【事例研究③】神奈川県藤沢市で賃貸中ファミリータイプマンションを購入した体験を自ら話します

区分所有のマンションへの投資となると、投資金額の規模から、どうしても都心部のワンルームマンションが通常のパターンとなります。

しかし、郊外のファミリータイプマンションにも意外に面白い物件があります。ここでは、郊外のファミリータイプマンションについて、どう考えるかを実際の投資を通して解説して行きます。

郊外のファミリータイプマンション投資のメリットとデメリット

都心部ではワンルームマンションが良く見られますが、郊外のマンションは、ファミリータイプ(2LDK、3LDKなど)が主流となります。

郊外でもワンルームマンションはありますが、賃貸需要という面では、安定しない地域も多く、中古物件の売買価格を見ても数百万円以下のものも少なくありません。

ファミリータイプマンションは、ワンルームマンションとは入居者の層など、いろいろな点が異なりますので、メリット・デメリットを挙げることで違いを解説して行きます。

①郊外のファミリータイプマンション投資のメリット

入居者の入れ替わりが少ない

郊外ファミリータイプマンションは、2LDKや3LDKなどのファミリー向けであり、これを賃借する層は、ほとんどがファミリー層です。ファミリー層とワンルーム居住者で一番の違いは、ファミリー層は長期間賃貸する方が多く、入居者の入れ替わりが少ないため、安定した入居状態がキープできるということです。

ワンルームですと、学生や若い会社員が中心となりますので、卒業や転勤などのライフイベント引っ越してしまうことがあるため、入居者の入れ替わりが起こりやすい傾向にあります。

ファミリー層は、自分の通勤や子供たちの通学などを考慮し、そこの場所を選んでいます。更に、家財道具も独身者よりは多く、引っ越しもより大変になるので、なるべく引っ越しは避けたいと考える傾向にあります。

入居者が管理に協力的

ファミリー層の方は、家の中をちゃんと掃除したり、共用部をそれなりにきれいに使う傾向があるので、管理もしやすいというメリットがあります。

投資金額も大きくなく、利回りも高め

郊外のファミリータイプであれば、2LDKや3LDKであっても、中古物件であれば2,000万円以内で購入することも可能ですし、グロス利回りも5%以上を狙うことができます。

②郊外の区分所有マンション投資のデメリット

入居者の入れ替わりが少ないことはデメリットにもなり得る

入居者が長く居住する可能性があることは、デメリットになる場合もあります。賃貸中の物件に投資して、居住者が退去後にリノベーションなどして家賃を上げたり、または、売却して売却益を狙うような投資もありますが、入居者がずっといれば、そのようなことはできません。

改修・補修コストがかかる

ワンルームマンションに比べて専有面積が広いので、壁紙や床などの補修コストが高くなることがあります。部屋が増えればエアコンの台数も多くなりますし、家族が住むことを考えれば、給湯器のサイズも大きくなります。半面、家賃自体は、都心の広めのワンルームマンションとあまり変わらない水準です。

空室が発生した場合、時期によっては募集に苦労することもある

空室が発生した場合、転勤や引っ越しシーズンである1~3月でないと、次の入居者を募集するのに時間がかかってしまうこともデメリットの一つです。ファミリー層は、転勤や入学などをきっかけに引っ越しする場合が多いので、この時期に集中しがちです。

近隣に新築マンションが供給される可能性がある

郊外であれば、マンション開発用地が見つけやすいので、もっと立地の良い場所に新築マンションが建設され、そちらに入居者を取られてしまうこともあります。

都心部であれば中古であっても家賃は下がりにくいものの、郊外型の物件は築年数が古くなるとどうしても家賃は下がって行ってしまう傾向にあります。

投資対象物件の分析と投資決定の考え方

以下の物件に投資をしました。

  • 場所    神奈川県藤沢市
  • 最寄り駅  JR藤沢駅徒歩約17分(バス便あり)
  • 面積    約60㎡(3LDK)
  • 築年数   約25年
  • 利回り   グロス約8%

①収益性(価格)

築年数が約25年経過していたことから、購入価格に対するグロスの家賃収益は高いものの、管理費・修繕積立金が今後上昇することを考慮する必要がありました。

築年数が古くなれば、マンション共用部分(エレベーター、外壁、屋上、廊下など)の修繕や改修費用がどんどん必要になってきます。もちろん、事前の計画により、修繕積立金が積んであるはずですが、建築資材や労務費の値上がりにより、事前の計画分では足りないことが判明し、築年数が経過したマンションを中心に、管理費・修繕積立金を値上げしているマンションが多く見られます。

従って、管理費・修繕積立金に加え、固定資産税を差し引いた状態でのネット利回りは、年率5%程度は欲しいと考えました。都心の築浅の中古ワンルームマンションであれば、同じ方式で計算したネット利回りは平均で3.5%程度ですので、それに比べると高い設定となります。

郊外のファミリータイプはワンルームと違って購入価格に対する建物比率が高く(地価が安いため)、建物の減価償却費率が高くなるので、会計上の利益はその分少なくなります。今回は、キャッシュフローだけでなく、会計上の利回りも考慮して、利回り基準はやや高めにおいて、価格交渉をしました。

今回は仲介業者を通じて、売主と価格交渉をしましたが、郊外の物件は比較的選択肢が多いので、こちらの希望価格を伝え、それ以上の金額は受け付けない方針で臨みました。

②建物

中古物件で一番重視すべき点は何でしょうか?それは、災害リスクを避けるということです。

まずは地震リスクですが、賃貸でも自分で居住するのでも、しっかりとした耐震構造の建物であるべきなので、新耐震構造の建物もしくは耐震補強を施してない物件は購入できません。

新耐震構造の建物は、1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準の建物です。技術的に、地震力が加えられた場合の構造部材に生じる応力が許容応力以下であるだけでなく、一定以上の規模の建物については、靱性(粘り強さ)を確保することが求められ、かつ建物強度のバランスも必要で震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されています。

また、マンションはその分譲主がどこであるか、施工業者がどの建築会社であるかも重要なポイントです。建築後10年以上経ていれば保証期間も終了しますが、大手デベロッパーやゼネコンであれば、何かあったときのために、その設計図面やその他資料をきちんと保管しているなど、自社ブランドを維持するために適切な対応を取ってくれています。

更に、最近は水害リスクを考えなければいけません。インターネット上でハザードマップを見ることができますので、海や川に近い地域であれば、洪水ハザードマップで水害が及ばない地域であることを確認する必要があります。

今回投資した物件は、新耐震基準で準大手商社がデベロッパーとなった物件であり、ハザードマップ上でも問題ない地域でしたので、投資に適している判断しました。

③建物の管理状態

建物が古くなればなるほど、管理状態で物件に差が出てきます。建物の状態のチェックは、なかなか、わかりにくいとは思いますが、まずは目視で壁面などの劣化が無いか、掃除が行き届いているかは現地で見るのが良いでしょう。

次に、共用部分の修繕履歴を見て、経年の中で必要な補修をしているかを見てください。例えば12~15年前後に行われる、第一次大規模修繕をきちんと行っているかなどです。

他にも30年以上経た場合は、排水給水管の補修または交換、エレベーターの基幹部分の補修など躯体に近い部分のメンテナンスが行っているかも重要です。しっかりとメンテナンスがされている物件は美しさだけではなく、建物の耐久性が上がり物件の価値が保たれます。

今回の物件もまずはグーグルマップのストーリービューで状況を確認しました。その後、現地を見に行き、更に、仲介業者を通じて共用部分の修繕履歴に関する資料を取り寄せて、問題が無いかを確認しています。

④立地

都心であれば郊外であれば、空室リスクを避けるためには立地は需要です。郊外型マンションの場合、駅から徒歩圏の物件で、かつバス便があると賃貸人気が高くなります。

また、周辺の環境も当然大切です。子供がいる世帯向けに、近くに公園や学校があるか、などもチェックポイントです。他にも、生活利便性が高いことが必要なので、スーパーマーケット、クリーニング店、ホームセンターなどが近隣にあると安心です。

今回の物件も、自転車か自動車での移動にはなりますが、スーパーやホームセンターが近隣にあることを確認しています。そもそも、今回の物件は、居住環境が良いことから、すぐ近くに、大手デベロッパーの分譲マンションが供給されていることも、安心材料となりました。

また、筆者はこの地域に居住していたこともあり、土地勘もありました。郊外の物件は、なかなか現地の状況を把握するのが難しいので、全く知らない土地というのは避ける方が良いと思います。

⑤間取りと方角

ワンルームマンションであれば、間取りは1Kか1DKと選択の余地は多くありません。また、方角に関しても、南向きでも北向きでも、あまり賃貸人気に影響がありません。ワンルームマンションに居住するような、若い世代は、昼に部屋で過ごす時間が長くありませんので、日当たりよりも、防犯性や設備の充実度を重視する傾向にあります。

半面、郊外型賃貸マンションは、ファミリー層が居住しますので、間取りや方角が賃貸人気に大きく影響します。最近は在宅ワークも広がって、ワークスペースも必要になるなど、部屋数は多い方が好ましいでしょう。その点では1LDKよりは2LDK、2LDKよりは3LDKのほうが賃貸需要は高いと思われます。

他にも部屋の向き、収納なども大切です。南向きで採光が良く、通気性が高い間取りが好まれます。

今回の物件は約60㎡ながら3LDKで南向きであったことから、間取りや方角に関して問題なしと判断しました。

⑥入居者の内容

最後に入居者の内容です。延滞などが発生しないか、家族構成が変わってすぐに引っ越す可能性があるのかなどをチェックします。

延滞リスクに関しては、入居者の勤務先・勤続年数・年収やこれまでの延滞の有無などを確認する必要がありますが、多少の問題があったとしても、数か月家賃を延滞したり、契約書の条項に違反していない限りは、今居住している入居者に出て行ってもらうことはできません。

保証会社が付いていたり、また、大手法人契約であると安心です。

今回の物件の入居者の方は、大手損保の子会社の法人契約で、更に、入居開始から15年以上が経過しているので、延滞や退去リスクは非常に低いものと判断しました。

ファンドマネージャーから見た郊外型ファミリーマンションへの投資について

ここまで解説してきましたように、神奈川県藤沢市に賃貸中のファミリータイプのマンションを購入しました。

居住用不動産への投資という観点からは、郊外・ファミリータイプといういことで、少し王道から外れたようには見えますが、実は安定した投資と感じています。

入居者が15年以上居住しているというのは、住環境やマンションの建物自体が問題ないという証拠でしょう。さらに、社宅として大手法人との賃貸借契約を締結していることで、賃料延滞などの心配もなく、利回りもワンルームマンションに比べて年率1%以上高いのでキャシュフローはとても良い状態でした。

築20年以上経ていますが、その分だけ建物の減価償却は進み、物件価格は手ごろになっていました。周辺相場を調べると、ここから10年経ったとしても一定の価格で売買されているので、遠い将来、賃借人が退去した場合は、空室でそのまま売却するかリノベーションして売却するにても、今回の購入価格を上回り、投資元本の回収は可能と考えられ、所有期間中は高いキャッシュフローを享受でることになります。

ここ数年、都心のワンルームマンションの価格は高止まりしています。一方で、コロナ禍で在宅ワークが進んだことから、居宅は職場に近いことが大切だった時代から、家で仕事をするようになり、一定のスペースと環境を自宅に求めるような時代にもなってきました。

2021年の路線価価格が発表されましたが、茨城県守谷市の地価が上がったとありましたが、確実に一部の若年層は郊外に居を移す傾向があります。

郊外へ移住する場合、自宅購入も一つの手段ですが、コロナ禍が終了して元の生活に戻った時に、都心に戻りたくなるかもしれないということも考えれば、しばらく郊外のファミリ―タイプの賃貸マンションに住むことも1つの選択肢になると思います。

投資する立場としては、郊外のファミリ―マンションの賃貸市場は、自宅購入層とバッティングするものの、場所を選べば、安定しているところもありますので、その点では2件目、3件目の物件として、投資キャッシュフローを上げるためにも、面白い投資と考えます。

まとめ

今回は郊外型ファミリータイプマンションへの投資を紹介しましたが、物件の選び方などは、都心のワンルームマンションを購入するのとそれほど変わりはなかったと思います。郊外型ファミリータイプの特徴を捉えれば、それほど難しいものではありません。

郊外型ファミリータイプマンションは、投資金額も2,000万円以内で収まるものも多く、利回りも都心のワンルームマンションに比べて高いものもあります。金融機関によるローン評価によっては、効率の良い投資となる可能性があります。

都心の物件ですと、どうしても毎月の収支が厳しくなりますので、2件目以降でキャッシュフローを重視して、このような物件に投資することもありだと思います。

ただし、郊外型は立地の判断が難しいので、全く知らない土地は避ける方がよいでしょう。

 

 

 

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