持ち家と賃貸はどちらが得か?

昭和の時代は「家を建てることは男子一生の仕事」は言われていましたが、その神話も今は大きく変化し、家は男子だけでなく女性も共同での仕事になり、建てること(購入すること)だけでなく賃貸で暮らすことも選択肢となってきました。
ここでは生活面と資産形成面の両方から見て家を購入するほうが得か、賃貸で暮らすほうが得か比較してみたいと思います。

1持ち家のメリット、デメリット

持ち家と言ってもマンションや分譲一戸建て、または購入あるいは親の土地に家を建てるなど様々なパターンがあります。

それぞれ細部は違いますが大まかに家を保有するメリット、デメリットを挙げると

(1)持ち家のメリット

①所有により自分の自由に間取り変更やリフォームができる
②賃貸に比べ内装やキッチンなどの設備のグレードが高くかつ広い間取りの家が多い(場所や物件にもよるが)
③住宅ローンの支払が終了すれば完全所有権となり、生活での支払いは管理費、修繕積立金、固定資産税だけになる

何といっても持ち家は建物を自由に使えると言いうことです。間取り変更もリフォームも自由です。また、賃貸用住宅の場合は将来的な修繕費用も考えていますから設備や壁紙などはそれほど高価で質感の高いものを使用していることは少なく一般的には分譲用住宅のほうが質感は上のような気がします。さらに、ローンを完済してしまえば完全に自分の所有権になりますから家賃の支払いもなく老後の家賃支払いが不要になります。ローン支払い後には建物も古くなってはいますが、メンテナンスをしっかりとしたマンションを買えばまだ十分に住むことができます。その意味では家賃を払い続けるよりはかなり得だと思います。

(2)持ち家のデメリット

①簡単に転居が行いにくい
②収入の変動に合わせて住居費を変える、下げるのが難しくなる
③設備などが古くなった時には修繕費がかかる
④固定資産税や都市計画税がかかる
⑤マンションの場合は管理費、修繕積立金、管理費、駐車場代など費用がかかる

このように売却や賃貸も考えられますが、一般的には住居が固定されて引っ越しはしにくくはなります。また、リストラに遭うなど不意に収入が変化した場合などはローンの支払いができなくなるリスクもあるとは思います。他にも保有している限り持ち家の場合は軽減措置もあるものの固定資産税、都市計画税は常に徴収されます。管理費用や修繕費用なども掛かります。メリット、デメリットをよく考えて比較検討すべきかと思います。

2賃貸のメリット、デメリット

続いて賃貸の場合のメリット、デメリットはどのような感じなのでしょうか

(1)賃貸のメリット

①賃貸なので自分の自由に間取り変更やリフォームができない
②いつでも転居ができて、収入に応じて家賃を選びながら生活できる
③固定資産税、投資計画税などがかからない
④建物のメンテナンス費用はふたんしなくてよい

何といっても賃貸は転居がしやすいということです。住んでみて間取りが使いにくかったり、交通や買い物の便が悪かったりすることも事前に調べてはいるものの起こりえます。また突然リストラに遭ったり、転職の都合で収入が下がることもあります。その場合は賃料を下げるために転居もしやすいのが賃貸です。

(2)賃貸のデメリット

①分譲物件(分譲物件を賃貸した場合は除く)に比べ内装やキッチンなどの設備のグレードが低くかつやや狭めんの間取りの家が多い
(場所や物件にもよるが)
②常に家賃を払い続けければならない
③インフレなどで家賃が高騰してしまう可能性がある
④古くなっても内装などを自由に変えられない
⑤2、3年ごとに定期的に更新料がかかり、契約の更新も行わなければならない

このように賃貸のデメリットも多くあります。特にずっと家賃を払い続けなければならないのは老後にも大きな負担となります。また、引っ越してしまえばよいのですが、内装が古くなった場合などに修繕することは自由にできずやや不便なことがあります。賃貸もメリット、デメリットがありますからよく比較して検討したらよいと思います。
また、20-30歳代の方でまだ家族構成が定まらない方々はあまり急いでしまうと子供の成長で手狭になって転居を余儀なくされることも考えられます。持ち家の場合はそのようなことも大切な要素かと思います。

3 持ち家、賃貸の損得の判断基準

持ち家と賃貸、どちらが得かはその時代、また物件の置かれた条件によって大きく変わると思います。もし、昭和60年前後のバブル時代のような将来的にインフレ傾向があり不動産が右肩上がりの時代には不動産は上がり、賃料も不動産上昇ほどではなくても上昇しますが、平成6~10年前後のデフレ傾向の時代には不動産価格は下がり家賃も値下がり傾向でした。前者の時代には不動産を保有しているほうが短期的にはお得で不動産価格の上昇で含み益が大きく増え保有していたほうが得でしたが、後者の時代には不動産の下落で保有していることで資産が減少していきますので賃貸のほうが得でした。
また、物件については場所によって大きく左右します。例えば人口が徐々にではあるけれども増加している都心物件と人口が大幅に減少している地方郊外物件では大きな差があります。一概には言えませんが需要が多く、利便性の良い場所のほうが値上がりする傾向がありますので好立地の場所の場合は保有した方が得なようで、魅力のない立地の場合は賃貸で継続使用した方が得かもしれません。

4持ち家を考える場合のポイントは?

持ち家にする場合は人それぞれに置かれている状態とその時の環境により大きく左右しますが、考えておくべきポイントを列記しておきます。

 (1)日本経済がこれからインフレになるかデフレになるか?

 (2)購入物件の立地
①今後の周辺人口の増減はどのように予想されているか
②水害などの影響がなく地盤が強固で地震にも耐えられるか(ハザードマップ参照)

 (3)購入物件の建物
①耐震基準を満たし(新耐震基準が望ましい)、かつマンションの場合はしっかりとした建設業者またはデベロッパーで建てられてい
るか
②建物をしっかりとメンテナンスをしているか
③マンションの場合、長期修繕計画に対応できるように修繕積立金をしっかりと積み立てているか。

 (4)金融
日本の金融環境が緩和状態を維持して低金利が継続する見込みがあるか。また、先行きの金利が上昇すると見込まれている場合に
金利固定型のローン

5持ち家に向く人、賃貸に向く人

持ち家か賃貸かはそれぞれの方の特性も影響します。現在だけではなく将来も考えて特性をとらえてより良い暮らし方を選択すべきだと思います。下記に持ち家、賃貸に向いていると思われる環境を挙げてみました。

(1)持ち家に向いている環境とは

①家族が多く部屋数が必要な人

②収入が安定していて毎月のローン支払いが確実にできる人

③転勤の可能性が低く、転居せずに購入した家に住んでいられる人

(2)賃貸に向いている環境とは

①転勤の可能性が高く1つのことろに住んでいることが難しい人

②転職が多く収入が安定していない人

③子供がいないなど家族に資産を相続することがない人

④親の家を相続する予定があり、老後生活する家が確保できている人

6今は持ち家をする環境か否か?

コロナ禍が1年以上続いていますが、株式市場はバブル崩壊以後初めて日経平均が3万円を付け、不動産価格もオフィスビルの空室率増加や店舗向け商業地などは需要の大幅減少で下落する場面も見られますが、巣籠り需要がプラスに働き住宅市場は活発で動き価格も上向きの傾向です。価格が高止まりなので今は購入するタイミングであるかは疑問を持っている方も多いと思います。個人はコロナ禍によるの1人10万円の特別定額給付金、雇用助成金などの支援による財政の拡大、日銀の金融緩和継続などで社会への資金供給量が増加しました。また巣籠り状態が続き旅行や外食などに資金が振り向けられず、巣篭り消費が増加したものの家庭の貯蓄は増加しています。今後、ワクチンの普及、治療薬開発などのよりコロナ禍を克服できる道筋も見えてきており、その場合の経済活動は元に戻るどころか巣篭りの反動から特需が発生してややバブルの状態になる可能性があります。しかし、今の日本では人口減少による需要減少と生産効率などの改善による商品価格の低下が足を引っ張り物価の上昇は起こりにくいと思います。また、多額の国債発行残高の金利を上げたくないという当局の思惑も働き、おそらくは急激なインフレーションによる金利上昇はしばらくは起こらない可能性が高いと私自身は考えています。
その場合、海外からの日本への不動産投資もあり、住宅人気のある場所の住宅価格は大きく上がらずとも大きく下がる可能性は低いと思います。
この低金利が続き、かつ住宅購入促進のために住宅控除(減税)措置で金利分は所得税から減税されて当初10年間の金利は実質的に0円の状態が続くようであれば、家賃を払い続ける賃貸よりは住宅をローンを活用して保有することで毎月のローン支払いの大半が金利支払いではなく元金返済に充当されます。その状態であれば建物の減価償却を補っても十分に不動産として資産が残ると思います。
そう考えればやや価格は高いのですが、優良な中古物件などを探して購入することは資産形成の一助となると私自身は考えています。

7まとめ

このように今は資産形成を考えて住宅購入が悪くないタイミングではないかと考えてはいます。住宅ローンが年利1%以下(変動金利)の状態が続くようではローンの支払いの大半が
元金返済に充てられます。とりあえずローンを完済すれば完全所有権になります。購入の場合その間の管理費や修繕積立金の支払いありますが、賃貸でも更新料が2,3年ごとに発生しますので多少のコストが発生します。よい立地でしっかりした建物を選べば35年後に購入時より下がったとしてもある程度の価値があるとは思いますので現在の環境では住宅購入を考えておくのもよいと思います。
ただし、上記5に記載したように個人個人の環境によって購入が不可能や不向きの方もいらっしゃると思いますので、自分の環境に当てはめて適切な判断をしてください。

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