資産運用はどの投資商品で運用したら良いか?投資商品別の利回りで比較解説して行きます。

資産運用を始めるにあたり、どの商品に投資をするかの判断は、まず「利回り」が基準となるでしょう。

預金や配当金は利回りの計算がしやすいですが、株式などの投資商品は、キャピタルゲイン(値上がり益)が利益の中心となる商品ですので、利回りの計算が複雑になってくることか、1年ごとに締めてみて、実現益(実現損)に含み益(含み損)を合計して、いくら収益があったかを計算し、利回りを出すことができます。

では、どの程度の目標投資利回りが良いかですが、やはり投資の目標値によって違ってきます。まずは運用目標をどこにおいて、どの程度のリスクをとっていくのかを考えることがスタートになります。

資産運用の目標設定はどこに置くのか?

投資をする際に、投資資金をどの程度まで増やしたいのかは人によって違ってきます。

例えば65歳で仕事を引退し、手元に残った資金を安定運用して年金のように使いたい方と、30歳で今後収入の増加が見込まれる中、老後の資産形成のために、長期的にリスクを取って行くことが可能な方では、当然目標利回りの設定の仕方が変わってきます。

(1)20歳~30歳代の若年層で長期運用が可能な方

この年代層で、当面、大きな資金使途が見込まれていなく、20年以上の長期に渡って、資産運用が可能な方は、当初の利回りについてはあまり気にせずに、長期投資を前提に株式投資を中心とする、リスクの高い商品を中心に、資産配分をすることが可能です。

株式相場は、景気の動向や金融動向により大きく変動しますが、長期的にみると好景気、不景気に左右されながらも、株価は右上がりに上昇する傾向が過去に見られています。また、企業利益は配当や納税を除いた分は会社に蓄積され、その資金が事業に再投資されることで、企業は業績をさらに伸ばす努力をしますから、当然に将来の利益も上がっていく可能性があります。

利益が上がれば、それを基準に株価も上昇する可能性が高いので、株という資産の成長性も同じく高いものと考えられます。

その場合、長期的には従来の株式の上昇率を見て目標を想定すると年間6~8%の成長を目標にしても良いかと考えます。もちろん当初からこの数値に到達することは無く、長期的に平均した結果の数値です。正しく実績を検証して、目標を出したい場合は、日経平均やニューヨークダウ平均などの過去の平均上昇率を参考にするのが良いでしょう。

(2)60歳以降でキャッシュフローを生活費の一部に充当したい方

一線の仕事を終えて、それまでの預貯金や退職金などを運用して老後の生活資金の一部に充当したい場合は若年層とは運用方法が異なってきます。

投資のリスクを一定レベルに抑えながら、キャッシュフローを作っていくことが大切です。一般的には株式投資の割合を一定レベルに抑えて、債券や不動産などへの投資でキャッシュフローを作るのが良いでしょう。

近年は低金利が続いていていることから、日本円ベースでは債券はほとんど金利を生まないため、円ベースの投資は不動産やREIT (不動産投資信託)を利用するか、もしくは米国ドルなどの先進国通貨を利用して運用するのが一般的です。特にドルベースでの運用商品は最も多彩でいろいろな商品があります。

この場合の投資利回りの目標は年利ベースで3~5%ぐらいが妥当かと思います。

資産運用の具体的な運用商品について

資産運用の投資商品は、主に株式、不動産、債券か投資信託が中心になるでしょう。投資信託はETFという上場投資信託も含めて、分散投資に大変効果があるため使いやすい商品と言えます。

(1)株式投資と利回りの水準

株式市場は投資商品が最も多く、時価総額も一番大きい市場です。大きく分けて個別の企業に投資する方法とETF(上場投資信託)や投資信託などを利用して幅広く分散投資をする方法があります。

また、配当としての利回りはそれほど高くなく、配当と株価の上昇によるキャピタルゲインを狙う方法の両方を組合せて、運用益を見ていくのが良いでしょう。平均的な配当は、日本市場や米国市場では1~2%/年ですが、高配当株では3~5%/年の株もあります。

好景気、不景気の波と企業の成長性の違いがありますが、平均的な優良企業は、毎年の利益を蓄積することで、長期的には株価の上昇が見込める傾向があります。それゆえ、ETF(上場投資信託)や投資信託の日経トピックスや米国のS&P500銘柄に連動する商品は、株式市場全体の成長に比例して上昇し、投資の中心になっています。

この場合のキャピタルゲインは年間5~8%ぐらいが目標としての標準的な指標かと思われます。また、個別株においては、各社の成長性や利益の違いなどにより大きく株価が上下することから、リスクは大きいものの、銘柄によっては株価が数倍に上昇するなど、大きくキャピタルゲインを獲得できる株も存在します。

(2)不動産投資

日本の個人投資家は、これまで株式投資をあまり好まず、投資対象と言えば、預金、保険や不動産投資が中心でした。これは過去において株価変動の大きさ、証券会社の営業方法など問題も多かったことが理由と考えられます。

しかし、近年はネット証券の台頭などで、株式の売買手数料が安くなったり、Webで取引が全て完結する簡単さから、若年層が預金(貯蓄)の代わりに、投資に資金を振り向けるようになり、状況が変わりつつあります。しかし、不動産投資は未だ根強い人気があります。

日本の高齢化、人口の減少は著しく、2040年ごろには日本の総人口は1億人を切って、現状から約20%減少すると予想されています。それに伴い、不動産需要全体も減少し、不動産価格も徐々にではありますが、下落していく可能性があります。

ただし、個別の地域で見ると、東京をはじめとした大都市の人口は減少せずに、現状を保つかむしろ増加すると予想され、一概にすべての地域が人口減による価格下落の影響を受けるわけではないと考えられています。

世界的にもニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの世界的な都市の不動産価格は安定して上昇してきました。今回のコロナ禍で地方への移住、在宅ワークの加速でオフィス需要の減少などがありますが、それでも目立った不動産価格の下落は今のところないようです。

これは世界的な金融緩和による低金利と潤沢な資金供給により、利回り商品としての不動産への資金流入が大きくなったことが要因と考えられます。

日本においては、不動産投資はそれほど高い利回りと高いキャピタルゲインは期待できません。しかし、安定した利回り商品として、これからも根強い人気があると考えられます。

日本の不動産投資の中でも、最も安定していると思われる、都心近郊の住宅投資では年利4~5%(管理費などの経費を控除せず、グロス利回りとして)で、管理費や修繕積立金などを差し引いた利回りとしては年利3%内外といったレンジが指標になるでしょう。

(3)国債や社債などの利回り

国債の利回りは、中央銀行が決める金融政策や資金需要の動向などで変化します。例えば中央銀行が景気刺激策を目的に、金融緩和として利下げを行えば、日本の市中金利は下がり国債の表面金利も下がります。

例えば同じ年限(期間)の新規の国債が0.5%で発行されて、6か月前に発行した国債が1%とすると、投資家から見ると後者の既発国債を購入した方が有利なので、その価格は上昇します。

社債についても同様に価格は変動します。社債は各企業が独自に発行するものですから、各社の信用度や市場での今後の人気などにも大きく左右されます。

近年は世界的にコロナ禍への対策として金融緩和を実施して景気の下支えをしていますから、国債や社債の金利は全体的に低下していて価格は高止まりしています。

日本国債は長期間の日本銀行の低金利政策の影響を受け、非常に低い金利となっています。現在の金利水準は日本国債10年物は0~0.1%ぐらいです。因みに米国国債10年物は1.5~1.7%内外となっています。

社債も個別の要因はあるものの低金利が維持されています。

債券の運用方法としては、債券価格の安い時に購入して、債券価格が上昇した時に売却し、キャピタルゲインを得る方法もありますが、大半の一般個人投資家は長期保有で金利を得ることを目的としています。

ただし、現在は、世界的に低金利な状況ですので、債券投資を主力の運用商品することで収益を上げるのは難しい環境と言えます。

ファンドマネージャーからのアドバイス

現状の低金利の環境下ににおいては、配当や利息だけで資産運用の利回り収益を稼ぐことは、難しい状況になっています。これは、コロナ禍による経済ダメージから抜け出すために、先進国が挙って財政出動を行い、世界的な金融緩和政策をとっていることが影響しています。

このような環境下では、株の配当は比較的高く感じられることもあり、株や資源に投資資金が集中しやすくなっています。

資産運用においては、インフレーションをヘッジすることも考慮にいれて、配当や利息だけでなく、値上がり益(キャピタルゲイン)も享受できるような作戦で運用しておくのが良い作戦かと思います。

最も効率的なリスクリターンを考えると、配当や利息で年利1~3%程度を得ながら、キャピタルゲインを加味して、投資全体の利回りが3~6%程度となるような目標設定というのが無理の無い資産運用と言えるでしょう。

まとめ

1.資産運用を開始するにあたっては、「利回り」を意識して投資商品を選ぶようにしましょう。利回りはキャッシュフローとキャピタルゲインを総計して計算します。

2.資産運用の利回り目標の設定の仕方は、年齢によって異なります。若年層であれば、キャピタルゲイン重視、老年世代ではキャッシュフロー重視の投資配分となります。

3.株式、不動産、債券とそれぞれ利回りが違いますので、各投資商品の特徴とリスク・リターンを掴んで、投資するようにしましょう。

 

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