不動産価格とは

1不動産価格の考え方

土地の価格には、実際の売買される価格(実勢価格ともいう)と相続税などの評価に使われる路線価、固定資産税や都市計画税の元になる固定資産税評価額などがあります。また路線価は公的機関がその年の実勢価格を勘案して毎年発表する公示価格の概ね8割となっています。建物は実際の建築する建築価格と固定資産税、相続税などのもとになる固定資産税評価額などがあります。ここでは主に売買される実際の価格をどう見ればよいかを解説します。

1 不動産価格の変動要素

私は近年の実際の不動産価格の変動要素は大きく分けて下記の3つと考えています。

(1)不動産の需給
なんでもそうですが需要が増加すれば買う人が多いので価格は上昇して縮小すれば価格は下がります。日本の場合は、2005年ごろをピークに人口は減少していてこのままの推移を続けると2045年過ぎには1億人を割ってくると考えられています。また都市化が進んで東京などの大都市は人口が増えている場所がありますが地方のほとんどは人口減少しています。人口減少とともに世帯数もなだらかではありますが減少傾向になると予想されています。これは世帯当たりの人数が減って単身世帯や夫婦のみの世帯が増加するためです。人口や世帯数の変化を見ると家の需要は減少すると考えられます。これに対してセカンドハウスを保有する人は増加し、生活レベルの向上から住宅面積が広くなっているのでこの部分では需要は増加すると考えられます。また大都市、特に東京の中心部では再開発が盛んに行われ世帯数の大きなタワーマンションなどが増えていて人口の増加が見込まれています。このような要因から日本全体では住宅の需要が減少しているので需要は減少をしますが一部の大都市では人口流入が起こっていて住宅需要は増えていくと考えられます。住宅の需給だけでみると、一般的には日本全体の住宅価格は下がりやすく、東京の中心部など一部の人口増加地帯では価格は安定から上昇が見込まれます。

 

(出所)総務省のホームページより

(2)市場金利
多くの人は住宅を価格変動は少ない安定資産と考えていますので住宅ローンを借りて購入しますので、金利の高低は住宅購入意欲に直結します。低金利が続く今は引き続き住宅購入が活発と考えます。
例えば住宅ローンを3000万円、固定金利1%、元利均等返済(ずっと同じ額の返済、で最初は金利支払いが多く元本返済が少ないが、後半は金利分が少なくなり元本返済が多くなる)ですと、毎月84,685円の支払いですが、固定金利3%ですと毎月115,455円となり3万円程度増えてしまいます。
では金利は今後どうなるのでしょうか?下記のグラフを見ていただくと過去40年くらい金利は下がり続けていますがすでに年利1%程度まで下がってきていてもっと下がるには難しいと考えられます。欧州などではマイナス金利に
なっている国もありますが、預金比率が高くかつ高齢者の預金比率が高い日本では預金金利がマイナスにする政治判断は大変難しいものと思います。金利が上昇するかというと国債の残高が約1000兆円、今後も増加することを勘案すると市中金利が上がってしまえば国債の利払いも増えてしまうので国としては大幅な市中金利の高騰は避けなければなりませんので、将来的にそう簡単には金利は上昇していくとも想定しづらいと思います。その意味では住宅ローン金利は現状の推移をしばらくは続けていくと考えられます。

(出所)財務省ホームページより

(3)為替変動
第2次大戦後、米国とのドル円相場は1ドル360円に固定されていましたが、1973年に完全に市場に合わせて為替が変動する完全変動相場制に移行されて以来現在まで大きく円高になってきました。
以前は海外との為替相場はそれほど不動産価格に影響を及ぼさなかったのですが近年は外国人による日本の不動産購入が増えていて不動産相場も一定レベルは海外の不動産相場の影響を受けまた円の為替相場にも影響を受けるようになりました。例えば1億円の不動産の購入を考えた場合、1米ドルが100円とすると100万ドルになりますが、120円ですと3万ドルになります。円安になれば同じ1億円の不動産もその分だけ米ドルベースではっ安くなってしまいます。世界中に不動産に投資しているファンドなどは円が安い場合は日本の不動産に魅力を感じることになります。

(4)まとめ
他にも建物の建築費用の上下、固定資産税、相続税などの税制の変更などいろいろなことが価格変動要因になりますが、今はこの3点を見ていくと特に東京や大都市中心部の不動産価格はよくわかる気がします。

 

(2) 不動産価格の推移

①土地価格の推移
では実際に土地の価格はどのように変化してきたかというと、別添グラブをみていただくとお判りの通り、平成3年までは急激に上昇して、バブル崩壊して大幅に下落その後も10年ぐらいは下落を続けましたが、平成13年ごろから
上昇基調に入りリーマンショックで再び下落、ここ数年はアベノミクスの金融緩和などで再度上昇に転じました。
令和に入りコロナショックがありますが、世界的な金融緩和の影響で株式とともに不動産も上昇する方向に向かいそうです。

(出所委)国土交通省、地価公示関係より

②建物の価格
建物が年々老朽化しますので減価償却と言って耐用年数に応じて毎年現下していきます。国税庁では耐用年数は住宅用の木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年となっていますのが実際にはそれ以上の年数が経っても存在する建物が多数あります。
また建築コストも変動しており、令和に入るころはオリンピックの建設需要の増加で建築費は急騰しています。
建物の使用により建築費は大きく変わるので一概には言えませんが、建築費と経年劣化を考慮した減価償却により算出するのが一般的かと思います。
ただしマンションなどは老朽化してもよい建物も多く、例えば昭和終盤から平成初期のバブル期の建物は建物に相当の資金をかけた建物もあり、改装次第では新築以上に素晴らしい外観と室内のマンションにある場合もあり、これからは一概に新しいから古いからいくら?という感覚ではなく建物自体の質感や周辺環境も含めた価格評価をしていく必要があると思います。

2 投資用不動産の価格

(1)投資用不動産の価格の考え方

不動産は株式のように市場があり毎日価格がついているものではなく、あくまで買い手と売り手の相対の取引が基本です。価格については当然いくらかの乖離があります。
投資用不動産は自分が使用する住宅と違い収益を追求するわけですから買値は利回りに直結しますから買値は重要です。

①投資用不動産価格の変動要素
投資用不動産の場合、前述の不動産価格の変動要素である不動産の需給、市場金利、為替変動のほかに、賃料とその経費があります。

A 賃料について
賃料は地域の需給や物価や賃金の動向などが影響して、必ずしも家の数つまり日本全体の需給だけでは決まりません。また、不動産価格の上下変動に比べて変動幅が小さくなっています。
その点では例えば大きな大学の近くやまだ家を買えない若年層が暮らす地域など
貸家の需要が構造的にある安定した地域は投資対象としては良いと考えられます。

B 経費

不動産を所有すると賃料ははいるもののいろいろな経費が掛かります。一戸建て住宅やアパートは管理費、修繕積立金がかかりませんが、集合マンションの場合はかかります。
また固定資産税や修繕費用もかかります。集合マンションの場合は管理費と修繕積立金は
管理組合が決めますが、人件費や修繕コストが高騰した場合などは上昇する場合があります。また、賃貸建物内のエアコン、壁紙、絨毯など劣化が早い資産などの交換費用も物価に影響されます。
他にも毎年徴収される固定資産税も土地の値上がりともに現在は上昇傾向です。

②収益用不動産の価格算出方法
A 収益還元方式
いろいろな計算方法がありますが、わかりやすいのは収益還元法と言われる下記の方法です。

a 賃貸におけるすべての収入(表面利回り)-管理費-修繕費(修繕積立)-税金(固定資産税など)=ネット収益(N OIと呼びます、NOIとはOperation Income)

b ネット収益÷CAP Rate=想定価格
(CAP Rateは収益還元率のことで、需給、市中金利などに大きく影響を受けます。
また、都市など人気の高い場所は人口が減少している場所に比べて、CAP Rateが低くなります)

この方法では収益とCAP Rateから価格をはじきますので、家賃、経費の変動、ローンの借入金利などに連動するのでとても合理的な方法です。

B 取引事例比較方法
周辺の類似した不動産物件の過去の売買事例を抽出して比較して価格をサンテする方法です。この場合実際に売買されている価格が基準になるので実勢に近い価格がわかりますが、近隣に売買事例が無い場合や直近売買事例が無い場合は
実勢がわからない場合が発生します。

C 原価方式(積算方式)
建物などに適する方法で今その建物を建築するとどのくらいのコストがかかるか積算して、築年数が経っている場合は償却耐用年数に応じて減価して価格をはじく方法です。
土地の場合も今その土地を買って造成した場合にいくらになるなどを考えるには
適した方法です。

投資用物件の場合はまずは収益が大切ですから、収益還元方式で収益率、ローン返済を考えて、取引事例方式で周辺の相場との乖離などをみて決めるのが一般的にはわかりやすいと思います。

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