【税理士による解説】不動産取得税について~基礎知識と軽減措置の解説~

不動産を取得し、都税または県税事務所に申請をしてしばらくすると納税通知書が送られてきます。目安としては、所有権移転登記後約3か月から半年後に支払うのが一般的ですが、各自治体によって支払いのタイミングが異なってくるので、納期は事前に確認しておきましょう。

土地と住宅を取得した場合は、土地と建物で分けられた通知書が送られてきます。ちなみに納税しなければならないのは、不動産を取得した初年度の1回のみです。

不動産取得税の仕組み

不動産取得税は、固定資産税評価額に一定の税率を乗算することにより求められます。

固定資産税評価額とは、土地や建物に対する固定資産税を計算する際に用いられる各市区町村が決定した基準となる価格です。土地の場合は、時価の約70%、建物の場合は50%から60%とされています。

不動産取得税の税率は、原則4%とされていますが、特例措置により2024年の3月31日までは3%となっています。

不動産取得税の計算式

不動産取得税額=取得した不動産の価格(課税標準)×税率

土地と建物の両方を所有している場合は、土地と建物それぞれの計算が必要になります。

不動産取得税の申請の仕方

都税または県税事務所へ不動産の取得を申請

都税または県税事務所へ不動産の取得申請を行う場合、期日までに行う必要があります。一般的には、不動産を取得した日から30日以内から60日以内と設定している市区町村が多く見られます。

窓口で申請を行う場合

土地の申請手続きを行う場合は、地目や地積、建物の場合は床面積や構造を記入する必要があるので、あらかじめ登記書類や建築図面などを用意しておいた方が良いです。

郵送で申請を行う場合

郵送で申請を行う場合、申請書を各市区町村の都税または県税事務所のサイトからダウンロードすることができます。

不動産取得税の納税の仕方

一般的な納税方法としては、都税または県税事務所や郵便局が代表的ですが、それ以外の方法でも納税することができます。

都税または県税事務所及び郵便局

都税または県税事務所や郵便局の窓口へ納税通知書や納付書を持参し納税します。

銀行

銀行の窓口で納税することはできますが、各市区町村の指定する金融機関で納める必要があります。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアで納税する場合、バーコード印字のある納税通知書や納付書が必要になります。

クレジットカード納付や電子マネーでの納付

クレジットカードや電子マネーでの納付が可能な場合もあります。納付をする際は、各市区町村のホームページで確認してみてください。

不動産取得税の軽減措置の要件

軽減措置は、新型コロナウィルスの影響から、適用期限の見直しが行われ、3年間の延長(2024年3月31日まで)が決定されました。

軽減措置の内容としては、たとえば住宅を取得した場合、3%の軽減税率が適用されます。加えて、土地や建物に対してそれぞれの控除の内容と条件があります。

軽減措置の内容

軽減措置の内容は、土地と建物によって変わってきます。また建物のなかでも、新築と中古でも内容が異なってきます。

土地(新築物件が建っている場合)

土地に対しては、下記の2つのいずれかで金額が大きいほうが適用されます。

  • 4万5000円
  • (土地の1m2あたりの価格)×住宅の床面積の2倍×税率3%

新築の建物

固定資産税評価額から1,200万円の控除を受けることができます。

中古の建物

新築した日によって一定の減額を受けることができます。控除額は各自治体によって異なります。

控除を受けるための要件

控除を受けるための要件も、土地や建物によって変わってきます。また建物のなかでも、中古か新築かで要件は異なってきます。

土地

  • 土地に建つ建物が、軽減要件を満たしていること
  • 土地を取得後に住宅を建てる場合は、それが3年以内であること
  • 建物の建築が土地の取得よりも先行する場合、築1年以内にその土地を取得すること

新築の建物

  • 建物の床面積が50m2以上で240m2以内であること
  • 居住を目的とした建物であること

中古の建物

  • 建物の床面積が50m2以上で240m2以内であること
  • 1982年以降の建物であること(それ以前の場合は、新耐震基準や耐震改修などの要件を満たす必要がある)

新築中古ともに、軽減措置を受けることができますが、築年数によって控除額が異なってくるので、築年数の確認が必要です。

また、宅地建物取引業者が中古住宅を取得し、住宅性能の向上を図るための改修工事を行った後に、その住宅を譲渡する場合も、一定の要件を満たすことで不動産取得税を減額することができます。

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