【税理士による解説】固定資産税清算金について ~基礎知識や計算方法を解説~

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固定資産税清算金とは

固定資産税清算金とは、不動産の売買をするときに、不動産にかかるその年の固定資産税や都市計画税を、所有日数に応じて買主が売主へ支払うお金のことです。

売主は買主に物件を引渡す前日までの分の固定資産税を支払い、買主は引渡し日から年末までの分の固定資産税を支払います。

特に買主が売主に支払う分の金額のことは、譲渡日から年末まで期間が過ぎていない分の固定資産税に相当する金額のため、「未経過固定資産税等に相当する額」と呼ばれています。

固定資産税清算金はいつ支払うのか

この固定資産税清算金は、不動産の購入を行ったときに1回だけ売主に支払うものです。一般的な固定資産税や都市計画税のように、毎年納税する必要はありません。

売買契約書に固定資産税清算金の支払いに関する記載がある場合、支払っていないと債務不履行や契約解除につながってしまいます

固定資産税清算金は慣例となっている

固定資産税清算金の支払いは、法律的に規定はありません。しかし、不動産取引の契約において、売買契約書のなかに必ず条項として組み込まれています。

固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日時点での不動産所有者に課されます。そのため、仮に売買取引が2月に成立した場合、売主にとってかなり不公平になってしまいます。

この不公平を解消するために、買主に納税義務はありませんが、売主と買主で日割り計算した後に清算することが慣例となっています

都市計画税(清算金)

都市計画税は、都市計画の区域内に不動産を持っている人に毎年課される地方税で、都市計画区域外の土地や家屋にはかからない税金です。

そのため、不動産の所在地により、固定資産税清算金に、都市計画税が含まれる場合があります。

そもそも固定資産税とは

固定資産税とは、所有している土地や建物などの不動産に毎年かかる税金です。

固定資産には、「土地」「家屋」が含まれ、毎年1月1日にこれらの固定資産を所有している人に固定資産税が課税されます。家やマンションを所有している場合、土地と建物の両方が課税対象となります。

固定資産を所有している限り、固定資産税を支払い続ける義務があります。これは、固有資産を売却し、買主に所有権が移るまではその人の所有物となるためです。

固定資産税の算出の仕方

固定資産税の税額は、「固定資産税評価額×標準税率(1.40%)」で算出できます。

多くの自治体では、1.40%を標準税率として使用しています。しかし、固定資産税は地方税のため、住んでいる地方によっては採用されている税率が異なる場合があります。

固定資産税評価額とは

固定資産税評価額は、都(23区の場合は、各区)や市町村がその不動産を評価して決める価格です。

固定資産税評価額は、市町村の課税課や東京都の場合は都税事務所から届く納税通知書に同封されている「課税明細書」で確認できます。

「課税地積又は課税床面積(m2)」という欄に、金額が記載されており、要件を満たしていると、減額制度や特例が適用される場合があります。

固定資産税の税額は毎年ずっと同じではなく、土地と家屋の評価額は3年ごとに見直されます。

固定資産税清算金はいくら?

固定資産税清算金は起算日から日割り計算されます。

起算日とは、日割りするときに所有期間を計算するうえで基準となる日のことです。毎年1月1日に課税される「都市計画税」も同様の計算がなされます。

関東では1月1日、関西では4月1日に起算日を設定する傾向があり、そのため支払額も変わります。

すなわち関東では起算日を1月1日とした場合、買主への引渡し日までの固定資産税を売主が負担し、その後12月31日までの固定資産税を買主が支払います。

関西では4月1日を起算日とした場合、4月1日から買主への引渡し日までの固定資産税を売主が負担し、その後翌年の3月31日までの固定資産税を買主が支払うこととなります。

売主と固定資産税清算金

固定資産税清算金は税金ではなく、売買代金の一部とみなされるため、譲渡所得の一部として確定申告を行います。そのため、固定資産税清算金は売主の譲渡所得として売買代金に計上され、「消費税」も課税されます。ただ個人間の取引となる場合、「消費税」の課税はありません

買主と固定資産税清算金

固定資産税清算金は売買代金の一部とみなされるので建物に係る「消費税」は課税対象となります。こちらも個人間の取引となる場合は、消費税の課税はありません。

固定資産税清算金の注意点

固定資産税清算金の支払いは、不動産取引を行ううえでの慣例とされているものです。

そのため、支払いの義務はないので、支払いを拒否される場合がたまにあります。万が一売主と買主で清算方法が決定しない場合は、不動産会社に仲介を依頼してみてください。

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