【事例研究②】練馬区に投資用マンションを購入したAさんに聞いてみました

背景

いわゆる海外富裕層であるAさんは、日本に在住して10年ぐらい経ち、日本の不動産投資に興味を持ち、マンション、駅近、上階ということで、投資用のマンションを探し始めました。SUUMOなどの不動産サイトで物件を探し、気になる物件が出てきたら、問い合わせをして、実際に現地を見たりしながら物件を探していましたが、良いと思った物件は、ネットに出て数日内に他の買い手がついてしまい、なかなか良い物件に巡り合うことができませんでした。

不動産探しをしていて気づいたこと

不動産を探している中で分かったことは、不動産会社はネットに掲載する準備期間(写真撮影や物件の調査など)に、手持ちの顧客にヒアリングをかけているようで、良い物件は、その段階で買い手が決まっているようでした。特に大手不動産会社は、自分の支店内で売り手と買い手を見つけたいという傾向にあるようでした。

従って、自分が欲しいと思う地域の大手不動産会社の支店に事前にアプローチして、条件を伝えておけば、ネットに出る前の情報をもらうことができます。

そんなこんなで、某大手不動産会社から、早速、物件の紹介が来ました。退去したばかりの物件とのことでした。駅近の閑静な住宅街にある物件です。高級そうなマンションでしたが。。。。まるで、夜逃げ状態でした。。。。(下の写真は、実際の部屋の写真です)

あまりにも汚過ぎました、価格もそれほど安くなく、内装クリーニング費用を考えると採算に合わないので見送りです。

売りに出す物件を準備中の段階で見られるという貴重な体験でした。

仲介手数料無料(もしくは半額)の仲介会社

Aさんは、仲介手数料無料(もしくは半額)と広告を出している不動産仲介会社にも物件登録をしていて、気に入った物件があったので、早速、見に行きました。この物件はネットにも出ていて、数日前に値段を下げたことから、一気に問い合わせが増えたようです。こちらは、外からだけ確認して、良さそうな感じでしたので、その場で、申し込みを入れることにしました。

仲介会社の方は、申込書をすぐに近くのコンビニで、元付と呼ばれる不動産仲介会社にFaxで送ってくれました。不動産の売主の方は、まず、一つの仲介会社と契約を結びます。この業者は元付と呼ばれます。元付は、ネットに情報を出し、他の仲介会社も参加して、買い手を探すことになります。他の仲介会社もネットに情報を出すので、一つの物件でも複数の仲介会社がネットに情報を出していることがあります。物件情報を一番詳細に記載しているものが、元付である可能性が高いです。

元付は売主と直接結びついているので、売主の意向を一番理解していますし、売主の判断に多く影響を与えることができます。

不動産の売買は、通常、一番最初に手を挙げた人が購入の権利を得ます。Aさんが物件を見る段階で、他の人が手を挙げていないことは確認できており、Faxを入れた段階でAさんに優先交渉権が発生すると思ってました。

しかし、元付さんからの回答は、実は申込書自体は入れていなかったが、既に検討されている方が自社の顧客にいて、そちらに売却することになり、売主さんもOKしたとのことでした。

一番最初に手を挙げたのはAさんの筈です。ではなぜ、元付の顧客に決まったのでしょうか?

答えは簡単です。確かに元付には、お客様はいました。しかし、最後の踏ん切りがつかなったところ、Aさんから申し込みが入ったことを元付から聞いて、手を挙げたものと類推されます。元付にしてみれば、売り手と買い手から手数を得ることができますので、できれば、自分のところで完結したかったのでしょう。とは言え、非常にグレーなやり方です。

一方、踏み台にされてしまったAさんは、怒り心頭です。仲介手数料無料の業者に、元付に交渉するように強く要請しますが、大手不動産会社である元付とは喧嘩したくないようで、逆に、諦めるように諭されてしまいました。

確かに、仲介手数料無料の仲介会社は、経済的なメリットはあります。しかし、売り手に最も近い元付業者と交渉しない限り、良い物件は買えないとAさんは、悟りました。

そしてようやく物件を購入しました

引き続き、ネットで物件を探していたAさん、また、気に入った物件が出てきました。この物件は、3か月くらい前から情報が出ていて気にはなっていましたが、価格が合いませんでした。しかし、前日、値段が大きく下がり、Aさんの目線に合うものとなりました。

大手不動産会社の取り扱いで、問い合わせをしたところ、元付と聞いて安心しました。では、早速交渉開始です。

物件を見に行ったAさん、ほぼ気に入りましたが、いざとなる決断が鈍ります。しかし、仲介会社の担当者はぐいぐい押してきます。担当者の熱意に負けて、購入を決心したAさんですが、ちゃっかり、値引き交渉をしていました。

仲介会社が売主と交渉した結果、値引きも応じてもらえて、ようやく購入が決まりました。後で聞いた話ですが、値引き分は仲介会社が仲介手数料を値引いて対応したようです。元付の仲介会社は、売り手と買い手から仲介手数料を得られるので、最大で売買価格の約6%の手数料を得ることができます。その分を値引きの原資に使ってくれることもありますので、確かに、元付の方がスムーズに話が進みます。

とりあえず、値段交渉は、最後の最後までしてみるものですね。

<購入物件概要>

購入時期 2018年3月(約3年前)

面積 約55㎡

築年数 約20年

間取り 2LDK

価格 3,000万円弱

利回り 約5.1%(グロス利回り)

立地 西武池袋線B駅 徒歩1分

駅から1分の好立地のマンションを購入することができました。希少性も高く、空室で困ることは無さそうな物件です。価格も交渉の結果、坪単価で200万円弱、利回りもグロス5%強を、3年前の相場としても良い買い物と言えるでしょう。

管理を自分でやってみて気づいたこと

入居者の内容が良ければ手間はかからない

Aさんは、賃貸管理を自分でやってみました。入居者の方の内容(勤務先、年収など)も問題なかったので、延滞などは発生しないと判断し、賃貸管理手数料も惜しいので、賃貸管理会社には委託しませんでした。その後、延滞が発生することもなく、管理の手間はかかりませんでした。

設備交換の判断、手配はなかなか難しい

しかし、築20年くらいのマンションなので、設備の不具合が出ます。まずは、給湯器です。入居者から、お湯の出が悪いとのメールをもらいましたが、交換が必要なのか、全く判断がつきません。ちょうと冬場も近かったので、お湯が止まってしまうと問題が大きくなるので、給湯器に関しては業者を手配して交換してもらうことにしました。約一か月分賃料の出費です。

給湯器交換からほどなくして、今度は、エアコンやシャワートイレの調子が悪いと連絡が入ります。給湯器の時に比べればトーンは低いですし、本当に交換が必要なのかもよく分かりません。もしかしたら、給湯器の交換を即決したので、お金のあるオーナーと思われたのかも知れません。そこで、エアコンも2台あるし、シャワートイレは無くても生活できるので、とりあえず、完全に壊れるまで待ってほしいとの回答をしました。

設備の修理に関しては、金額も大きいですし、入居者の生活にも影響が出かねないので、判断が難しいところです。この点に関しては、プロに任せた方が良かったと感じたとのことです。

家賃交渉は難しい

購入してから3年で、契約更新が2回ありました。現在の家賃は、近隣相場に比べると若干安い気がするので、1万円弱は値上げしても良いかとは思いましたが、いざとなるとなんと説明してよいか分かりません。従って、2回とも家賃は据え置きです。しかも、昨年には管理費・修繕積立金が約1万円上がりました。家賃交渉も修繕同様、プロでないとなかなか難しいと感じたそうです。

入居者が退去して

そして、この4月に入居者がマイホームを買われたようで、退去の連絡が入りました。退去時の立会いで、Aさんも、購入後3年、ようやく部屋の中を見ることになりました。そこで気づいたことは。

①入居者が良いと部屋もきれい

築20年が経過しているので、それなりに部屋が汚れていることを覚悟していましたが、実際に見てみると本当に綺麗に使ってもらえたようです。入居者に恵まれたようです。共働きの若いご夫婦で、お子さんがまだいなかったというのもあるでしょう。

②分譲マンションは賃貸に比べると質が良い

Aさんも、駅近くの賃貸マンションに居住していますが、電車などの騒音に悩んでいました。当然、この物件も騒音が問題となるかと思いましたが、二重サッシであり、外の騒音は全く聞こえません。分譲マンションは賃貸マンションに比べると、サッシ・壁紙・床材などが格段に良いものを使っていることが分かりました。

③間取りが違う!!

Aさんは、実は2LDKとの説明を受けて、この物件を購入していました。当時の資料では確かに2LDKです。

しかし、部屋の中に入ってびっくりしました。あるはずの壁がなく、1LDKでした。

中古物件のオーナーチェンジでは、このように販売資料と現況が違うことがたまにあります。現況優先なので、受け入れるしかありません。

投資を総括して

Aさんは、入居者が退去して、この物件をどうしようか考えております。家賃を少し高くして貸すこともできますし、このまま空室として売り出すこともできます。

一般的には、賃貸中の物件は空室の物件に比べると、最大で10%程度安くなります。賃貸中では、買い手は投資家に限られますが、空室であれば、自分で住むために買いたい人も対象となるので、買い手は格段に多くなるからです。

面積20平方メートル台のワンルームマンションは賃貸ニーズが高く運用が楽ですが、投資専用であり、自分で住むために購入する人はほぼいません。従って、空室でも入居中でも値段に大きな変わりはありません。しかし、50平方メートルを超えてくるファミリータイプのマンションは、空室により値段が上がるという楽しみもあります。(その分、空室リスクも負うことになりますが)

Aさんが投資した物件も、今なら3,500万円以上で確実に売れると言われています。買値よりも20%程度アップしています。

今のところ、Aさんの投資は成功していると言えるでしょう。

まとめ

1.物件を探す際には、不動産会社に条件を細かく伝えておくと、販売前の情報をもらえることができます。ネットなどでも登録できますので、ぜひ、活用してください。

2.仲介物件を探す際は、売主に一番近い「元付」業者を捉まえて、交渉しましょう。

3.値段交渉は最後まで諦めずに行いましょう。ただ、ある程度の線を決めて伝えないと、買う気がないと思われてしまいますので、注意が必要です。

4.購入後の管理は自分で行う方が費用は節約できますが、プロでないとできないこともあるので、賃貸管理会社に任せる方が無難でしょう。

5.中古のオーナーチェンジ物件ですと、販売用の資料と実際の部屋の状況が違う場合があります。

6.ファミリータイプのマンションは、入居中よりも空室の方が価格が高くなる傾向にあります。

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