不動産経済研究所は1月25日に2023年の首都圏における新築分譲マンション市場動向を発表しました。昨年の特徴としては、価格は戸当たり、単価ともに記録的な高値で、東京23区は初めて平均で1億円の大台を突破(1億1483万円)したそうです。
マイホームをお探しの方にも、新築は手が出しにくいため、中古を検討されている方も多くいらっしゃると思います。
筆者は、都内の築年が40年近いマンションを一昨年に購入して住んでいます。住んでみて思ったことは古いマンションは新築に比べて劣るところもありますが、良いところも多くありました。
この記事では、実際に築40年のマンションに住んでみた感想と、取得にあたって注意すべきと感じたことなどを紹介していきます。
築40年が新築に比べて劣ると感じたこと
その1:騒音が大きい
近年の建物は防音性が高く、上下階の多少の音も聞こえないようです。それに比べて築40年のマンションは防音性に劣っていると感じます。
住んでみて気になるのは、朝の食卓で上階の椅子が聞こえることです。おそらくは、床がタイル張りなど、騒音が出やすい状態だとは思いますが、やや気になります。
下町長屋に住んでいる感覚で、隣の音が聞こえるという感覚ほどではないですが、自分達も子供が飛び跳ねたりするときなど注意をしています。
その2:郵便受けなどが古い
オートロックは築40年時に全交換されたので、部屋の中からも鮮明な画面で来訪者の画像も見ることができるようになりました。
また、玄関では、カギを差し込むことなく接触タグみたいなもので、オートロックを開けられるようになりました。
交換前は、来訪者の輪郭はわかりましたが、画像は不鮮明で目鼻ははっきり見えず、また、マンションの玄関オートロックの開閉時には、鍵の差し込みが必要でした。
しかし、郵便受けはいまだ古いままです。古い郵便受けは、サイズも小さく、ゆうパックのような大型の郵便を入れると、パンパンになり他のものが入らなくなります。旅行などで2~3日留守をする場合は、あふれたりする可能性があり心配です。
その3:廊下などが古めかしい
近年のタワーマンションなどは、内廊下で照明も考えられており、きれいな絨毯が敷かれ、ホテルのようですが、築40年は外廊下です。通風は良いものの、風雨にさらされるため、壁面やエレベーターなどはやはり古さを感じてしまいます。
築40年が新築に比べて勝ると感じたこと
その1:利便性の良さ
現在住んでいる築40年のマンションは、地下鉄駅徒歩5分、スーパーや商店街も近くにあり、生活には申し分ありません。
このマンションが建設された40年前は、都心でも、これほど多くの建物が無かった時期なので、良い立地で広い場所を確保することができたのでしょう。
その2:余裕のある設計
現在の新築マンションを見ると、建設費を抑え、かつ、限られたスペースを活用するような工夫がなされていますが、どことなく窮屈な感じがしてしまいます。
しかし、40年前は、建設費やスペースにゆとりがあったようで、玄関から廊下、駐車場、居住空間までゆったりと建てられていると感じます。
駐車場は平面平置きですぐに出し入れができる他、建物と建物の間隔もしっかりと取られていて、植栽も多いことから、都心にありながら、緑を感じることができます。
その3:長年住んでいる人も多く住民の顔がわかる
長く住んでいる人がとても多いということが、一番の驚きでした。中には40年前の分譲当時から住んでいる人もいて、自分のマンションに愛着を持って住んでいる人が多いと感じることができます。
一緒に食事するような交流をする人はごく一部に限られますが、顔見知りが多いと外部の侵入者を防げますし、安心感があります。
築古マンションを購入するに際し、特に大切だと感じたこと
その1:管理組合が機能していてしっかりとした管理会社が運営していること
管理組合の役員がマンションに愛着を持って運営してくれているのはとてもありがたいことです。
時折管理組合からお便りがきますが、その内容を見てもよくわかります。マンションは集団生活のような部分も多々ありますから、みんながちゃんとルールを守ってやらなければ、おのずと劣化が早まりマンションも価値も下がってしまいます。
また、管理組合がしっかりとしていても、実際に運営するプロがしっかりとしていないと良い運営ができません。そのためには経験が豊富で組織のしっかりとした管理会社が必要だと感じました。
幸い私が住んでいるマンションは大手財閥系不動産会社の管理会社が運営しており、清掃の職員などもニコニコと挨拶をしてくれるし、他のスタッフもよくやってくれています。
その2:長期修繕計画に基づきちゃんと修繕を続けていること
マンションの価値を保持する上でも定期的な修繕をしっかりとすることが何より大切だと思います。
特に配管など見えない部分は後回しになりがちですが、長期修繕計画を作成していて、そのためにやや高額と思われる修繕積立でも、皆さんが理解を示して支払っています。
昨年、下水配管の取替工事をしていたのですが、配管の一部が私の住んでいるは部屋の隣接スペースにあり、部屋の中から壁に穴を開けて配管の一部を交換しました。
その際に古い配管をみたら管内に錆が付着していて、配管内部が細くなっていました。もちろん穴をあけた壁は塞いで元通りに復元してくれました。
修繕をしっかりやることの大切さを実感しました。
その3:住民がマンションの維持管理に協力的である
住民が自分のマンションに愛着を持つことで、壊れたり汚れたりした場所を見つけたら管理会社に報告をすることも大切だと感じています。
古いマンションはどうしても劣化や破損が起きる確率が高いので、その場合は早めの処置が大切です。管理会社のスタッフの見回りで気づかないような細部のことを住民が協力して報告してあげれば、管理会社も助かるでしょう。
築40年のマンションを購入して良かったと感じた理由3選
その1:落ち着いた生活ができている
以前は、タワマンの高層階に住んでいました。新しい建物なので、気密性が高く、冬場は暖房がすぐに効くし、夏場の冷房も同様に効きやすかったものの、開口部が少なく風の流れが無いので、少し息苦しい気がしました。
築40年の建物は、気密性が高くなく、外廊下ということもあり、玄関のドアから寒さ・暑さが入ってきますが、開口部は多く、風の流れが良いので、幼少のころに住んでいた木造家屋のような懐かしさを感じることができ、生活をしているという感覚が持てます。
タワマンのようにホテルのようなサービスはありませんが、特に生活には支障がありません。
その2:同じ価格の新築マンションよりゆったりとして広い空間が使える
何といっても新築よりは価格がリーズナブルな点が良かったと感じています。
同じ価格で、より広い部屋を購入することができました。今はリフォーム技術も進化していますので、新築に近い内装にすることが可能です。
風呂やキッチンの水回りも取り換え、もともとの柱や配管位置などの制約はありますが、自由に設計変更すれば、自分の意向にあった部屋造りが可能です。
その3:利便性が高い生活ができる
筆者が購入したマンションは、駅から徒歩5分なので、スーパーや商店街、銀行、郵便局、コンビニ等生活インフラが近くにあり、何と言っても便利です。
再開発のマンションで便利な物もありますが、それに比べてもそん色ない気がします。
日常生活をおくるには、おしゃれなお店がいっぱいあるよりは、生活に密着した日常に使う施設が近いのが何より大切だと思います。
今回は実体験を率直に書いてみましたが、皆さんの住居探しの参考になればと思います。