活コストを下げることができる
地方移住のメリットとして一番に挙げられるのは、都心に比べて家賃や物価が安く、生活コストを下げることができることです。
都心では不動産価格も家賃も高額で、家賃支出が収入の30%を超える場合もあります。今は低金利なので、マイホームを購入する方が負担が少なくなるケースも多いですが、それでも、大きな負担であることに変わりはありません。
地方であれば、都心と同じくらいの家賃を支払うと、より広くて部屋数の多い家に住むことも可能です。
また、食料品なども地方の方が安いという声をよく聞きます。
地産地消が流行っていますが、元々地方の場合は、食料品などは身近で生産されている物を使っている場合が多く、流通コストや加工コストも少ないのでその分だけリーズナブルな価格で手に入れることができます。
また、より広くなった自宅の庭で野菜や果物を家庭菜園で育てることもできます。
その2:密接なコミュニティ
地方は、家と家が点在していますので、物理的には、距離をおいて住んでいるように思えますが、そのコミュニティごとの居住者は都心や大都市に比べて少ないので、自分たちの生活や安全を確保するために住民同士は助け合いをして生きています。
自治会の活動やお祭りなど、住民間のコミュニケーションは活発であり、交友関係は都心と違って広がる可能性があります。
その3:自然の中で生活できる
地方に行くと駅周辺でも山や海が広がる景色が遠望できる光景がよくあり、もっと郊外に行けばさらに豊かな自然の中があります。
たいていは水が美味しく風通しもよく、自然を感じながら生活でき、近くに自然も多いのでハイキングや海遊び、ピクニック等楽しめる環境が身近になります。
その4:補助金などがもらえる
地方の自治体は、地方移住を推進するため、さまざまな誘致活動をしています。移住支援金や起業・就職支援金、家賃補助制度など、さまざまな制度があります。
長野県、福島県、長崎県などは、100万円以上の補助金を出しています。また、他の自治体では、空き家を安く提供することもしています。
これらの補助や支援は、自治体ごとに違いますし、場合によっては申込者が多くて申し込みを停止する場合もありますので、ホームページなどで条件を確認するか、自治体に直接問い合わせてみるのが良いでしょう。
地方移住のデメリット
その1:マイホームの資産性が低い
都心のマンションをマイホームとして購入すれば、同時に将来の値上がり益を狙えるので、資産形成の手段の一つとなりえます。
しかし、今後人口減少が予想される地方は、工場誘致など何かの要因がない限り、住宅の需要も減少するので、不動産が値上がりする可能性は低く、マイホームを資産として考えることは、非常に難しいでしょう。
その2:商業施設や娯楽施設が少ない
都心であれば、スーパー・コンビニや飲食店が至る所にあり、更に、深夜まで営業をしていて、とても便利な生活をおくることができます。
しかし、地方では商業施設は少なく、閉店時間が早いので、とても不便に感じることがあるでしょう。映画館やスポーツ施設なども同様です。
しかし、最近は地方にも大型ショッピングセンターができている他、ネットフリックスやアマゾンプライムなど、外出しなくても娯楽を楽しめる環境が整備され、以前ほど、不便を感じないような世の中にはなって来ています。
その3:自家用車が必要(複数の場合も)
都心部においては、自家用車を持たず、必要な時にカーシェアリングを利用するという人も増えてきています。
しかし、地方では買い物、通学、通勤など、自家用車は必需品です。家族構成によっては、複数の車が必要な場合もあるでしょう。
地方であれば、駐車場代は都心部に比べてはるかに安くはなりますが、車本体以外にも、保険や整備代などは必要になります。
その4:収入の減少
都心に比べると地方は仕事の選択肢は少なくなり、収入はどうしても減少してしまいます。
しかし、最近は在宅ワークが普及し、都心の会社に所属して地方の自宅などで仕事をすることも職種によっては可能になってきました。
更には、地方での起業を後押しする移住者向けの支援制度を設けている自治体もあります。
地方移住で失敗しないためのポイント
ここまで、地方移住のメリットやデメリットを紹介してきましたが、一度移住をしてしまえばそう簡単には後戻りもできません。
では、失敗しないためにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは、地方移住で失敗しないためのポイントを紹介していきます。
綿密な資金計画を建てる
地方に行けば生活費が安いので、生活は何とかなるだろうなどと簡単に考えてはいけません。食料などの日用品や住居費用が安くても、それ以外の部分で費用がかかることもあります。
前述した通り、複数の車を保有することストもかかりますし、格安な費用で地方の古屋に住むことができても、その後、リフォーム費用がかかることもあります。更には、シロアリ・蜂・ハクビシンなどの害虫害獣の駆除費用も都心とは違ってかかってきます。
医療費や学費などは都心と同程度のコストはかかりますし、子供が大学生になって都心の大学に進学することになれば、下宿費用など必要です。
地方では地方なりにかかって来るコストを計算することが大切です。
収入に関しても前述した通り、地方移住で収入減となる可能性があります。若いうちは仕事の選択肢は多いかもしれませんが、高齢になれば、仕事も保証されるわけでもありません。
現地での仕事と収入を確保した上で移住し、更に、将来的なライフプランを描いたうえで、無理のない資金計画で暮らすというのが理想です。
事前の情報収集を怠らない
今はインターネットでいろいろな情報を得ることができます。自然災害などの気候、生活インフラも含めた周辺状況は、最低限必要な情報です。
更には、資金に不安が無い場合でも、補助金などの支援制度は、利用できるものは利用した方が良いので、自治体に直接問い合わせてみるのが良いでしょう。
お試し移住をしてみる
地方移住に関しては、テレビで紹介されていたり、実際の体験談を動画やブログで紹介している人も多くいるので、簡単に情報が得られる時代になりました。
しかし、それらの情報がすべてではありませんし、自分の感覚とは違うずれやギャップがある可能性もあります。
それらのギャップを事前に把握しておくため、もし地方移住をしたいならば、まずは「お試し移住」をしてみることがお勧めです。
「お試し移住」とは、移住を検討している地域に短期間住むことで土地の魅力を体感できる制度のこと。 宿泊場所は、旅館やホテルなどの宿泊施設ではなく、自治体が用意した住居等です。
移住支援の一環として、「お試し移住」を準備している自治体は多くあります。また、旅行会社では「お試し移住」ツアーも取り扱っています。
資金に余裕があれば、現地の住居を借りて当面は今の生活を維持しながら、週末や長い休暇などは地方で過ごして、徐々に生活に新しい生活に馴染んでいくの良いでしょう。
まとめ
2024年5月に東京・大阪のマンション値上がり率が世界一位というニュースが出ましたが、都心部の住宅は値上がりして、なかなか手が出しにくい価格になっています。
地方移住には、いろいろとデメリットもありますが、生活コストの格差から今後も注目を集める流れは変わらないと思います。
ただし、憧れだけで地方に移住してしまうのは大変危険です。失敗して都心に戻って来るようなことが無いようにも、事前の準備はしっかりするようにしましょう!