物件を持たずにできる不動産投資!クラウドファンディングなど少額不動産投資の始め方

不動産投資は、資産運用や資産形成を目指す若い世代も注目をしている投資ですが、物件を購入するとなると数百万円から数千万円の投資となるので、投資初心者の方などには、ハードルが高い投資と言えるでしょう。

しかし、最近では不動産を直接保有するのではなくて、小口で不動産に投資できる金融商品が登場しています。

この記事では、少額不動産投資ができる金融商品などの仕組みやサービスなどについて解説して行きます。

現物不動産投資のデメリットとリスク

現物不動産投資は、区分所有マンション(新築・中古)、アパート(新築・中古)などを購入し、その不動産を賃貸することにより家賃収入を得たり、売却することで売却益を狙うことが中心です。少額不動産投資と比較するためにも、まずは、現物不動産の特徴について、主にデメリットとリスクの観点からおさらいして行きましょう。

投資金額が大きい

現物不動産を購入するには、どんなに小規模でも数百万円、通常の都内の中古ワンルームであれば、1,500万円~2,500万円、アパートへの一棟投資であれば、1億円くらいの大きな投資となります。いきなり、手元資金や年収の数倍の投資となってしまいます。

数十万円など100万円以内で、お試しに現物不動産投資をしてみたいと思っても、なかなか難しいのが現状です。

長期投資が基本

現物不動産投資は長期投資が基本です。もちろん短期で売却益を狙うという投資方法もありますが、不動産投資は株式や債券などの金融商品とは違って、取引コストが大きくかかります。

インターネット取引が中心の株式売買は取引コストは年々安くなっていますが、不動産取引は仲介手数料、登録免許税、不動産取得税など、多い場合は売買金額の6%近くの取引コストがかかります。買って売るとなると、往復で倍の取引コストがかかるということです。

また、現物不動産投資は相対取引で、売り手や買い手を探してくる必要があります。買いたいと思ってもすぐには買えませんし、売りたいと思ってもすぐには売れません。取引条件も相手との交渉により決まりますので、こちらの希望条件ではない場合もあります。

このように、現物不動産投資は取引コストもかかり、流動性も低い投資ですので、基本的には長期投資となります。長期投資として、安定的に家賃収入を得るというのが、現物不動産投資の醍醐味です。

従って、比較的短い期間(数か月~数年など)で投資運用したい方にとっては、現物不動産投資は不向きな投資と言えるでしょう。

借金を抱えることになる

現物不動産投資は投資金額が大きいことから、現金で一括購入できるという方は限られてしまいます。多くの方が、金融機関から不動産投資ローンを借り入れ、手元資金と合わせて現物不動産を購入します。

金融機関は投資する不動産の担保評価に加えて、借入人の年収や勤務先などを審査します。審査によっては、希望の金額が借り入れられなかったり、そもそも、ローンが借りられず、投資ができないといったこともあります。もちろん、審査が通れば、10万円などの少ない自己資金で現物不動産投資をスタートさせることができますが、現物不動産投資はローン審査の関係で誰でも始められる投資ではありません。

また、借金であれば当然利息も発生します。投資効率を上げるには、ローンの利率は低い方が良いので、複数の金融機関との交渉も必要です。また、目先の金利が安いことから、変動金利型で調達する方も多いと思いますが、将来の金利上昇リスクにも備えなければなりません。

更に、保有している不動産を売却してローンが残れば自己資金で対応しなければなりません。手元資金が無ければ、時間をかけて残りの借金を収入の中から返済していくことになります。

もちろん、現物不動産への投資は、不動産投資ローンを活用すれば、少ない元手で始められるというメリットがあります。これは、他の投資(株式、FXなど)では、ほぼ不可能です。更に、時間はかかるものの、家賃収入でローンの元金と利息の大部分を支払うことが可能です。老後の資産形成には、現物不動産投資は大変適していると考えられます。

半面、多額の借金を抱えるので、物件の選定には慎重を期す必要があります。

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リスク(空室・滞納・修繕など)

不動産投資には、さまざまなリスクがあります。空室になれば、家賃収入が入らなくなり、ローンの利息と元金の返済を自己資金で対応しなければなりません。これが数か月続けば、一ヶ月分の給与収入が吹き飛んでしまいます。また、賃貸人がいても家賃の滞納が発生したり、給湯器やエアコンなどが突然故障すれば修繕費用もかかります。

当然、想定されるリスクに対しての予防策はあります。空室に対しては家賃保証の契約を利用したり、滞納に備えて、入居者には保証会社を利用してもらうということもできます。

しかし、いろいろな手立てを取ったとしても、現物不動産の投資リスクはゼロではありませんし、想定されない事態が発生することも覚悟しておく必要があります。

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少額で始められる不動産投資商品

間接的にはなりますが、現在は、不動産に少額で投資できる商品のラインナップが増えてきています。ここでは、それぞれの商品の特徴やメリット・デメリットを紹介していきます。

不動産投資信託

REIT(リート)とは「Real Estate Investment Fund」の略称で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれています。「投資信託」という商品を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、投資信託は多くの投資家から資金を募り(投資口を販売し)、集めた資金で債券や株式に投資をしています。REITでは、多くの投資家から集めた資金をもとに、マンション・オフィスビル・商業施設・倉庫・ホテルなどを取得し、そこから得られる賃料収入や取得した資産を売却することにより得た売却収入を投資家へ分配します。つまり、投資家の方にとっては、REITを通じて間接的に不動産のオーナーとなることができます。

REIT自体は1960年代に米国で生まれたもので、日本では2001年9月に東京証券取引所に市場が開設され2銘柄の上場によってREIT市場は始まりました。まだ開設されてから約20年足らずと比較的に歴史の浅い投資商品ですが、現在、日本においては、60銘柄以上の上場REITが上場し、その合計時価総額は約15兆円と大きな市場となっています。REITの制度が始めるまでは、個人投資家が不動産に投資するには現物不動産を購入するか、私募形式の組合出資へ投資するなど、限られた方法しかなくハードルは高いものでしたが、REITの誕生により不動産投資はかなり身近なものになりました。

REITのメリット

REITは証券会社に口座を開設すれば、数万円程度の資金ですぐに投資を始めることができます。居住用不動産、商業用不動産、オフィスビル、倉庫など、さまざまなタイプの種類の不動産に投資するREITがありますので、その中から選択することが可能です。

REITの運用会社は大手企業の関連会社も多く、安定した企業の投資運用のプロに投資を任せられるという安心感があります。

利回りも3~4%のものもあり、預金や債券などに比べると高い利回りを得ることができます。更に、株式などと同様に取引時間中であれば、いつでも売買することができますし、取引コストも安いのが特徴です。

REITのデメリット

取引市場に上場していますので、相場によって値段が動きます。従って、本来持っている不動産の価値より、時価が低くなってしまう場合もあります。価格の安定性を求めている投資家にとっては不向きな商品と言えます。

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不動産小口化商品

不動産小口化商品は、一般的には100万円以上の投資となるものが多いようです。多くの投資家が共同で出資して、プロの管理会社に運用を委託して、不動産を購入し、その運用収益を得ます。

収益だけでなく、所有権も間接的に持つことができることから、相続税対策としても利用されていることがあります。

不動産小口化商品のメリット

不動産小口化商品は100万円を一口として投資するものが多いことから、現物不動産投資に比べれば少ない金額で始めることができます。

また、投資の方式によっては、出資持ち分の相続税評価は、不動産の評価方法と同じになるので、相続の際に評価額を抑える効果があります。

不動産小口化商品のデメリット

基本的には運用期間(長いものであれば10年以上)持ち切ることを前提としています。途中での売却も可能ですが、相手方を探してくることが必要なので、REITに比べれば、各段に流動性は劣ります。

不動産投資クラウドファンディング

不動産投資クラウドファンディングは、インターネット上で多くの投資家から少額ずつ資金を集める手法が主流となっています。2019年から開始された、また新しいサービスで、運用者や投資商品が急ピッチで増えており、不動産投資では今一番熱い商品と言えるでしょう。

特定の不動産(マンションの一室の場合が多いです)を購入し、そのまま転売したり、リノベーションを加えて転売するなど、比較的短期間で分かりやすい投資であるものが多いのが特徴です。

不動産投資クラウドファンディングのメリット

投資単位は1万円のものがほとんどで、本当に少額で投資を始めることができます。また、インターネット上で申し込みを完結できるものもあり、手軽に始めることができます。

期間も3か月から2年程度と比較的短期間で設定されていて、ものによっては年率10%程度のリターンを目指すなど、高収益のものもあります。

不動産投資クラウドファンディングのデメリット

収益が高いものは人気があり、抽選となる場合があります。また、年率10%でも3か月の投資であれば、それほど収益の絶対額は大きくありません。安定的に投資をしたい方には不向きと言えます。

また、投資の流動性も低く、更に、運用者の破綻リスクも気を付ける必要があります。まだ始まったばかりの制度ですので、未整備な部分もあることを頭に入れておく必要があります。

不動産投資クラウドファンディング

不動産投資クラウドファンディングを運営する会社は、大きく分けて二つに分類されます。

一つは、不動産会社、もう一つは不動産投資運用会社です。フルサービスで不動産クラウドファンディングを提供するには資本金が1億円以上必要ですので、運用会社はそれなりの財務的信用力はあります。

不動産会社ですと、GA technologies、ランドネット、SYLAなど新築・中古区分マンションの販売会社が不動産クラウドファンディングを取り扱っています。どれも、短期間での運用ではありますが、利回りは高く、とても良い商品に見えます。

不動産会社にとっては、不動産クラウドファンディングは、あくまでも集客ツールであって、ここで収益を稼ぐことは、あまり重要視していません。不動産クラウドファンディングから入って、次は現物不動産への投資と誘導することが主目的です。いわゆる、不動産投資に興味を持つ方の名簿作りです。

そのため、投資家にとっては大変有利な商品設計になっています。

不動産投資運用を専門とするクラウドファンディングは、投資する不動産のタイプや地域に大きな特徴があります。ただし、運用力や会社としての信用力は、なかなか判断がつきにくいものです。判断ができないものは投資するのは避けるべきでしょう。

ファンドマネージャーからのアドバイス

投資家から資金を集めて運用するというのは、昔からありますが、制度を開始→問題が発生→制度を厳格化→資金が集まりにくくなる→新たな制度を開始 といった流れを取っています。

REIT(不動産投資信託)の開始により、投資家保護のルールがより厳密になりましが、半面、REITを運営する会社にとっては、コンプライアンス強化のための人員・体制整備など、多大な負担がかかります。REITの銘柄も順調には増えていますが、簡単に参入はできないこともあり、不動産投資ニーズの高まりには応えられなくなっていました。

そういった背景もあり、不動産投資クラウドファンディングが始まりましたが、まだ制度的には不十分な点もあります。最近でも、SBIホールディングスの子会社「SBIソーシャルレンディング」が、不適切な業務運営を行っていたとして、業務停止処分を受けました。

不動産投資クラウドファンディングは、プロの投資家は参加しません。プロの投資家が参加すれば、運営方法などに厳しいチェックが入りますが、個人投資家オンリーのクラウドファンディングは、そのようなことは期待できません。

不動産投資クラウドファンディングは手軽に始めることができますが、今の段階では、運営会社を知るきっかけと利用する方が良いしょう。本格的に少額不動産投資を始めたいのであれば、やはり、REITをお勧めします。

まとめ

不動産投資は現物不動産投資への投資で始めると、多額の資金や借り入れが必要となりますが、REITを始め、少額で始める方法はいくつかあります。不動産投資クラウドファンディングも活況にはなってきましたが、流動性や安心感を考えるとREITが一番のお勧めと考えています。

現物不動産投資でもそうですが、投資の前には投資対象となる銘柄をよく調べてから投資をしましょう。

少額不動産投資はあくまで資産運用の手段であり、老後のための資産形成には、現物不動産投資が依然として近道です。少額不動産投資を通じて、不動産投資を学び、現物不動産投資へつ繋げていきましょう。

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